サイカイⅨ~約束~
反射的に隠れたもののさすが忍者と言ったところかすぐにバレてしまった。名前を呼ばれてしまったため諦めて忍者の前へと進む。
湯川さんは驚く素振りを見せず至って冷静だ。俺はなぜ湯川さんがここにいるのかが不思議で質問する。
「なぜ、湯川さんがここに居るんだ?」
「何でトイレに行くと嘘をついて屋上に行ったのか気になったから」
「どうやってわかったんだよそんなこと」
「ベビー用品を含むコーナーにトイレは無いから」
「まあ、そうだよな」
動揺していたせいか大きく単純なミスをしていたらしい。
「で、何でお前一人でそいつと一緒にいるんだ?」
「それらしい人がいるから声を掛けてた。彩科なら気づいてないようなので置いてきた」
「そうか。で、あいつとは何を話したんだ?」
「何も」
「ちょっと話があるから帰ってくれ」
「いや」
「帰ってくれ」
「いや」
「帰ってくれ!」
「いや。それに必要になるって親が言ってた。わたしにする助言が間違ってたことは無い。それにあなたの力になりたい」
そう言う湯川さんの目には確かに眼差しに覚悟というかそんな類のものが宿っていた。
(取り込んでおいたほうが良いんじゃないか?頭脳として)
(巻き込みたくないんだけどなー)
(使えるものは使った方が良いだろう。それにあの子は勘も鋭い 。あの頭脳と勘を持っているならいい魔法師になる)
取りあえず訓練をしてから決めるか。熱意は本物だし、実力があったらその熱意に免じて関わらせよう。
「力を付けてからな、今は引いてくれ」
「わかった」