第5話 妖精王と竜王②
……神の愛娘…?……大精霊…?
初めて聞いた言葉だが、何故か前から知っているかの様な、不思議な感覚に襲われた。
私が不思議そうにしているのが分かったのか、リューイは続ける。
「もしかして、この言葉の意味が分からないのですか?予め、この世界に生まれてくる時に知識として貰い受ける筈ですが……」
……知識?……貰い受ける?
知識等といったものは最初から命を灯す方法以外の事はなかったし、それに必要な魔力というものもそれ以外の使い方が分からない。
そもそも、私は何故この世界に生まれてきたのだとか、命を灯す以外何をすればいいのかも分からない。
……こう考えると、私は何も知らない赤子の様だと思えてくる。
しかし言葉というものは認識出来るし、意味も理解出来る。
こういった知識が神という名の人物からの贈り物という事なのだろうか…?
考えれば考える程答えのない疑問が溢れてきて、今の自分は本当に無知なんだなと思った。
1人で考え倦ねていたからだろうか、
「……大丈夫ですか?」
と、リューイと竜が不安げに顔を覗いてきた。
「ふむ…どうやら知識の欠如と混乱が見うけられますね。あっ、申し遅れました。こちらの竜は"竜王"グレンと言います」
「きゅいっ!」
1人で納得した後、竜の子の紹介を忘れていたのを思い出したのか慌てて紹介してくれ、間髪入れずに竜の子━━グレン━━が元気よく応えた。
「━━━っ、………」
私も挨拶を返そうとしたのだけれど、1000年もの間誰とも話すことなく生きてきた所為か、上手く喋れなかった。
なんだか、今までずっと孤独だったんだという事を改めて感じて胸が締め付けられる様に苦しくなった。
「━━っ!?だ、大丈夫ですよ!話す方法なら他にも幾らでもありますから!」
リューイは突然瞳を潤ませた私を見て、喋れなかった事が悲しくて泣き出しそうになってしまったと勘違いしたのか慌てて私を慰めようとしてくれた。
その隣では私を心配してか、グレンもあわあわと忙しなく動き回っている。
2人がとても一生懸命なものだから、私は嬉しくて…暖かくて……つい、クスリと笑ってしまった。
突然2人が静かになったのでもしかしたら不快にしてしまったのかも知れないと、ハッと慌てて顔をあげる。
すると2人はただ呆然と立っているだけで、それは杞憂だった事が分かった。
だけれど、今度は何故2人は突然そうなってしまったのだろうかという疑問が浮かんできた。
2人共、頬がほんのりと赤く染まっている気がする。
不思議に思ってこてんと首を傾げると、更に赤く染まった。
疑問は増えるばかりである。