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黒との戦争  作者: NIA
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プロローグ

 やり直し計画の対象作品であった魔人戦争のやり直されバージョンです。

 全く世界観が変わってしまった感じもゼロではないですが、どうでしょう?

 人間はとある機械を作り上げた。

 浮遊体魔力、通称マナと呼ばれているものを多く含んだ石からそれを取り出す機械だ。

 マナを含んだ石は取り出された後、マナの多く存在する場所に埋められる。 そうすれば、いずれ自然とマナは回復する。

 この石から取り出されたマナはあらゆるものの動力源となって我々の生活を楽にしてくれた。

 世界中でこの機械が生産され、人間を始め魔族、獣人、猫人、鳥人、すべての種族がその機械を導入した。

 機械のおかげで各国はとても豊かになった。

 戦争? ここには、この世界にそんな物騒なものは無いよ。

 だって豊かなのだ、平和なのだ。 起こる理由がないだろう? 

 人々は争った時代を忘れ機械によって豊かな、平和な、楽しい毎日を送っていた。

 種族差別もない、まさに理想郷だ。 理想郷だった…。


 この機械には問題が一つだけ、たった一つだけあった。

 それは、謎の黒い粉が生成されることだ。 ただの黒い粉なら全くなんの問題もなかったんだ、だけど、そんなことは過去の話。


 最初の犠牲者は私の兄、王宮の研究所で働いていた。

 各国に輸出された機械が生み出した副産物である謎の黒い粉は人間の王国、フォングォル王国に集められた。

 当然その研究を行っていたのが兄で、その粉を植物や生物やた我々のような人間や他種族にどのような影響を及ぼすのかなどを調べていた。

 そして、分かったことはただ有害であること。 植物は粉に触れるだけで焦げたように黒くなってしまった。 普段おとなしい生物でも粉に触れると突然凶暴化し研究員に襲いかかる始末。

 その凶暴化した生物を兵士が剣で貫くと黒くて煙のない炎があがり、残ったのは黒い粉だけ…。

 国王はその報告を聞いて出した答えが王宮の最下層よりさらに下に埋めることにするということだけ。

 いつの日からかその穴は奈落と呼ばれるようになった。

 兄は機械の使用停止を訴えたが、国王はそれを受け入れることはなかった。

 だから兄は必死に研究を続けどうにかして粉を無害なものに出来ないかと、終わり無い研究を永遠と…。

 とある日のこと兄は研究で使った粉を王宮の最下層の下に破棄するとき誤って奈落に落ちてしまったんだ。

 兄は疲れていたんだ、終わり無い研究にね。

 口癖のようにいつもいっていたよ。“いっそのこと奈落に堕ちてしまいたい”ってね。

 でも、実際それをやってしまえば研究結果の通り兄は黒い炎に纏われもがき苦しみながら死ぬだろう。

 兄はそれを現実にしてしまったんだ。 現実にしてあげたんだ。

 当然、兄にとっては不本意であっただろうけれど。


「うわぁぁぁ!!!」


 兄は奈落の底に叩きつけられたとき胸ポケットからペンダントが飛び出てしまった。

 その衝撃でペンダントが開き、女の子と成人女性そして兄が仲良くしている写真が。

 兄は煙りのない黒い炎に包まれながらペンダントを手にした。


「リリカ、ごめんな。 父さんは、家に帰れそうにないよ。 サリア、愛してる。   うぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 奈落に男の叫び声が木霊した。


 兄が帰ってこれないだけなら私はこうならずにすんだ。

 研究結果以上のことが目の前で起こったんだ。




「ねぇねぇ、ママぁ」


「ん? なぁに、リリカ」


「リリカ このクマさん欲しい」


 女の子は大きなクマのぬいぐるみを両手で抱えてそう言った。


「ん~、そうねぇ。最近、リリカ良い子にしてたからじゃあ、買ってあげちゃおうかな」


「やったぁ! ありがとうママ!」


「すいませーん。 このクマのぬいぐるみいくらですか?」


 店主のおじさんと母親が話ているそばで女の子はギュッとぬいぐるみを抱きしめて笑顔を浮かべていた。


「やったぁ! クマさんクマさん♪」


 女の子は喜びクマのぬいぐるみを抱きかかえながらその光景をみて笑顔になった母親と帰路につく。

 その時、王都中が地震に襲われた。


「なんだあれ!?」


 そう叫んだ男が指さしたものは王宮。


「え…?」


 王宮から地響きと共に突如として湧き上がった黒い何かが王都を覆い隠してしまった。

 兄が奈落へ堕ち炎に包まれた後、周囲の粉がその炎に集まり突然爆発的な衝撃が起こり粉は奈落を駆け上がったんだ。


 光は当然、音までも届かない。


 まさに暗黒だ。


 思い出すのも恐ろしい光景だよ。


 リリカ、リリカとそう母親は叫んだが声は響かないし前も後ろも右も左も真っ暗で見えない。

 女の子もぬいぐるみを抱いたままうずくまって動かない、動けない、ただひたすらに恐怖を感じ続けた。

 だけど、暗黒は長い一瞬だけだった、ちょっと前が見えるようになって女の子は目を開いた。

 目の前には母親が…、黒い炎を纏った母親がじぃっとこちらを見つめていた。

 そして、母親はこう言うんだ。


「リリ…カ、に…げて」


 でも、遅かった。

 女の子の叫び声は響かなかったよ。 刹那の間も無く、女の子は散り散りになった。

 あの一瞬で、王都の人すべてが暗黒になってしまった。


 地下室から出てきた俺はそれを見た。

 王都中の人が暗黒の炎を纏い立っている姿を。


 私は自分のしたことを後悔していた。


 奈落から這い上がってくる存在に気づけないほどに。


 ようやく、その存在に気付いたときはもう私は包まれていた、その炎に…。

 だけど、しっかりと見た。 その存在を、彼は暗黒、暗黒そのもののように思えた。

 人の形をして左手には大きな黒い剣を軽々と持ち、右手には黒い炎を宿していた。 翼もあった、とても大きな翼が。

 私は兄の成し得なかったことをやり遂げた。 黒い粉の正体、それは、暗黒だ。

 人が利益ばかり求めて自然を壊して生まれた暗黒なんだ。

 きっと、復讐の為に彼らはやってきたんだ。


 暗黒は大きな翼を広げ、私に言った。


「ニンゲン、我等暗黒は貴様等に感謝せねばならん。 よくぞ、我等を蘇らせた。 そして、貴様の考えるようなに我等は自然を破壊するニンゲンへ復讐にきたのではない。 太古に我等は異なる世界よりこの世界へ来訪した。 我等はただ破滅を求めてきたのだ。 喜ぶがいい、この世界も暗黒にしてやろう。 フハハハハハハハ!!!」


 笑い声と共に奈落から次々に暗黒の兵士が湧き出した。


「我が名はクロマ!! すぐにこの世界を暗黒に包み我等のものにしてやろう!!!!」


 クロマは高々と黒い剣を掲げた。

 私は兄を突き落とすべきではなかったようだ。


 黒い粉は人から人へと乗り移り次々と伝染していき、その勢いは王国の国境まで衰えることはなくたった1日でフォングォル王国は暗黒に包まれた。

 王国に響いたのは小鳥のさえずりでも、動物の鳴き声でも、人の叫び声でもない、クロマ王の笑い声だ。

 私もとうとう奈落に堕ちた。

 未登場ですが今後主人公は登場しますのでよろしくお願いします。


 よければ、感想評価いつでも受け付けておりますのでお願いします。

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