覚醒Ⅶ~妹~
「最後の追い上げは良かったぞー」
「ありがとうございます」
俺は、やけににこやかに話しかけてくるヤンキー先生こと恵美先生にそう返した。すると、変わらぬ温かい笑顔で先生が告げた。
「でも、ワースト二位だから明日グランド十週ね」
「え、」
「ほらほら!!いけ!!遅れるぞー」
(ドンマイ。だがな、戦う魔導師は魔導だけを鍛え続ければ良いわけじゃない。前衛職までは行かなくとも、体も鍛えなくちゃいけない。そうしないと、前衛職がやられたときに接近戦に持ち込まれるとまずいし、そもそもソロのときは前衛職が居ないから接近戦も対応できるようにしないとまずい)
(だから、無駄になるわけじゃない)いや、戦うつもりとかないし。第一戦う相手が居ないだろ。(いるじゃないか隣に)いやいやいやいや、戦う可能性がほとんどないだろ。(戦わないとは限らないぞ、こいつが自分の仲間に入れたいと思ったら魔導を行使してくるかもしれない)
その前に、言葉で勧誘してくるだろ。(そりゃ、そうだろう。だが、アイツが犯罪活動をする組織に属していたらどうする。魔導師協会にもいろいろあるんだぞ)そんな可能性は低くないか。(可能性は低いが、少なくとも数パーセントはある。用心に越したことはない)まあ、そうか。
そんなことを思っていたら、集合写真は撮れたらしい。後で、見たら議論をしている人のような険しい顔と疑うような表情をする顔が撮れていた。おかげで友達に笑われてしまった。おのれレイン。
集合写真が撮り終わると各自解散になった。明日の学校は休もっかななんてことを考えながら校門を出て帰ろうとするといきなり、誰かが腕に抱きついてきた。
実は幼馴染じゃないかなどとドキドキしていたのだが、やはり妹だったようだ。
今右腕に抱きついているのは、千同 彩美。中学一年生の俺の妹である。
「お兄ちゃん。にゅーがくおめでとう」
「ありがとう。だが、中学生になっても腕に抱きつくのは勘弁して欲しいんだけど」
「別にいいじゃん。高校生になるまでならセーフだよ!」
指をピシッと俺の前に立てて急に真面目に語りかけてくる妹に俺はため息をついた。まあ妹は見ての通りのお兄ちゃんっ子である。俺としては困るわけだ。何故かといえば『俺が不快感を感じる』こと、そして一番大きな要因である『世間の目線が痛い』からだ。小学三年生ぐらいまでは微笑ましいという感じで近所の皆さんも見てくれていたのだが、今通りすがった全身黒いスーツを着ている女のように引きつった表情で見てくることが多々ある。
ちなみに、妹はまるで血がつながっていないかのように美人だ。ハーフなせいか目が黒く金髪である。母譲りなのかスタイルは中学一年生にしてはとても良く、少し胸が小さめの高校生でも充分通じそうだ。
俺はいつものように妹にお前がブラコンだから直せという話をしながら俺たちは帰宅した。




