最終話【真実】
懲役45年と8ヶ月━━これはすでに50歳を過ぎていたアマルフィ町田にとって、終身刑といっていいほどの重罰だった。
そして予想どおり、アマルフィ町田は2度とシャバに出ることはなく、服役中に病死することになった。享年74歳である。
そんなアマルフィ町田は服役中日記を書いており、死後にその日記の一部が公開されることになった。
そこには『なぜ自分があんなありえない勘違いカットをしたのか?』、その真相について説明されていた。以下、アマルフィ町田の日記により
……今年で74歳。そろそろ死期が近づいているのがわかる。
死ぬ前に、どうしても書き残しておかなければならないことがある。それはあの勘違いカットについてだ。
いうまでもなく、あれは勘違いなどではなく、わざとあのような髪型にしてやったのだ。それはなぜなのか?
私は昔から楽していい思いをしようとする人間が大嫌いだった。そんな私の店にやってくる女性客が、きまって楽していい思いをしようとする人間ばかりだった。
女優のだれだれみたいな髪型にしてくださーい
アイドルのだれだれみたいな髪型にしてくださーい
『いい加減にしろ!』といいたい。することはたったのそれだけで、あとは美容師の技術に任せっきり。気に食わなければ文句をたれる。私の怒りの火山はついに爆発を起こしたのだ。
私があのような事件を起こしたのは、細かい具体的な注文をすることなく、ただ『だれだれみたいな髪型にしてくださーい』と頼んでいい思いをしようとする世の女性たちへの警告なのだ。それを死ぬ前に書き残しておこうと思う。
……このアマルフィ町田の日記公開後、かつてアマルフィ町田を訴えた女性たちがアマルフィ町田の墓参りをするようになったといわれている。【終わり】




