表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

第六話 初期調査とこれからのこと

「……おいラーグ、聞こえてるか?今日はこれで終わりにして、開始地点に戻るぞ」


「隊―長―、俺らこの辺グルグルしてたわけじゃないっすよね?」


 車に乗り込んでドサッとそこらへんに座った俺の横に、レイルが来て、俺に言葉を返した。


「特殊塗料落としてるから大丈夫よ」


「特殊塗料?なんだそれ」


「光を当てると光るの。ブラックライトじゃなくても光るから車のライトでも分かるのよ。かつ塗料自体は透明だからそのままじゃ見えないし染み込むから……まぁここはどうか分からないけど、でもそのおかげで消えないし……」


「ふぅん。マーキングにはちょうどいいってわけだ」


「まぁ、そういうこと」


「はぁ、疲れた~。早歩きってツラいよな、結構」


「あ、そうだよね。お疲れ様。あ、水持ってくるね」


 レイルが奥の方に入っていく。と、ロイ隊長が話し掛けて来た。


「明日には調査チームの車を見つけるぞ。いつものポイントは明るくて地上との通信もしっかりできるが、あそこから離れると周りも闇に包まれて、通信の調子もおかしくなる」


「……そうなんすか。俺、外歩いてたから暗いな、ぐらいにしか気にしてなかったっすけど……」


「あぁ、ほぼ一日空けたからな。ラキとグレイと通信をして、地下の様子の分析でもしてもらおうと思っている。安否も確認できるからな」


「そうっすね。でもグレイとラキなら、俺らが全滅しても生きてますよきっと」


「あぁ。そんな気もするが、全員で行動する作戦には今更変更できないしな」


 そこで扉が開く音がして、レイルが戻ってきた。


 渡された水の入ったグラスを受け取る。


「あぁ悪ぃ。ありがと」


 レイルに礼を言ってゴクゴクと飲み干すと、「あ、飲んじゃったの?もう一杯持ってくる?」とレイルが言った。


 レイルに行かせるのもなんだと思った俺は、「あぁ、うん。自分で行くわ。ありがとな」とレイルに言って奥へ入っていく。


 正直言うと、俺、ロイ隊長苦手なんだよねー。とっつきにくいっていうの?オーラがなんか、ねぇ。隊長なのになー。


「おーい、ラーグ?」


「んー?」


 レイルに呼ばれて奥から出て行けば、ロイ隊長が言った。


「俺たちは今、三人だけだ。明日の行動をどうするか、全員で決めようと思う」


「はーい。まぁ、そうすればバラバラになっちゃってもどうにかなりますもんね」


「俺も特に異議なし」


「そうか。そうだな……明日もラーグに外を歩かせるわけにもいかないだろうから、車のスピードで長距離を走ってみようと思うんだが、お前たちはどう思う?」


「それ賛成。俺今日さすがに疲れたし、戦闘になったらやばいし」


 俺は真っ先に、ロイ隊長の言葉に賛成した。


 また明日もこんなことをやらされたのでは、いくら訓練を積んでいるとはいえ、無理が出てくるはずだ。


「レイルはどうだ?」


「あ、はい。私もその案に賛成です」


 レイルもロイ隊長の案に賛成した。これで明日の行動予定は決まったようなものだ。


「じゃー俺、中にいられるんだな。よかったよ、外危ないし」


「そうだね。疲れたなら仮眠でもとる?ご飯作ったら起こすよ?」


 レイルの言葉に肯定の返事をしようとして、その場にはロイ隊長もいることを思い出した。


 ちらとロイ隊長を見れば、彼と目が合った。


「あ……」


「今夜も見張りがある。ラーグ、お前からだからな」


「あー、はい、分かりました。……んじゃ、ちょっと寝てくるわ」


 後の言葉はレイルに向けて言った。俺は仮眠室に向かおうとして身を翻す。


 すると、付いて来ないと思っていたレイルが、後から付いて来た。


「見張りまでにちゃんと寝といてね。疲れただろうけど、きっと明日には全部見つかって帰れるよ」


「そうだな。そうなると嬉しい」


 レイルの言葉に返事をして、俺は仮眠室に入った。


 廊下に残ってそんな俺を見つめるレイルが、ため息を吐いた気がした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ