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平和な戦場XXIII~異常な家ⅩVIII~
「何が起きるの?」
「湯川さんも知らないのか」
「うん」
アダムではない機械質なダンディーな声が博物館に響いた。
「伏せておいたほうが人生の楽しみが増えていいじゃないか」
「そんなことは無い」
「そんなことは無いよ。本当にそっちの方が良いから」
「そう?」
「そう」
「お父さんがそういうなら従っておく」
どうやらさっきの湯川さんの父らしい。さっきとは声が違うのでキーボードとか音声で入力して合成したのをスピーカーで出力しているのかもしれない。
「では、そろそろ空が赤くなって来ましたので帰ったほうがよろしいのではないでしょうか」
「もうそんな時間か」
「えー、まだ駆逐艦見てないのに。でもそんな時間なら帰るか」
俺たちは湯川さんを先頭に来た道を戻った。
「じゃあね」
「じゃあな」
「じゃあね」
俺たちは湯川さんに別れを告げたあと当たり障りのない会話をして帰った。
長く苦しい戦いだった……わけでもないけどついに湯川家の話は一旦終了。今後湯川家はだいぶ後に関わってくる予定です。名探偵と人工頭脳は使い易いので。