第15話 ついに……
「はぁ、はぁ……勝った、勝ったぞ……俺の勝ちだ」
死闘30時間――俺はカオスソルジャーに勝利した。
小鳥遊 無名 Lv104
HP 4300/67300
MP 100/8500
攻撃力 7520
防御力 7095
知力 6390
抵抗力 6118
素早さ 7392
運 764
【スキル】
危機察知 Lv30 HP自動回復Lv8 MP自動回復Lv8 鑑定Lv9 探索Lv2
【称号】
格闘の使い手
魔法の使い手
探索者
♦
カオスソルジャーの死体から、綺麗な光のオーブと鈍色のオーブが出てきた。予想通りのアイテムに俺の顔が思わずにやける。
『光魔法のオーブを使用しますか? Y/N 』
『闇魔法のオーブを使用しますか? Y/N 』
俺は迷わず Yes を選択する。
『スキル光魔法を獲得しました。称号魔法の使い手に統合されます』
『スキル闇魔法を獲得しました。称号魔法の使い手に統合されます』
「やっぱこれも持ってかれるか」
称号というのは少し前手に入ったものだ。その時持っていたスキルを何個か持っていかれたが、その効果は代償となったスキルの強化版のような感じであり、統合されたスキルも問題なく使えるので何の損もない。
そもそもスキルなんて発動しなくても、体が覚えているのでスキルの統合に躊躇いはなかった。むしろ別々に分かれている方が違和感があるくらいだ。
新しく手に入れた称号『探索者』は、探索スキルの効果を高めてくれるらしい。
「疲れたなぁ……」
なんやかんやこの階層には1ヶ月以上いる。このダンジョンはボスを倒すとその階層の魔物が消えるので、レベル上げやスキルの成長はこの階層でしかできなかった。
「ついに、終わったなぁ……」
この階層のボスにして、ダンジョン№0の主、カオスソルジャーに俺は勝利した。体も精神もボロボロだ。もう動けない。
だが、俺にはさらなる生命の危機が迫っていた。
「食い物……まじで腹が減った……」
丸一日以上何も食べていない。さっきまでの戦闘でエネルギーを使い切った。それこそ「すべて」だ。割とマジでシャレにならないくらい腹が減っている。
「この階層にまだ食糧アイテム残ってたかな……」
まずい、何も残っていない気がする。ボス戦前に腹ごしらえを十分にしたため、食糧アイテムはあらかた食べ切った記憶がある。
いかん、このままでは餓死してしまう……
そうだ、第49階層だ。あそこに行けばまだ食糧が残っているはずだ。
ほとんど腐ってやがる……。
ここ一ヶ月、集中して戦っていたので記憶が曖昧だ。この階層に食糧アイテムがあると思って来てみれば、どれもこれも変色したり液状になっていたりと酷い有様だった。
ここで死ぬのか……俺は……
落ちている剣を杖代わりにして歩く。ボス戦に用意した剣は全て壊れ、今着ている装備もボロボロになっていた。
いよいよ、限界だ……ん?
足音がする。何だ? 人か? 魔物か?
魔物なら肉を落とせ……。人なら食糧を分けてくれ……
とうとう冷静な思考もできなくなってきた。
誰かが近づいてくるのが分かる。
「人……?」
お……喋ったぞ、人だ。
俺の体は崩れ落ちる。
「え、1ってまさか……って大丈夫ですか!?」
意識が遠くなってきた……。
もうこの人に任せよう……。
俺は最後に、無詠唱で鑑定スキルを使用した。
如月 真奈 Lv48
HP 3000/3000
MP 180/180
攻撃力 290
防御力 285
知力 264
抵抗力 235
素早さ 259
運 68
【スキル】
剛 Lv10 縮地Lv10 物理耐性Lv3 MP消費減少Lv3 魔法耐性Lv2
風魔法Lv5 水魔法 Lv5 探索Lv3
【称号】
探索者