プロローグ2
side:佐藤祐太郎
久々に会社で連休が貰えたので、今日は部屋の片付けをする予定だ。
言い訳にもならないが、男の1人暮らしなので、散らかっているし汚い。
無くしたと思っていた物が見つかったり、ついつい漫画に手を伸ばしたりで脱線してしまう。
気を取り直し、手を伸ばして戸棚を開けてみると、古いゲーム機やソフトが押し込まれていた。
ここも整理しようと引っ張るが、引っかかっているのか中々出てこない。
もうやらないだろうし、多少傷ついてもいいやと力を込める。
無理矢理取ろうとしたのが悪かった。
据え置き機から携帯機、ソフトまで雪崩のように落下して顔に当たる。
意識を失う直前、最後に見えたのは、色々な意味で話題になったゲームだった。
『ホーリー ラブ ストーリー』という作品がある。
これは俺が初めてプレイしたギャルゲーでもあるので、未だに印象深い。
キャラデザインが好みだった事、声優が豪華だった事もあって購入した。
当時、ネットの評価や作品の情報を調べる必要性というものを知らなかった。
R15指定なのは、ちょっぴりエッチなのだろうと、大いに期待した。
ギャルゲーを購入するという行為にも、羞恥心からドキドキしていたのも覚えている。
結果から言えば、トラウマものだった。
最初は幼馴染である『春香』のルートに入ったのだが、妹である夏恋に殺されてバッドエンド。
何か間違えたのかと思い、次はあえて夏恋のルートに入ったら、春香に殺されてバッドエンド。
何かおかしいと思い、攻略サイトを見る事にした。
ネタバレは怖かったが、それ以上に今プレイしているゲームが怖かった。
『ホーリー ラブ ストーリー』略して、『ホラーゲー』と呼ばれていた。
どのヒロインのルートにも、初回から行けるが必ずバッドエンドになり、主人公が死ぬ。
初めてのギャルゲーだったので、一瞬そういうものなのかと思ってしまう。
ついでにレビューも見てみると、案の定滅茶苦茶叩かれていた。
R15指定だったのは、エッチなのではなく、残酷描写のせいだった。
血生臭いシーンにも耐え、頑張って全員攻略した記憶がある。
一部の熱狂的なファンは付いたが、ホラーゲーなんて呼ばれるだけはある作品だ。