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第3話 神の使い
眠る事のない身体を持つ彼女が約1000年振りに目を覚ますという体験をした時、眼前に広がっていたのは……
荒れた荒野だった。
嗚呼、駄目だったのか……
彼女の心を黒い何かが覆い始めた時、
━━よぉく、見てご覧なさい
久方振りに聞いたその『声』は、とても暖かくて…私の心を癒やしてくれる…
その『声』に従って周囲を見回すと、遠くの方に何か光るものが見えた。
背中にある半透明な2対の羽を羽ばたかせ光源へ近寄ると、そこには見慣れた森が広がっていた。
思わず『あの木』を探してしまう。
━━あっ。
荒野と森の境界近くにそれは有った。
恋焦がれたものの前に降り立つと、その根元に光球が…
・・
寄り添い合い、存在する2つの何か。
それに惹かれる様に手を伸ばし、触れた。
瞬間、
唐突に2つの光球が眩い程の光を発し始め、彼女はギュッと目を瞑った。
光が収まり、目を開けるとそこにはきらきらと輝く2つの『命』が存在していた。