サイカイⅤ~デパートメントⅡ~
前の話と合体させます
人工知能が動かすためか一律五十KMという微妙に遅い速度で三十分間走ってもらうとデパートに行ったことのない俺でも知っている有名デパートが見えてきた。
デパートの規模は都内にあるのにとてもでかい、いや、都内だからでかいのかもしれない。今時の子はここまでわざわざデパートに行きたがるのかはさておいて俺たち三人はデパートに入り相談し始めた。
「どこ行くの?」
「俺には女の行くところなどわからないが」
「同じく」
「じゃあ、女の子らしく服でも見に行こう」
エレベーターに湯川さんがとことこ駆けて行く。着いて行くとエレベーターの隣にそれぞれの階が何があるのかを書いてあるのが目に入った。
湯川さんはどうもそれを知っていたらしく微妙にドヤ顔をしている。
「二階と四階に服屋がある」
「四階にあるのはペガサスっていう俺でも知っている高級ブランドだな」
「じゃあ二階に行くべきだね。エレベーターで二階に行こう」
二階に着くと服やら靴やらが左手の一番奥にたくさん見えた。一応店一つで左半分のフロアを占領するとまではいかないが広大な敷地なのに二つの店しか存在していない。
女性のショッピングで時間がかかるとは言うが主にこの服の品揃えの良さのせいではないだろうか。俺が欲しいものがこんなに豊富な品揃えだったら迷うだろう、そこから考えれば納得できる話だ。
だが、二人は違ったらしい。一瞬で俺という男が居るにも関わらず下着売り場に直行し、すぐに試着室でサイズがあっているか確認すると列にならびに行った。
恐らくこれは女子として、というか友達との付き合いとしてはNGだろう。俺が友達だとすれば友達を一瞬で置いていき、友達が入れないところに入って友達に会話する余地を与えない。
友達というか嫌っている人にやる行動だろう。本当に二人は勉強しか出来ないな。これで社会を生きていけるとは思えない。
帰ってきた二人にアドバイスしようと思ったのだが幼馴染が凄い勢いで話掛けてきた。
「いやー胸が大きくなっちゃったからさ。買いたかったんだよね」
なぜか湯川さんをチロチロ見ている幼馴染に湯川さんがムっとしながら俺に言う。
「わたしも胸が大きくなった」
「大きくなったように見えないけど」
「大きくなった」
湯川さんと幼馴染は見つめあいバチバチと火花を散らしている。二人の後ろには般若と天照大御神が顕現しているように見える。
この二人の背中に見えるこれは一体何なんだよ。怖いよ。