覚醒Ⅴ~相模の言動について~
俺たちは拍手の中退場した後、教室の中に入った。全員が席に座ると、先生がまた説明を始めた。
「この後、十分になったら校庭に行って、集合写真を撮るぞ」
「解ったか!」
「解りました」
そう、おっとりした感じの子が答えた。ちなみに、このヤンキー口調の女教師は坂上 恵美である。見た目は貧乳メガネの背が高いスレンダーな知的理系女子という感じなのだが、聞いての通りヤンキー口調で話す。だからといって、ヤンキーなわけではないだろう。
近年、教師の質が低下している。などといわれているが、さすがにヤンキーを雇うわけではないだろう。しかも、ここは国立の高校なのだ。たとえ雇っていたとしても、ここに配属をされることはないだろう。たぶん。なぜたぶんというのが付いたかというと、さっきヤンキー的なセリフを聞いたからである。そのセリフとはこうだ。「間に合わなかった奴は、うさぎ跳びで十週な」である。
いや、別にヤンキーであるわけではない。ただたんに、体育会系なだけである。たぶん体育教師なのだろう。大抵勉強が出来る奴は、スポーツは得意なわけではない。だから、まず基礎体力からつけようとしたに違いない。たぶん。
暇だなーなんて三分経った頃に早速思っていると、相模が話しかけてきた。(気を付けろよ)ああ。
「あの、茶髪のメガネっ子。良いとは思わないか?しかも、いろいろな科学コンクールで優秀な成績を収めているらしい。特に生物学だとか」
「へー。でも、ちょっと起伏が無くないか?」
「まな板だから悪いって言うのか!貧乳はステータスだぞ!」
俺は、アイツにこれ以上貧乳、貧乳連呼されるとあの子が可哀想なので小声で耳打ちで注意する
「おい!あまり大きな声で言うな。聞こえていたら本人が可哀想だし、何よりあの子にお前、嫌われるぞ」
「え、別に俺は褒めているだけだが」
「いや、いくら褒められたって自分のコンプレックスを言われたら傷付くだろ」
俺はそう、さも当たり前のようにそう返すチャラ男なのに、女心がわかっていないチャラ男に返した。お前、本当に魔法師か。(おい、お前の幼馴染とあの女のこの魔力量が普通よりも高いぞ)ということは、アイツは魔力が高い奴を狙っているのか。そんなことを思った瞬間にそれを覆す言動をアイツはした。
「やっぱり、ボインがいいな。ほら、あのおっとりしそうな巨乳っ子を見ろよ。すごいぞ」
「へーそうだな」
俺はそう、棒読みで返しつつ内心がっかりした。アイツが純粋に綺麗な女の子を狙っていただけのことに