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第十二話 襲撃

「人間か?だけどそれにしては今更だな……。それに、なんで()(そこ)にいるのに姿が見えるんだ?」


「本当に。もしかしたらアレが標的(ターゲット)かもしれないわ」


「子供みたいに見えるけど……」


 小声でそんなやり取りをしているうちにも、その白い影はワゴンに近づいてくる。


 ロイ隊長を切り刻んだのがあの白い影だとしたら、もっと瞬間的に二人に近づいて殺せるのだろうが、何か思惑があるのか、ゆっくりと歩くように近づいてくる。


 車でここから離れても、同じことだろう。むしろ自分たちが闇に包まれたら、今以上に動けなくなってしまう。


 レイルをワゴンの奥に押し込んで、ラーグはワゴンから降りた。


「ワゴンがどれくらい使えるか分かんねぇけど、時間稼ぎにはなるだろ。レイルはとりあえずその中にいろ」


「う、うん。無理しないで……」


「おぅ、分かってるよ。ありがとな」


「まだだよ、ラーグ」


「ははっ、そうだよな。よしっ、仕事するぞっ」


 俺は自分に気合いを入れるように声を出した。


 そしてあの白い影と正面から対峙するように立った。


 もちろん武器を構えて。まぁ、役に立つかは分からないが……。


「よしっ、来るなら来いっ!」


 そう言ったとき、白い影は光の中へ入ってきた。前にも言ったが、ここは一応シールドが展開されている。だがこの白い影は、それが無いかのように普通にその姿を現したのだ。


 それは、少女だった――。


 腰ほどまである長い白い髪を持ち、着ているワンピースのような服は上から下までが真っ白で、そして少女は裸足だった。


 それだけでもかなり拍子抜けしてしまうのに、その少女の手にはどちらにも武器は握られてはいなかった。


「あれが……標的(ターゲット)?あの外見は俺たちの油断を誘ってるのか?」


 と、瞬きをしたラーグの近くに、急に少女が近づいた。


「っっ!?」


 やはり、瞬間移動じみたことができるのだろう。


 少女がワゴンにできるだけできるだけ近づかないように、ラーグはワゴンから遠ざかるようにして飛びずさった。


 急接近した少女の手には、いつの間にか細身の刀が握られていた。


 刀を構えるラーグと切り結ぶ少女は、どこまでも無表情で、しかし余裕そうだった。


 ラーグは、真っ白な少女の握る刀に見覚えがあった。これは、本職は戦闘員ではないが一緒に訓練を受けていたラキが使っていたものに酷似している。


 その刀と、少女の淡白すぎるほどの様子を見て、ラーグは思わず呟いた。


「これ、まさか、ラキの?!っつーか、どこからそんな余裕がっ?!」


 ラーグは激しい切り結びの中で、もうすでに少し疲れてきていた。情けないと自分でも思うが、それほどまでに激しい切り結びだということだ。


 だが少女の方は、その折れそうなほど細い腕にもその動作にも、疲れは見えない。まるで生き物ではないかのような……。


 ふと、切り結んでいた腕が軽くなった。少女が俺から離れたようだ。


 だが、腕も一本、持っていかれた。血が吹き出て激痛が走るが、今は構ってなどいられない。


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