コント『家庭教師』
シチュエーション:部屋で勉強を教えている家庭教師と生徒。
ボケ「うん、よく出来てるわ。これなら次の期末テストは良い点取れそうね」
ツッコミ「……ねえ、ボケコ先生」
ボケ「え、何? ツコオ君?」
ツッコミ「――俺、やっぱボケコ先生が好きだ! 今日こそは俺と付き合ってくれ!」
ボケ「……またその話なの? いつも言ってる通り、私と君は家庭教師と生徒という立場なのよ。よって君とはそういう関係にはなれません。ごめんなさい」
ツッコミ「そ、そんなあ……」
ボケ「ハァ。私ちょっとトイレお借りするから、しっかり自習しておくのよ」
ツッコミ「……はーい」
トイレに立つボケ。
ツッコミ「ハァ、今日もフラれちまったか。でも絶対諦めないぞ俺は。――よし、気分を変えるためにジュースでも持ってこよう」
台所に向かう途中、トイレの前を通り過ぎようとするツッコミ。
するとトイレの中からボケの声がする。
ボケ「あー!! 今日も危なかったー!!!」
ツッコミ「っ!?」
ボケ「もー!! 何でいつもいつも私に告白してくるのツコオくーん!! 私達は付き合えないって何度も言ってるのにー!! あー、でも今日も告白してくる時のツコオ君カッコよかったー!!!」
ツッコミ「!?!?」
ボケ「はー、好きだよー!! 私もツコオ君が大好きだよー!!! 初めて会った時から、何て凛々しくてカッコイイ子なんだろうって、一目惚れだったんだからー!!!」
ツッコミ「……そんな。俺とボケコ先生が、両想いだったなんて……」
ボケ「あー!! でもダメなのー!! 私とツコオ君は、教師と生徒だからー!! あー!! でも好きー!!!」
ツッコミ「……ボケコ先生。そんなに俺のことを……」
ボケ「はー、よし、今日も吐き出せた。これで今から私は、いつもの大人で冷静なボケコ先生よ。ツコオ君の前では、こんなはしたない姿見せられないからね」
ツッコミ「ヤ、ヤバい!!」
慌てて部屋に戻るツッコミ。
そして一拍遅れて、ボケが部屋に入ってくる。
ボケ「どうツコオ君? ちゃんと自習はしてた?」
ツッコミ「うん。もちろんさ」
ボケ「そ。どこかわからない箇所はあった?」
ツッコミ「……一つだけどうしてもわからないことがあるんだけど」
ボケ「え? ああ、どこがわからないのかな? 言ってくれたら教えるよ」
ツッコミ「……何でボケコ先生は、そんなに綺麗なの?」
ボケ「えっ!?」
ツッコミ「大きくて凛とした切れ長の眼や、セクシーな目元のほくろ。長い黒髪も、清潔感があって、いつもサラサラだよね?」
ボケ「ちょ、ちょっと、どうしちゃったの急にツコオ君!?」
ツッコミ「急にじゃないよ。いつも思ってたことだよ」
ボケ「そ、そうなの……?」
ツッコミ「容姿だけじゃない。優しいし、勉強の教え方もとっても上手だし、俺が解けない問題とかあっても、絶対に諦めないで解けるまで付き合ってくれるし――俺、マジでボケコ先生には感謝してるんだぜ」
ボケ「……ツコオ君」
ツッコミ「ボケコ先生は、俺にとって理想の人だよ」
ボケ「――!! ゴメンなさいッ!! 私またトイレお借りするわねッ!!」
ツッコミ「はいはい、ごゆっくりー」
部屋から出て行きトイレに入るボケと、その後をコッソリつけるツッコミ。
ボケ「えー!?!? 何あれ何あれー!?!? 今までは好きだ好きだの一点張りだったのに、何で急にあんな褒め殺してきたのー!?!? もー!! あんなこと言われたらもっと好きになっちゃうじゃーん!! 私もツコオ君のキリッとした眉毛とか、男らしいがっしりした肩幅とか、苦手な科目にもひたむきに取り組む姿勢とか大好きだよー!!! あー!! でも私達は、教師と生徒だからー!! でも好きー!!!」
満足そうに部屋に戻るツッコミ。
一拍遅れてボケが部屋に入ってくる。
ボケ「ご、ごめんなさいね……何度も席を立ってしまって」
ツッコミ「ううん、気にしないでいいよ。――なあ、ボケコ」
ボケ「えっ!? ボ、ボケコ!?」
ツッコミ「――愛してるよ」
ボケ「――――!!!! ちょっとトイレお借りするね!!!!」
ツッコミ「うん」
部屋から出て行きトイレに入るボケと、その後をコッソリつけるツッコミ。
ボケ「いやいやいや呼び捨ては反則よッ!!! 呼び捨ては反則だってッ!!! しかも『愛してる』って!!! 『愛してる』ってッ!!!! 私も愛してるよツコオくーん!!! ハネムーンはモルディブの水上コテージで、二人っきりで二週間くらいラブラブしながら過ごしたいよー!!!! あー!! でも私達はー!! ああー!! でも愛してるううううう!!!!!」
ツッコミ「何でモルディブ?」