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 そうこうしているうちにダンサーたちが続々と集まってきた。


 柊以外にも高校生か大学生らしきダンサーが何人か居て、更に年下っぽい子や子どもたち、年上のダンサーももちろん多く、中にはお母さんよりも年上に見えるダンサーもいて、年齢の幅が広い。

 格好も、大きな旗を持っている女性や、ドレスのような衣装のダンサーもいて多彩だ。スーツスタイルの男性のダンサーもいて驚いた。


 打楽器を抱えた奏者たちも隊列を組み始めている。

 ダンサーは割と自由な位置取りをしているように見えたが、打楽器隊はピシッと整列していた。


 パフォーマンス中に合わせる部分があるのか、柊は同年代っぽい子と振付の確認をしている。


「それじゃ、わたしも観る場所確保しに行くね。がんばって!」

 邪魔してはいけないと思い、柊に一言伝えてその場から離れた。


 柊は「また後でねー!」と、手を振っている。

 本番前のやる気に満ちた充実した表情だ。



 沿道は既に人垣ができていた。

 最前列もその次の列も人がひしめいていたが、わたしの背丈でも覗けそうな場所を見つけたので、そこに陣取ることにした。


 花火の爆発する音が響いた。

 日中だから、見物のための花火ではなく、運動会のような開始の合図の花火だろうか。

 爆発音が続く。音の間隔は短く、一定だ。


 ......違う、花火じゃない。


 一定のリズムで響く轟音は、少しずつこちらに近づいてきていた。


 これは、打楽器の音だ。


 轟音が近づくにつれ、観客の歓声と、歌や弦楽器、他の打楽器の音も聴こえてきた。


 来る、来る、来た! と思ったらあっという間だ。


 まだ少し遠い打楽器隊の出す音に負けない声で嬌声を上げ、観客を煽るダンサーたち。俄かに周囲の観客たちのボルテージが上がる。


 華やかなダンサーたちが軽やかにステップを踏みながらパレード仕様に封鎖された公道を進んでいく。

 ところどころ、観客にアピールしたり、ノリの良い観客と一緒になって踊ったりしている。


 公道に咲き乱れた花のようなダンサー群のなかで、長身を活かした大きな振りで観客を魅了しているダンサーが目に入った。


 あ、柊だ。

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