プロローグ
初投稿です。
拙い話ですが読んでいただけると幸いです。
「なんでダメなの。やらせてよ!!」
「ダメなものはダメだ。
というかだいたい冒険者なんて言う危険な職に就かせられるわけないだろ」
13歳の少年レオは両親からの許可をもらえずに駄々をこねていた。
この世界の成人年齢は15歳。
しかし、13歳で大人扱いをするのも少なくない。
ただ、冒険者は魔物との戦闘や未開の地の探索などをするので13歳ではやらせてくれないことが多い。
「冒険者ってそんな危険じゃないよね?父さん?」
そう言いながら両親の返事を待つと父親は大きなため息をつく。
「おまえは馬鹿か。
殉職率知ってるのか?」
冒険者の死亡率は約30%と高い。
3人に1人が死ぬということになる。
冒険者のランクはE、D、C、B、A、Sとあるが上位ランカーでも死んでいることが多いのだ。
もちろん最上位になれば生存率は上がるがDCBは生存率が最も低い。
中途半端な奴らは実力以上のことをしようとするから死にやすいのだ。
「知っているけど……僕は冒険者になりたいんだ!」
「なんでそこまでして冒険者になりたい」
「それは勇者に……」
「なんだ。
1ヶ月前に村に来た勇者に憧れているだけじゃないか……」
はぁーっと大きくまた父レインがため息をする。
1年ほど前に魔王を倒したと言われる勇者様がこの村に帰ってきた。
10年以上もこの世界に平穏をもたらしてくれるために戦ってくれた英雄なのだから、村の人たちは皆歓迎した。
その中で勇者に憧れを抱いたのがレオだ。
彼は小さい頃から勇者の伝記を読んだりしていていつか自分もあんな風になると信じていたし実際になりたかった。
そして、本物を目で見て言葉を交わしてみてついになると決心したのだ。
「父さんも憧れて戦士になったんでしょ」
「んなわけあるか。
俺は腕を買われてこの村の戦士になったんだ。
もし、憧れに従っていたらこんな職に就いていない。
商人とかの夢がある職についているだろうさ」
「でも、夢や目標に向かって努力する人はカッコよく見えるよ」
「逆に聞くがそんな人いるか?
確かに職は選べるがその職に付けない社会構造になっている。
お前が勇者になりたくても国や教会はみとめてくれない。
さらにおまえのような奴が冒険者になれるわけがない。
諦めろ」
「うぅ~~……」
レオはぐうの音も出なかった。
レオは弱い。
魔法の才能もなく体術ができる訳でもない。
武器を持つにも非力だった為、木剣すらまともに振れない。
「もういい!!
いつか大物になって見返してやる!」
レオはドアまで勢い良く駆け出し扉を乱暴に開けて出ていった。
「おい、待てっ……」
レインはレオを止めようとしたが妻のライナに止められる。
「今は干渉しないようにしましょう」
「だがアイツはまだ13歳だぞ! これからどうするか心配だよ!!」
「大丈夫ですよあなた……。
あの子ならきっとなんとかしますわ」
そういう彼女の目は子供を想う母親ではなく師匠を尊敬する弟子を見るような優しいまなざしをしていた。
(当てがない)
レオは途方に暮れていた。
勢いで家を出たものの子供だからできることなどたかが知れているのだ。
「そう言えば、前に未成年でも冒険者になれると聞いたことがあったな。
早速行ってみよう」
彼は冒険者ギルドを目指すことにした。
冒険者ギルドとは冒険者の集う協会のようなものだ。
しかし、彼はそれがどこにあるかが分からない。
ということで通行人に情報を聞いた。
「あの~。すいません。
冒険者ギルドの場所を
ご存知ですか?」
その人物はローブを着ていてフードを被っていた。
隙間から少し見えた顔は女性に見える。
「はい。
ええと、確か隣の町にあったような」
彼女は自信なさげに言う。
「ありがとう」
とレオは言い残して颯爽と隣町に向かった。
隣町に着くとすぐ目の前に冒険者ギルドはあった。
建物は木造で目立った汚れや傷がなくそれなりに綺麗に見える。
中に入ると冒険者と思われる人が20人ほどいた。
その人たちからの視線が一斉に向けられ
「おいおいガキじゃねえか」
「ここはお前のようなお子ちゃまが来るとこじゃねえぞ」
と言う言葉を言われるがレオはそんなのはお構いなしとでも言うように受付に向かう。
受付につくないやな受付嬢に
「失礼ですけど帰っていただけませんかね。
あなたがいると場の雰囲気が悪くなるんですよね。
運営としても対処に困るんですよ」
と言った対応をするが当の本人の耳に入って来なかった。
周りがうるさいからだろう。
「冒険者になりたいのですけど……」
レオが要件を言うとその受付嬢の顔がより悪くなる。
「あの~。聞こえていなったんですかね?
あんたがいるとただでさえ悪い空気がより一層悪くなってしまうって言ってんだよ。
さっきから言っているだろ!!!!!」
遂にブチ切れてしまったのか口調が変わり声が大きくなる。
流石の冒険者たちもこの光景には恐れをなしている。
受付嬢の気迫に押されレオはとぼとぼと重い足を引きづって場を後にした。
ギルドを出てすぐのことだった。
「よっ坊主。
なんか辛そうだな」
と言う女性の声が聞こえた。