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 軽やかで調子っぱずれな鳴き声を出しているスマートフォンを取り、画面をみる。柊だ。



 なにしてる? という柊に、徳島に行く荷物詰めてたといったら、早すぎるよと笑われた。


 出発は金曜の夜で、平日の日中は学校があるんだから、空いてる夜のうちに進めるしかなくない?


 柊は大会が終わったとは言え部活もある。徳島に向けてバイトを調整しているわたしより時間はないはずだ。

 余裕な感じ出してるけど、あとで困って穂積さんに泣き付かないでよというと、ぜったい大丈夫だと言い切っていた。


 絶対泣きつくな、これ。


 柊とは学校で会ったばかりだ。なんなら帰りも一緒だった。いろんな話をしたはずなのに、話題は尽きない。


「あー、パーマかけたい、色も変えたい」


「えー、わたしは今の柊の髪型好きだけどなー」


「いまの結構長いからなぁ。気に入ってはいるけど飽きてきた。がんちゃんは伸ばしたりしないの?」


「んー、伸ばしてみようかなって思うことはある。でもなんか面倒そうで」


「似合うと思うけどな。いのりもすごくかわいいじゃん」


「姉妹で髪型一緒ってなんか嫌じゃない?」


「そお? うちはちょっと前までおんなじ感じだったよ。おねーちゃん急に切ってきて今は違くなっちゃったけど。裏切り者なんだよ。おねーちゃんは」


「相変わらずお姉ちゃん大好きだねぇ」


「家族なんだからあたりまえじゃん! がんちゃんも最近いのりとよく一緒にいるよね」


「家族、かぁ。うん、祷とはよく話すようになった。楽しいよ。柊んとこに刺激された部分もあるから恩人だ」


「いえーぃっ! 仲悪いより良い方が良いもんねぇ。あーっ‼︎?」


「えっ、なにっ⁉︎ どうしたの?」


「あ、いや、パター外れた」


「パター?」


「ゴルフ。テレビでやってる」


「え、柊ゴルフやるの?」


「んーん、パパが好きで専門チャンネル見れるから観てた」


「見れるからって好きじゃないと観ないよね」


「好きってわけじゃないけど。まあスポーツはやってたら観ちゃうかな。あ、おーっ!」


「今度は何?」


「なんかすっごい飛距離で、しかもすっごい曲がってフェアウェイど真ん中って解説も興奮してる」


「へえ」


「高校生女子の大会みたい。だからみんな同年代だよ。すごいなー」


「さすがスポーツ大好き少女」


「ちょっとバカにしてない?」


「してないよぉ」


「なんで笑ってんの、してるでしょ! 言っとくけど、どんなスポーツも頭悪いとできないんだから。ラグビーIQとかサッカーIQとか言うじゃん」


「じゃあ柊だめじゃん」


「おい! 買うぞ⁉︎ ケンカすっぞ」


「えーやだよ。柊、野生児すぎて手に負えなそ」


「まだバカにしてるっ......お腹空いてきた」


「やっぱり動物じゃん」


 取り止めのないやり取りは続く。柊との通話はいつもこんな感じだ。

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