平和な戦場Ⅲ~帰宅途中での修羅場Ⅱ~
そんなこんなで俺たちはわざわざ遠回りして湯川さんと一緒に帰ることにした。というか湯川さん、俺たち二人が右側に行こうとしているんだから普通はあんたがついてくるほうではないのか?俺はそう問いかけようとしたが、湯川さんのどことなく不機嫌そうなオーラに気づき止めた。
なぜ、無理を通せた湯川さんが不機嫌になっているんだ?女子に関しては少しは解るものだが、湯川さんに関してはさっぱり解らない。やはり、天才というのは俺みたいな頭が凡人並みの人には解らないのだろう。そんなことを考えるていると幼馴染が喋りだした。雷にでも打たれたのかなんと勉強の話ではなく休日に遊びに行こうという話だ。
ちなみに言うが幼馴染と休日に遊ぶというか会うのは幼馴染の部屋でしかも勉強だけしかしたことが無い。これを聞けばこの話をする異常さがわかるだろう。
「仁、次の日曜日にデ、デパートに行かない?」
もちろんこのセリフを聞いた俺は心底驚き思わず口から確認の言葉が出る。
「もう一回言ってみろ!!」
「仁、次の日曜日にデパートに行かないか?と言ったけど?」
「病院にいったほうが良いんじゃないか?」
俺はほとんど本心からそう言った。すると、幼馴染は慌てふためきながら理由を言う。
「今ままでそういうことはなかったけど友達も出来たし、そういうことが友達が増えるとありそうでしょ?」
「確かに」
「だから、予行練習をしようと思って」
「なるほど」
確かに筋が通っている、と納得すると同時に俺はものすごい恥ずかしさを覚えた。予行練習という名目があるもののこれはデートでもあるのだ。というか、相手もデートと思っているだろう。なぜかといえばさっきはあまりにも大きい衝撃を受けていたから気づかなかったが提案者である幼馴染は頬を朱色にしていたからだ。
無視されて話をされているからか湯川さんから漂ってきている不機嫌な雰囲気が徐々に濃くなってきている。そして、その発生源である湯川さんが言った。
「だったら、わたしが行けばいい」
すると、幼馴染はこういう風に言われる可能性を解っていたのかすぐに湯川さんに返した。
「友達が一緒に言ったら予行練習の意味が無いでしょ?」
「じゃあ、二人で行くよりも緊張しないと思うからわたしも行こうか?」
幼馴染が顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。すると、それを本当に肯定のうなずきと取ったのかはたまたわざとかは解らないがそれを肯定と受け取り湯川さんが言った。
「じゃあ、日曜日にわたしの家の前で十時に来てね」
「わかった」
幼馴染はさっきの「二人で行くよりも緊張しないと思うから」という一文で俺のことを異性と意識していることが湯川さんにバレてものすごい恥ずかしいのか肯定や否定の声がでなかった。




