事件の前奏曲《イントロダクション》Ⅳ~国立理科高校~
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そう、相模の口ぶりからすれば俺の方が戦闘能力は上と解っているのに俺はいつ忍者に殺されそうになるのかとドキドキしながら屋上のドアを開けようとする。すると、ヤンキー先生こと坂上先生とその生徒の声が聞こえてきた。
「仙道の奴どこにいやがる。藤崎!!探して来い!!!」
「ひ、ひぃ!!」
まずい。相模の方がインパクトが強くてすっかり忘れてた。ど、どうする。(忍者はアイツが魔力量と魔導が使えるとしかわからないのに勝てると断言できるぐらいの相手だ。訓練しても問題はないだろう。さすがに、本当にあのグラウンド十週させるわけではあるまい)まあ、そうだよな。仕方ない、行くか。
ちなみに、国立理科大学は理数系に極端に特化した学校だからかグラウンドが極端に大きい。普通は無いか、小さいじゃないの?と思われるかもしれないが、この学校ではグラウンドとは本来の運動する場所という意味とはかけ離れた外観と使われ方をしている。
この学校のグラウンドはまず、アスファルトに覆われている。そして、大きさは簡単に言うとグラウンド一周が一KMだ。これで、使い方がわかった人もいるだろう。ここは隅っこ以外が自動車研究部が大抵自分達で改良したレースカーや自動車の試運転をしている。
部品をどう調達するのかといえば、国から貰った研究費や企業から貰った研究費で、発注する。だからといっても、論文やシュミレーション結果の提出が義務付けられてはいる。この学校では恐ろしいことに部活といってはいるものの明らかに企業や研究室並みの研究並の活動をしているのがほとんどだ。
知りたくはなかったのだが、なんとグラウンドは特別に速度制限が無いらしい。ちなみに、隅っこには様々な金属で作られている的が置かれており、明らかに違法だろ、と言いたくなる空気砲が撃たれることがあるらしい。ただ、武器等製造法には事業と明記されており違法ではないそうだ。それは後々、あの優秀な生徒なら事業に発展しかねないので屁理屈だろと言いたい。
もちろん、全員が全員そんなおかしいぐらい頭が良い奴ではない。この学校の入試体型がおかしいからである。一般入試は難しいがそれだけだ。だが、推薦入試がおかしいのである。
国の推薦。毎回科学コンテストなどで入賞している地学、化学、物理、生物学、数学、工学の優秀だと思われる人を国が推薦して、その人が受諾すれば合格である。これで入った人たちには国から学費が支給されたり、研究費を優先的に融資してくれるという高待遇ぶりだ。
税金の浪費だと思われていることもしばしばあるが、そんなことは無く一般入試だけでは拾うことの出来ない埋もれるはずの理科に特化した人を育てることが出来て、在学中に普通に頭が良い生徒を刺激して、卒業後は研究センターなどで周りの科学者などの良い刺激になるからだ。
何よりそういう人は過去に多く居た偉人と同じようなタイプなので日本にすごい偉人が生まれる可能性があるというものもあるだろう。
もちろん、俺と幼馴染は一般入試で合格した。「ど、こ、だー!!」そんなヤンキー先生のドス黒い声を聞いてまずそうだと思った俺は三分ほど走り続けて先生の前に向かい土下座した。