第11話 魔法
………っくしゅ
さ、さむい……
日が暮れた事で気温が下がり、水に濡れた身体がカタカタと震え出してしまった。
リューイも寒そうにしてるけど、グレンは大丈夫みたい。
竜は寒さとか暑さとかをあまり感じないんだって。
…………っくしゅ
うぅ…
あまりの寒さに自分の身体を腕で抱き締めた。
《…大丈夫か?》
グレンが不安そうに聞いてくる。
大丈夫って言いたいけど、はっきり言って大丈夫じゃないかも…
「さ、寒いです…あっそうだ!こういう時こそ魔法ですよ!」
『……ま、ほう?』
聞いた事のない言葉に首を傾げていると、リューイが説明してくれる。
「"魔法"というのはですね、魔力を操作して発生させる不思議な現象の事ですよ!まずは僕がやってみるので見ていて下さい。実際に目で見てみる方が分かりやすいかと思いますから」
私はコクコクと頷いた後、リューイに促され少し離れた。
「では、いきます!」
リューイはすっと息を吸い込むと、声に魔力を乗せて言った。
『火よ』
すると翳したリューイの手の先━━空中━━に炎が現れた。
『すごい……すごい!』
「ふぅ、無事成功したみたいで良かったです。さぁ、大精霊様。これで温まりましょう」
リューイは安心した様にそう言うと、にこっと微笑んだ。
でも……
何も言わずに動かない私を見て、リューイとグレンがまた不安そうな顔になった。
「どうかしましたか?」
『そ、その……私も、名前……欲しいなって……』
ぼそぼそと小さな声で言う私を見て、2人はハッとした顔になった。
「まさか、名前も欠落した知識の中に含まれているとは……気付くのに遅くなってしまってすみません。大精霊様には、神からとっても素敵な名前が贈られていますよ」
《そうそう!オレもとっても良い名前だと思うぞ!》
どうやら私の欠落している知識の中にも含まれていたみたい。
しょんぼりしてると、2人が笑顔で慰めてくれる。
なんだかあったかいって、いいね。
そんな事を考えているとリューイが口を開いて言った。
「"大精霊アリシア"それが、我等が父"創造神ティファニー"様が愛情を込めて貴女に贈られた名前です」