平和な戦場Ⅷ~異常な家Ⅲ~
そんな疑問を持ちながら俺の目の前に横から射出されてきたスリッパを履くと家を見回した。外観はいたって普通の家である。俺の左側には靴入れがあってその上には白衣姿の湯川さんのおじいちゃんやおばあちゃんらしき人まで含めた家族写真が置いてあるし、下はただの木製の床だ。
別に床や天井、壁が金属ということはないしいたって普通の家だが、マギナに聞いてみた。
「外観はいかにも普通だけど?」
「外観は見せかけ、確かに表面は木材だし、壁はコンクリートの壁だけどコンクリートはダクタルという硬いコンクリートだし木材は下に金属が仕込まれてる」
「しかも床が割れてガトリングレールガンとか壁からレーザー砲とかもあるから危険」
「お、おう」
俺は予想以上にアレだったのでたじろいでいると人工知能が追いうちをかけるようにして言った。
「試し打ちしてみましょうか?」
「いや、や、やめとけよ」
そんなに危ないものを出されるとか言われたので俺はさらにたじろいだ。そんな中湯川さんが言う。
「アダム、それはシャレにならない」
「わかりました、お嬢様」
「フウ」
俺がため息を思わず吐くと同時に幼馴染が再度興奮して早口で巻くし立てた。
「人工知能がジョークを!?どこまで進んでるんですかこの家は!!」
「人工知能ということすらとても凄いことなのにジョークを言ったり一所有者の命令を拒否したり、危害を加えることのできる武器を操るなんてどんだけ進んでるんですか!!!」
興奮しすぎたせいか言い終わって{ハアハア}息を弾ませている幼馴染に湯川さんが言った。
「確かにジョークは言えるけど、いざとなったらこのリモコンを使って停止させることは出来る」
そう言いながら渋い銀色のリモコンを取り出しながら湯川さんは言う。
「わたしは所有者じゃない。所有者は父でそうゆう危険物を扱うときは父の承認が必要。承認しないで無理やり使おうとするとプログラムが自動的に物理的に記憶装置ごと消滅する」
「ちなみに、アダムに命令を出す本体と命令を出される側、その命令をハッキングは出来ないから安心」
「すごいですね」
そして、やっと幼馴染がスリッパを履く。するとアダムというだろう人工知能の道案内のアナウンスが流れはじめた。
「まずご学友の左手にありますのはお嬢様、つまり沙理名様の父方のご祖父様やご祖母さまを含めた五人でこの地下にあります研究所でとった写真です」
「これはとある兵器を作ったあとの写真なので、本当はこの中に兵器が映っているのですがカモフラージュ用の写真として置くにあたって兵器は載せられないの画像処理で除かれています」