平和な戦場XIV~異常な家ⅩⅣ~
と、思った矢先に横で今まで黙っていた湯川さんがご丁寧に喋ってくれた。
「過去に特定秘密保護法によって普通の人は知らないけど、探偵法が制定された。なぜかといえば謎の犯罪集団アーティストを打倒するため。そして、その謎の犯罪集団アーティストというのはマイケル教授というモリアーティ教授の」
「もういいよ。俺は一般市民だから。そういう話は聞くべきじゃない」
耳をふさいでそう言った。そういう話は唯の一般人である俺には知ってはいけない話だ。第一あのシャーロック・ホームズに出てきたモリアーティ教授がモデルの人物が話に絡んでくるとか嫌な予感しかしない。どうせ、シャーロック・ホームズのモデルもいるんだろ。
そして一般にマイケル教授がモデルとか聞かないからアーサー・コナン・ドイルはそのマイケル教授の子孫かホームズのモデルの子孫とかそんなところだろう。もう、終わったと思った俺はふさいでいる手を取った。
さっき話すを止めた湯川さんは再度喋りだした。
「だから、お母さんは勘がいい。嘘はつかないほうがいい」
「おう」
そう返しておいた。そして、話の文脈からわかってしまった。湯川さんの母親はホームズのモデルの血を引いていることに。そして、アダムが言った。
「あなたは一般市民なんかではないですけどね」
「え?」
もちろん、俺は一般市民に分類されるもんだと思っていたので驚いた。{ゴクリ}俺が思わずつばを飲むとアダムが言った。
「お嬢様のお気に入りなのですから」
俺は実は政治家の二世とか、天才魔導師だからとかそんなのを想像していたのだが全然違ったので少し恥ずかしくなった。
天才魔導師であることとかはアダムでも解るわけないし、政治家の二世に関しては純粋にそんなわけがないのにそんなことを思ってしまった俺が恥ずかしい。
湯川さんがアダムに返した。
「だからといって言って良いことと悪いことがあると思う」
「あれ、俺は湯川さんに説明されたはずなんだが?」
「気のせい」
「いや、誤魔化せないだろ」
確かに湯川さんの言う通りと思ったのだが、だったら湯川さん言うなよ。というか湯川さんがダメだと思ってしまったら俺が消されたりしないかな。
その考えにいたると手が少し汗ばんできてしまった。このことに関しては気づかないで欲しいな。本当に適当な罪状を擦り付けられて俺の首が折れるかもしれない。そう思った直後期待にそぐわずアダムがそのことについて口にする。
「聞いてはいけないことを聞いたということは処理しなければいけませんね」
「じょ、冗談だから。ちょっとウケを狙ってみた」
「珍しいですね」
意外だなと思ったのだが、やはりアダムから見ても意外だったようだ。