サイカイⅡ~沈黙~
なかなか筆が進まない。
いつも通りのことをしていつも通りの時間に出た俺は目の前に広がる光景に驚愕した。なぜ俺が驚いたかというと目の前に仁王立ちする二人の姿が見えたからだ。
幼馴染の方はまだ似合うのだが湯川さんはまったく似合っておらず見ていてなぜか微笑ましい気分になってくる。
「「どっちが可愛い!?」」
なぜ同じ過ちを繰り返すのだろうか。それに、我が幼馴染よ。好意を隠す気はあるのかい?さて、どうすればいいものか。また同じことを言えば黙ってくれるのだろうが登校するときに気まずくなることは請け合いなしだ。
だからといって「どっちも可愛いよ」と言うと俺が恥ずかしさに悶えることになるしこの二人の喧嘩は収まらないかもしれない。
では、こうしよう。
「お前ら空を見てみろ。空はこんなに広い。空の気分になってみるんだ。そうすれば何か満たされた気分に成ってこないか」
「「確かに」」
「じゃあ、行くか」
何か成功したぞ。これからは争いごとが起きたらこれで解決するんじゃないか。まあ、そんなことはないだろうけど。
大空の偉大さのお陰か二人とも悟りを開いたお坊さんのような顔をしている。二人がその表情をしているのがいいのだが会話は全く起きない。
恐らく会話が全くないせいでシーンとしているこの状況でも二人は満足しているんだろう。だが結局、この会話が一切な状況は気まずい雰囲気になったといえるかもしれない。