第7話 初めての念話
「……きゅるぅ《……ふわぁ》」
竜の幼子特有の可愛いらしい声と共に、リューイとは違って少し低めの……それでも男としては高めの声が頭に響く。
「やっと起きましたね」
大きく欠伸をしながらそう言ったグレンを見たリューイが苦笑しながら言う。
《…うん?オレ、なんで寝てたんだ?……って何だこれ!念話か!?》
少々混乱気味なグレンの声が再び頭に響き、同時に『…きゅうぅ?…きゅい!きゅるる!?』といった声も聞こえるから不思議だ。
またもや忙しなく動き回っているグレンを見てクスクスと笑みが溢れる。
「いつの間にか気絶してたみたいですよ?ふふっ」
《っ!?ま、マジか!大精霊様に一緒に説明する筈だったのに…!悪ぃリューイ……》
2人で私に説明する手筈だったのに出来なかったからと落ち込んでしまったみたい。
しょぼーんと落ち込んでしまったグレンにリューイが言う。
「大丈夫ですよ、グレン。大精霊様には私からご説明しましたから」
笑顔でそう言うリューイは全く気にしていないみたい。
まるで場慣れしている様な……?
《うぅっ…リューイにはいつも世話になりっぱなしで申し訳ねぇ……》
どうやらいつもの事だったみたい。ふふっ。
こうやって2人を見ているだけでもとっても楽しい。
その会話に私も参加出来たら、もっと楽しくなれるかな……?
《っ!!だ、大精霊様!すまん!……じゃなくて、すみませんでしたっ!》
突然ガバッと地面に丸くなった━━土下座のつもりかな…?━━グレンにビクッと肩を震わせると、リューイがグレンを窘める。
「グレン、いきなりそんな事したら大精霊様を驚かせてしまうでしょう?」
《そ、そっか!すみませんでした……》
心底申し訳ない様に言うものだから、なんだか私の方も申し訳ない気持ちになってくる。
『大、丈夫。気に、していない…よ?』
《っ!!…あ、有難う御座いますっ》
私とグレンの念話の聞こえ方には少し違いがあるみたい。
グレンの方は頭の中に響いてくる感じだけど、私の方はスッと文字が入ってくるみたいな感じって言ったらいいのかな…?
言葉にするのって難しい…
多分、魔力の使い方が違うからだと思う。
グレンはリューイから間接的に"使って貰っている"けれど、私は自分で自分に"使っている"から。
後でリューイに聞いてみようかな?
『あの……敬語、無理に使わなくても、いいよ?』
約1000年のブランクの所為で、念話もまだ喋りにくい。
上手く言葉が出ないけど、きっと練習すれば直るよね…?
《そんな!恐れ多過ぎるって!……じゃなかったっ!恐れ多いです!》
「大精霊様が仰られているのだからいいんじゃないですか?グレンのその辿々しい所が気に掛かったのでしょう。ちなみに僕は癖ですので」
リューイがまだ慣れない私に代わって代弁してくれる。
その通りだと、コクコクと何度も頷けばグレンも了承してくれた。
まだ生まれたばかりなのに、リューイには沢山助けて貰ってばかり……
今度お礼しなくちゃっ。