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三話

二人が宿に帰るとシエナとエルがいた。

「いなかったけど何をしてきたんだ?」

「特訓だよ。

 レオ君の」

「奇遇だな。

 あたしもそれをしようと思っていたところなんだ」

「そうなんだ。

 どういう風にやるの?」 

エレナが聞くとシエナは一拍置き

「実戦を積んでもらう」

とはっきりと答えた。

「ええ!?

 レオ君、そこまで強くないんだよ。

 大丈夫なの!」

「あんたもそうやって強くなったんだろ。

 同じようにすれば問題は無いはずだ」

「私は獣人だから。後、元から強いほうだったし、生きるために必要だったから」

「そう言えばそうだったな」

「そう言えばって、ひどい!

 まぁいいや。

 確かにいいんだけどさ、流石にいきなり実戦はきつくない?」

「確かにそうかもな。

 だったら少しは戦闘について教えるか? 

 レオ、お前はどう思う」

シエナはレオに聞いた。

「ええと、僕は……」

彼はいきなり聞かれて動揺している。

「別に直ぐに答える必要はないよ。

 こういうのはしっかりと考えないと」

エレナが助け舟を出す。

しかし、レオは

「お願いします。

 僕に実戦を教えて下さい!」

覚悟を決めたようだ。

「よし、言ったな。

 後戻りはさせないぞ」

「はい!」

こうしてレオは彼女らとともに実戦を積むことになった。



次の日

彼が彼女たちから教えてもらうことは山ほどある。

この日はまず体力づくりから始まった。

そして、レオとシエナは平原に来ている。

見渡す限り一面が短い草に覆われている場所だ。

「もう、ムリぃ」

レオは弱音を吐いている。

今、彼は走り込みをされている。

大体、3キロほど走っている。

息がゼーゼーと切れ、汗が滝のように流れている。

ちなみにともに走っていたシエナは余裕そうに見える。

「そんなので弱音を吐くな。

 まだ、30分ぐらいしか走ってないぞ。

 後、30分は走るからな。

 それにしてもお前遅くないか?」

と疑問に思ったのか質問する。

「それは、ぜぇ、シエナ、さんが、はひゅ、速すぎる、だけです」

途切れながら言う。

「なるほど、取り敢えずお前はもうしゃべるな。

 走ることに専念しろ」

それからしばらくして

「よし、一時間たったな。

 さて、次は……」

シエナがそう言って振り返るとレオはうつ伏せに倒れていた。

「お前、もしかしてこの程度でばてたのか?冗談だろ」

「いや、ほんとうです……」

声が小さくて聞こえなかったらしい。

仕方なくシエナは大きな声で呼びかける。

「おい、レオ起き上がれ」

「う~ん……」

だが、なかなか立ち上がらない。

いや、立ち上がれないのだ。

「仕方ない。

 それ飲んで少し休め」

シエナは何かを投げた。

レオは両手を伸ばして受け取る。

水筒だ。

「ありがとう」

彼は水筒の蓋を開けて中の液体を飲んだ。

ゴクッ。

「ううっにがっ」

その液体からは薬のような苦い味がした。

舌を刺されるような刺激と共にすぐに全身に染み渡っていく。

まるで血管の中を通っているかのような感覚に陥った。

「何これ。

 凄く苦いんだけど」

「これはポーションだ。

 一般的には小さい傷にかけて治すのに使うが飲めば疲労回復や栄養補給にも使える優れものだ。

 さて、そろそろいいだろ。

 場所を移すぞ」

「うっうん」


「ええい」

レオはスライムと戦っていた。

スライムはそこまで強くなく一般人でもやれば倒せるぐらいのモンスターである。

一部の学者はモンスターって分類するのやめようぜと言っているのが弱さを物語っている。

ただ、スライムは変異しやすい。

「ええい」

レオはシエナから借りた短剣を振るう。

その動きは雑だ。

振るう時と後の隙が大きい。

そのため、簡単に避けられてしまう。

スライムも反撃と言わんばかりに体当たりを放ってくる。

その体当たりをレオは避けたが右肩に当たってしまった。

「ぐあっ」

鈍い痛みが襲ってくる。

外傷も内傷もなかったが痛みだけは大きい。

肩を抑えながらもなんとか体制を整える。

そして、短剣の刃を反対にして持ちスライムに突き刺す。

攻撃は成功した。

スライムの核に見事に命中している。

「スライムは倒せるようだな。

 このぐらいはできてもらわないと困る。

 だが、攻撃の仕方が雑すぎる。

 次は技術的課題について教える。

まずは攻撃の話だ」

シエナは説明を始めた。

「いいか。

 短剣はただ振り回せばいいってもんじゃない。

 基本的な攻撃の技術として刺突と斬撃がある。

 こんな風にな」

言い終わるとシエナはレオから短剣を奪い上げ構えを取り右足を前へと踏み出す。

それと同時に腕を伸ばして短剣を突き出した。

それらの動きには無駄がないとは言えないが動きとしては一流だ。

「これが刺突だ。

 短剣やナイフの基本だ。

 斬撃はまだ早いだろうから先にこっちから練習しよう」

レオはその技術を見て驚くと同時に感心していた。

「どうだ分かっただろ。

やってみろ」

レオは言われるがままにシエナの動きを思い返し見様見真似で試すことにした。


動きは雑だった。

重心は足に偏っていて手の位置は下がっている。

だが、勢いと力強さはあった。

「まぁ、まだぎごちないがスライムと戦った時よりはマシだな。

 これからは毎日やる。

 今日は暗くなりそうだから帰るとするか」

こうして彼の今日の特訓は終わった。


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