9
そうこうしているうちにダンサーたちが続々と集まってきた。
柊以外にも高校生か大学生らしきダンサーが何人か居て、更に年下っぽい子や子どもたち、年上のダンサーももちろん多く、中にはお母さんよりも年上に見えるダンサーもいて、年齢の幅が広い。
格好も、大きな旗を持っている女性や、ドレスのような衣装のダンサーもいて多彩だ。スーツスタイルの男性のダンサーもいて驚いた。
打楽器を抱えた奏者たちも隊列を組み始めている。
ダンサーは割と自由な位置取りをしているように見えたが、打楽器隊はピシッと整列していた。
パフォーマンス中に合わせる部分があるのか、柊は同年代っぽい子と振付の確認をしている。
「それじゃ、わたしも観る場所確保しに行くね。がんばって!」
邪魔してはいけないと思い、柊に一言伝えてその場から離れた。
柊は「また後でねー!」と、手を振っている。
本番前のやる気に満ちた充実した表情だ。
沿道は既に人垣ができていた。
最前列もその次の列も人がひしめいていたが、わたしの背丈でも覗けそうな場所を見つけたので、そこに陣取ることにした。
花火の爆発する音が響いた。
日中だから、見物のための花火ではなく、運動会のような開始の合図の花火だろうか。
爆発音が続く。音の間隔は短く、一定だ。
......違う、花火じゃない。
一定のリズムで響く轟音は、少しずつこちらに近づいてきていた。
これは、打楽器の音だ。
轟音が近づくにつれ、観客の歓声と、歌や弦楽器、他の打楽器の音も聴こえてきた。
来る、来る、来た! と思ったらあっという間だ。
まだ少し遠い打楽器隊の出す音に負けない声で嬌声を上げ、観客を煽るダンサーたち。俄かに周囲の観客たちのボルテージが上がる。
華やかなダンサーたちが軽やかにステップを踏みながらパレード仕様に封鎖された公道を進んでいく。
ところどころ、観客にアピールしたり、ノリの良い観客と一緒になって踊ったりしている。
公道に咲き乱れた花のようなダンサー群のなかで、長身を活かした大きな振りで観客を魅了しているダンサーが目に入った。
あ、柊だ。