忍者襲撃Ⅵ~勘違い~
恐らく大事な話になるのだろうと予想した俺は考えを断ち切って、無表情ながらも僅かに頬を赤らめる湯川さんの言葉をしっかりと聞いた。
「本当に可愛いと思ったの?」
「あーー・・・はい」
予想外の質問だったため俺は本当のことを言うべきか迷ったが、俺は本当のことを答えた。それにしても、相手のつまり湯川さんの表情がまったく解らない。それに、恥ずかしげなく湯川さんがそう聞くのでなんか不思議だ。普通の人なら言い淀んで、結果、いえるかどうかだ。
言い淀みすらしない、ということはナルシストかそれとも相手がそう発言したことを自分の容姿に対する信用とは別の理由で確固たる自信を持つものだろう。走考えてみると顔を赤らめている、決めてかからないということは後者で、自信が少しないということだろう。
そんなことを考えていると湯川さんが僅かに笑顔を見せたような気がした。すると、湯川さんが頬を赤らめたまま俺に言った。
「おもしろい。よろしく」
「こちらこそ」
そうしてなぜか俺は湯川さんと握手をし、女の子の手が柔らかいことを再発見すると俺はたぶん湯川さんと友達になった。俺的にはある程度話していた気分だったので友達候補ぐらいの気分だったのだが湯川さんとはそういえば話していなかったなのでこれで友達になったのだろう。たぶん。
微妙に満足ぎみな感じのする湯川さんと別れ俺は中断していた口寄せの術の対策について考えることにした。口寄せの術とは確か友達に見せてもらったマンガでは自分の血を巻物『恐らく魔方陣』にたらして契約している動物を召喚する魔法だったはずだ。
ただ、魔方陣に血を垂らすかどうかは不明だ。なぜか、といえば前世の世界では魔方陣に血を垂らす、という方式は無かった。もしかしたら、モンスターテイマーなら知っているかもしれないが、少なくとも俺は知らない。考えてみて思ったのだが、マンガの術が出てくるのか?
確か、怪しげな心霊番組でも聴いたことがあるのだ。口寄せの術、という言葉を。思い出せ、思い出せ。心霊番組、口寄せの術・・・・思い出した!!あれは霊を自分に憑依させて偉人に聞こう!!てきな番組だったはずだ。ようするに口寄せは降霊術だ!!だが、あれは嘘っぱちである。
なぜか?といえば前世の世界にはゴーストというモンスターずなわち幽霊がいたが、それの構成成分は魔力、そして自我を持ったゴーストは存在しなかったのだ。要するに口寄せの術は忍者が使えないのでこのままの作戦でいいだろう。