第2話 泉の世界 スピリン
滝を見たことがあるでしょう。
でもスピリンの滝を見たことないでしょう。
直径五百キロの水の柱が絶え間なく天へと注ぎこみ、まるで天と地が逆転して海が大き穴から流れ落ちるように見える。滝による轟音が水面を揺るがし、ごんごんごんと響き渡る。水が荒れ狂うが、天候は快晴、雲一つもう見えない、実に興味深い風景だ。人々はそれを見て、【奇跡の滝】と名付けた。
更に特筆すべきのは、滝の流れを従い、空へと飛んでいく魔物の群れだ。時折帆船を見かけることもある、あれはスピリン名物、空飛ぶ船だ。あえて何の装置も付けない、最も原始の帆船を使い、空飛ぶという人類古くからの憧れを実現させた。僕も小さいの頃姉につれられて、乗ったことある。半年前予約しとかないと乗れないの大人気コースだ。
「絶景だな、そんな面白いもの、大人しく授業して見そびれっちゃったら残念でしょう。」
僕は同感を求めているようにそう切り出した。
「そうそう、この通りだよ!」
僕の前に立っているは、一人の若い女性だ。
肩まで伸ばした金髪が風のなかにテンポよくなびている。整えた顔と白い肌、いかにも美人の雰囲気を放っている。水気を帯びた瞳に真剣の眼差しが宿っていっっいるらしいが、僕は知ってる、この人は絶対見た目に判断しない方がいいということ。
「エリスねちゃ、いや、アルス先生だよね」
「そうよ、ねえちゃんが先生で、ルルシアもう嬉しいでしょう」
「そうかな~だれさんがサボって、生徒全員が共通教育の映像を見る羽目になったかな~」
「ひどいぃぃぃ、そんなひねくれた弟育った覚えないぃぃ」
なに言ってやがる、この人。教師としての自覚持ってるのか。子供かい。べつにあんたに育てもらってないし。
「待ってよ、なんでルルシアがここにいるん?」
「みんなに頼まれておまえを探しに来た。どうせ僕だけ面識がある」
なにを気づいたか、エリスが困惑の眼差しを僕に向けた。さわやかに説教をかましたばかりに、しかられるのはまっぴらごめんだ。この人、ひとの弱みを握ったら簡単に済まさない。そもそもこれは僕のせいじゃない、観光エリアの入り口を廊下に置いた学校が悪いだ。
「そうか、いい子だね、みんなに信頼されて、また前みたいに友たちを作れなかったらお姉ちゃん心配~~ってか誰が面識ある、世界一のお姉ちゃんだよ!!!」
僕の話を聞いて、顔を緩めていくエリスだか、途端妙に気を立ち始めた。相変わらず元気だなと思いつつ、僕はタイミングをはかって別れの言葉を告げる。
「じゃ早く学校に帰んな、僕先に帰るから」
「ええぇもっとしゃべようよ~~でもルルシアが大人しく授業を受けるとは思えないけど、気を付けてね。おねえちゃんはサボりにきったんじゃないよ。最近スピリンに妙な事件が起きててね、それでおねえちゃんが調査してるの。」
やっぱり上位魔導士に天然はいないか、それとも単に付き合いが長い?この人にもちゃんと仕事してる時があんだなと関心しつつ、彼女の言葉をべつに気にしなかった。
この【賢者の塔】の首都ワスドムに事件?笑えない話だが第二次ブックバンでも起きない限り誰も騒ぎを起こせない(誇張)。異次元空間とは言え魔導システム【賢者の心】がすべてを管理している。何が起きたら調査までもないすぐ処理される。【賢者の塔】文明の最高結晶魔導システム【賢者の心】はそんな力を持っている。
「分かった、気を付ける」(【賢者の心】を舐めないでもらえる?)
そのときの僕は、また、魔法と万能の間の距離の大きさを気づいてない。
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スピリンの中で最も壮大の景色は【奇跡の滝】というなら、もっとも奇妙な景色は【船島】でしょう。
僕は【賢者の心】が提供してくれた【スピリン現時マップ】を見ながら、ようやく目的地の上空に着いた。
先言った滝をのぼる帆船と少し違う、今度は島ごと水流に乗って空のかける。それもちゃんと特別のルートをのって地上から空へ、空から地上へと世界を飛び回ている。
昔【船島】に生活している種族は島がルートからズレたり、ほかの水流に巻き込まれて粉々になることを防ぐため島を船のように操っている。実に壮絶な武勇伝だ。敬意を捧げよう。
島と言っても大きな島じゃない、もし大きな島があるとしても現代技術使って新しいつくった島に違いない、だってそんな大きな島自然から守れない。古代種族たちが命かけて守ってきた本物の【船島】は小さくて丈夫、歴史の重さを感じさせる。
僕が見つけた島は正にそうです。直径2キロ、歴戦の証のように丸い輪郭をしていて、全体に色んな装置が設置されている。今時超高性能の魔導装置じゃない、先人の知恵と願いを込められた古い装置だった。
水を漕ぐための巨大なオール、継ぎ接ぎだらけけど今も風を受け続けているマストと帆、そしてそれらを取り巻く様々な形をしていたやぐら……先人生き生きとした姿が脳裏に浮かんでくる。
「ああああああああああ!!!!!!」
そうのうのうと自己感動に浸っているとき、突如、場違いな奇声が僕の耳に届いた!いや、確かに人間からの声だが、それ声だけが、なぜか何の知能もない獣の悲鳴に聞こえる。その声は一切の考えもない、ただただひたすら自分が受けている耐えられない苦痛に悶え、生物の本能を忍びなく表に出している。いかにも荒々しい声だった。
僕はそれを聞いてゾッとした。エリスの言葉を思い出すと、僕は授業を抜け出すことを少し後悔した。でも同時に、なにかを予感したかのように、僕は震えを止まらなかった。
なにか、世界の真相を近づいたような感じがする。




