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第10話 今後の相談とランキング

 名古屋ダンジョンに挑むようになってから、俺達はかなりのハイペースで攻略を続けた。


 回復魔法のレベル上げをしつつ、のんびり攻略をしようと思っていたのは挑む前の話。実際にダンジョンに入ってみれば歯止めが利かないというか、楽しすぎてどんどん先へ進んでしまっていた。

 

 というか、真奈がダンジョン攻略にノリノリだったのも原因だと思う。

 あれはダンジョンに入って二日目のことだった。


『無名君が居れば安心ですね! 回復魔法もありますし、どんどん行きましょう!』



 その時は確かに回復魔法のレベル上げもしたかったし、彼女には悪いが少しくらい怪我してもらって……なんて考えていたので、俺は前衛で張り切る彼女のサポート役にまわっていた。


 また、ステータスの上がる要因が真奈いわく戦闘の質というのだから、前衛なら前衛、後衛なら後衛と、俺たちはお互い自分のポジションで真面目に取り組むようにした。



 一度の回復魔法の使用MP量は、俺にとって微々たるもので、小さな傷でも直ぐに治していった。彼女はそれが分かると戦い方がよりアグレッシブになっていき、傷は増えるが直ぐに治るという戦闘に慣れてきた頃にはとてつもないスピードでダンジョンを攻略していた。

 現在43層。今も、俺の前方で彼女は魔物と戦っている。



 ……なんというか、真奈が楽しそうで何よりという感じだ。


 今までは指揮官的な立場で戦っていた彼女はあまり自由に戦えなかったらしく、今回のように存分に動けるのは久しぶりだそうだ。俺が殿についているのならと、それはもう遠慮なく暴れていらっしゃる。


「次、行きますよ!」


「おう」



 魔物を倒し、こちらに声を掛けてくる彼女の後をついていく。

 テンション高めでどんどん進んでいく彼女を保護者のように見守っているわけだが、サポート役としてダンジョン探索を十分楽しんでいるあたり、俺も人の事は言えないのだろう。


 





 今日の攻略を終えてホテルに帰ってきた俺達は、備え付けの飲み物を飲みながら今後について話し合っていた。


「あの話、受けるか?」


「そう……ですね」


 俺の問いに、少し悩みながら返答した真奈。

 話とは、ダンジョン庁の中村さんからのものである。


 前回、日本最初となるはずだったダンジョン踏破の功績を奪ってしまう形になった俺に、現在挑んでいる名古屋ダンジョンの踏破をミリタリーに任せて欲しいという話が来た。

 ここまで攻略をさせておいてそんな虫のいい話受けるか、という気持ちもなくはない。だが、俺は正直その話を受けようかと思っていた。


「でも、無名君一人なら……」


「一人で行くのはもう十分だ。それに、絶対勝てるとも限らないしな」


 今日の攻略で、俺達は50層のボス部屋まで攻略を終えていた。薄々気づいていたのは、今の真奈ではボス戦は厳しいことだ。40層後半辺りから余裕がなくなり、一対一ならギリギリ勝てるが、多対一の時はほとんど俺が相手をしていた。

 流石はBランクダンジョン、魔物のレベルが高い。ボス戦で万が一が起きた時、俺が真奈を助けられる保証はどこにもないだろう。


「もともと二人でボス戦に挑むこと自体、非常識な話だ。あちらさんも前の事を流してくれるみたいだし、丁度良いじゃないか」


 そもそも50層のボスはダンジョン踏破がかかった最大の難所。前回はステータスの差があったからこそ余裕で倒せたが、同じように倒すことができるのはCランクのダンジョンまでだろう。



 その後も彼女と話し合い、俺達は今日を最後に名古屋ダンジョンの攻略をやめることに決めたのだった。









「連絡しときますね」 

 

 真奈が中村さんにメールで話を受ける趣旨の連絡をしている間、俺はぼんやりと考えていた。

 

 よくよく考えて見れば、今のミリタリーの戦力ではBランクダンジョンのボス戦はまず勝てないだろう。そして、世界でも未だ前例のないBランクダンジョンボスの危険度は不明だ。

 エスケープオーブを使用した前調べでさえ被害が出る恐れは十分にあり、慎重に事を進めなければならないだろう。


「攻略はずっと先かな」


 予想だが、今の真奈くらいのステータスを持つ人達でボス用のパーティー構成を組めば、勝てる相手だとは思う。

 最近ダンジョンランキングが上がって5位になった彼女が、総隊長を抜いたと少し喜んでいたのを覚えているが、今の世界ランカーでパーティーを作ればBランクダンジョンは恐らく踏破できるのだろう。そういえば……


「俺は他のランカーと、どれくらい差があるのだろうか」


 しばらくダンジョンに挑んでおらず、最近再会した所だがやっているのはサポートと稀にある戦闘。しかし、俺のダンジョンランキングは相変わらず一位のままだ。

 世界のランカーのステータスを鑑定すれば少しは分かるのだろうが、それをするには実際に合わなければならない。


「二位の人のステータスは、知っておきたいな」


 ダンジョンランキングが何を基準に決まっているのかは分からないが、自分の次である二位のステータスを見れば、少しは自分の強さの度合いが分かるかもしれない。

 

 そんなことを思いながら、俺は自分のステータスを確認するのだった。

 

 


 

 小鳥遊 無名 Lv108


 HP 67500/67500

 MP  8700/8700


 攻撃力 7610

 防御力 7105

 知力  6450

 抵抗力 6130

 素早さ 7436

 運   773


【スキル】

 危機察知 Lv32 HP自動回復Lv8 MP自動回復Lv8 鑑定Lv9 探索Lv5


【称号】

 格闘の使い手

 魔法の使い手

 探索者


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― 新着の感想 ―
[気になる点] また、ステータスの上がる要因が真奈いわく戦闘の質というのだから、前衛なら前衛、後衛なら後衛と、俺たちはお互い自分のポジションで真面目に取り組むようにした。 いやこれ主人公が真奈に教え…
[一言] そして損なわれる自由… うーむ…。
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