第4話 ルルシア 死す
あの画面と声はいったい何なのか、全然思い出さない。人体の限界を超えた体験は僕にまた早いのようで、今となってようやく【賢者の塔】が記憶魔法を禁じる理由が分かった、いや、身に染みついた。
「先は何なんだ?魔法じゃないでしょう」
僕は彼女の髪に包まれたままそう口を開いた。
「ふんふんふん、普通わたしと接触すると、こうなるよ~ましてや喋るなんで、よく発狂しないわね~」
「この島の人のように?」
僕は真相に近づいているような気がする。
「ふんふん、そうよ、君は特別なのよ、わたしと喋れる、ふんふんふん、意識は時々失うようですけど」
つまり今またあの体験をする可能性があるってこと?ちょっと怖い。でもそれより
「僕の話も散々した、痛い目もあったし。彼らは元に戻れる?あなたは何者だ?その力の原理は何?」
「ふんふん、そういう話を聞く前に、空を見るのはいかがのかしら?」
「空?」
彼女の言葉に僕は戸惑った。そして、徐に見上げると、そこには巨大の魔能波動と無数の魔法陣が次々と浮かんでくる、何かの絵を描くように光の尾を引いて飛び交っている。
「まさか!!!!!」
普段ならすぐ気づくはずだが、すべての魔法陣が崩れた今僕はただの普通人に過ぎなかった。だからそれを見て一瞬だけ失神した。
「『光の果て』!!!!!!!!」
『光の果て』、レベル13の転移魔法。それも転移魔法とは言えないほど危険なもので、数多の野蛮文明を宇宙の彼方へと葬り去った。マイルドの中では魔法陣が輝くものの、現実世界では光さえ吞み込んでしまう、故に光の果てと名付けられた。
転移魔法とは言ったものの、実際多くの場合は野蛮文明に天罰を与えるために使われている。転移の過程は極めて危険なものであって、大抵の場合は向こう到達の前に潰れてしまう。ただでさえ『光の果て』《ブラックホール》に飲み込まれるの中急激の速度変化は耐え難いもの、ましてや長い間マイルドとスカイに流されるなんで!正気の沙汰じゃない!
昔極悪○○文明が『光の果て』によって追放されたって記事を読んだ時ただ攻撃魔法を使って根絶やしをするより転移魔法を使って希望の種を残しておいてに関心したが、いざ自分の身に起きたらクソも何もない!
「せめて魔法を使えば……」
僕は嘆くしかできなかった。上位魔導士なら逃げられるかもしれないが、この状況ならどうにもならない。
しかし、いまの状況と言えば……僕は彼女に目を向けた。
「あなたなら『光の果て』なんかどうでもいいでしょう」
「ふんふんふん、どうでもいいじゃないよ、またこの星から離れるの~」
早く離れろ、そんな危険の存在があってたまるか!?
「助けてください、魔女様、僕また死にたくない……」
「なに~もう一回」
「助けてください、女神様、死にたくない」
「ふんふん」
そして、僕が次の声を発する暇もなく、全身が彼女の髪にくまなく包み込まれた。
「安心して、わたしが守るから」
天使のような優しい声が僕を落ち着かせ、どこからともなく強い安心感を与えてくれた。
「分かった、任せる」
「素直でよろしい~」
そして次の瞬間、察知魔法陣がいなくとも感じられる強い波動が僕たちを襲った。世界が一瞬にして光に染まったような感じがした。
僕はまた気を失った。




