四話
彼らが帰路を辿っていると町の門の近くでエレナとエルに遭遇した。
「レオ君どうだった?」
「疲れました…」
「初めはそうだよね~。
私なんて初めのころは疲れてまともに動くことも出来なかったよ」
エレナは遠い目をして懐かしそうに話す。
「それから……」
エレナが言いかけた時ドドドドドドドドドと地震のような地響きが鳴るとともに大きな揺れが起こる。
「えっなに!?」エレナが叫ぶ。
揺れはどんどん大きくなり遂に地割れが起き地面に穴が空いた。
彼らはその穴に落ちた。
「ううん、ここは?」
レオは起きると土で出来た壁が目に入った。
それから周りを見渡すと左右に一本の道と後ろに土の壁。
近くにはシエナ、エレナ、エルがいる。みんな無事だ。
「ここは……ダンジョンだな」
シエナが言う。
「そうみたいね。
どうしてここに」
「多分、あの平原の下にあったんじゃないか」
二人は冷静に会話していて顔つきは強張っている。
「それより、ここから出ていく事が重要なんじゃない」
「それもそうだな。
未開のダンジョンはAランクの冒険者でも死ぬことがあるからな。
どうする?」
「食料は?」
「アイテムボックスの中には2日分の保存食と水。
こんぐらいだな」
アイテムボックスは空間魔法の一つで異空間の倉庫みたいなものだ。
その中では時間は進まないとされている。
ただ、取得が難しく2×2mほどの空間しかないのが難点である。
「そうね。
動く?」
「そうするか~」
彼女らはここから動きだした。
このダンジョンは全く分かっていない。
どこへ続くかもどこまで続いているのか。
そしてこの中には何が出てくるのか。
少し進むと4体のモンスターが出てきた。
そのモンスターはスケルトンだ。
人間から骨以外のすべてを取り除いたような見た目をしており目をよくよく見ると紫の光が見える。
手には湾曲した片手剣のカットラス。他には弓を持っているのが一体いる。
全ての個体の腰にはボロボロな布を巻いていた。
レオ達に対していつ襲って来てもおかしくはない。
「モンスターか。
ここはあたしがやる。
お前らは待ってろ」
シエナは言い終わるとアイテムボックスを使い空間に穴を開けてそこから両手剣を取り出した。
大きさは190㎝ほどで刃の横幅が少し長い。
シエナは両手で構えを取った。
そして、地面を蹴って突っ込んでいく。スケルトンのうち3体がそれに対応し剣を構え迎え撃つ体制を取る。
1体はシエナの背中を弓矢で狙っていた。
「死ねぇぇえええ!」
叫びながら突撃して行った。
一体のスケルトンの頭を目掛けて両手剣を振るう。
攻撃は成功した。
頭に直撃しそのまま頭蓋骨は破壊された。
その勢いで二体目も狙う。
今度は思い道理には行かなかった。
両手剣を振るうがカットラスで防がれる。
純粋な力では防ぎきれなかったからかスケルトンは吹き飛ばされ土の壁に叩きつけられて体はバラバラに散った。
シエナはそのスケルトンの頭に近づき剣を上げて突き刺す。
それから立て続けに三体目のスケルトンに狙いを定めまた地面を蹴り飛びかかる。
その時、弓を持ったスケルトンの放った矢が彼女の右肩に刺さった。だが彼女は気にせず攻撃を繰り出す。
この攻撃は失敗した。
両手剣を振るうが安定した攻撃が出来ずに避けられてしまい、カットラスの斬撃がシエナを襲う。
彼女はその程度でやられる輩ではない。
この直線的な攻撃位は簡単に避けれる。
だが、攻撃するすべはない。
刃物を持った相手に素手で挑んでのは相当高度な技術を持っていない限り不可能である。
ここで死ぬのかと諦めかけた瞬間、
「ブレイク」
と触れると崩れそうな脆く弱々しい声が聞こえ残った二体のスケルトンは木端微塵に破壊された。
「エル、ありがとう」
礼をいわれても彼女は反応しない。
何かしたそうにもじもじとしている。
レオは何が起きたのかさっぱり理解できていない様子だった。
「シエナ、大丈夫?
こういう時、矢を無理に抜くのは良くないよね。
エルに頼んだほうがいいよ」
「そうだな。
エル、頼む」
シエナがそういうと、分かったと言うふうにコクリと一回だけ首を縦に振ると彼女のもとに駆け寄りしゃがみ込み肩に手をかざす。
「ヒーリング」
と短く言うと手のひらから光が発せらる。
その光に吸い込まれるかのように矢は抜けて消えた。
それから、傷はみるみるうちに塞がっていく。
10秒もしないうちに傷口は完全にふさがってしまった。
その後すぐにエレナはレオ達のところへ合流した。
「怪我治してくれてありがとな」
シエナがお礼を言うとエルはどう致しましてと言わんばかりに小さく頭を下げた。
「じゃあ行こうか」
この掛け声と共にレオ達は進みだした。