第四一話 『朋有り遠方より来たる』
前回までのあらすじ:
凜がweb上で発見した記事は、世間には極秘とされた黒又山事件の内容を暴露するものであった。
自分たちが関わっているだけに、驚きを隠せない衛介。また黒又山の荒魂の健在も示唆され、彼は更に危険な戦いにむけてその決意を新たにしたのであった。
一
「気場に関しては今後、より一層の研究が要るようですね」
と、語るのは桧取沢さんであった。
気場――すなわち、大地より特殊な“気”の力が集束する所。
これは近年の流行である。九〇年代初頭、霊能者と称して世に出た者たちが頻りに取り上げたことから、広く人口に膾炙したのだ。
大衆の言に曰く、これを「パワー・スポット」と。
今以て衰えを知らぬこのブームは、神秘学の世俗化に大きな貢献を果たした。当世、観光旅行といえばこの手の名所を巡るものもごく一般となっている。
尤も時局の趨勢が、これを後押ししたことは云うまでもなかろう。
人が超常にすがるのは浮世の荒びし時である。とりもなおさず、悪神百鬼がのさばる今でこそ。
なるほど、道理で「よう出る、よう出る」と童歌の囃されるわけであるか。
「――ってことは、こないだの神社もパワースポットだったって話……になんだよね?
あたしらが任務で行ってきた、蒲田のさ」
と、問うのは千歳であった。
「広義的にはそうなります。小さな社にしても多かれ少なかれ、気が集まってくることはありますので」
ここまで言下に答えたる桧取沢さんだったが、以下はその眉に若干の逡巡を滲ませるところがあった。
そして廊下側をちらり。
品の良い流し目をすると、吐息混じりにこう述べる。「件の土塊と因果関係があるのかは別として、ですが」
彼女の気配はどこか物憂げであった。
本日は月次定例会である。
常時においては概ねシフト制で稼働する我ら関東支局であるから、社中もれなく一堂に会する機というのがなかなか得難い。ゆえに毎月初旬はこれを催し、研修、情報交換の場とするのだ。
事務室では、千歳と桧取沢嬢が乾いた談話を繰り広げている。
人員揃わずんば開会も相成らず、各々時間を潰すが当座。
飛鳥は地下室にて飼育係の職を励行。支局長は刷った資料を束ねるなどしているが、手間暇を持て余してか、仕事ぶりの随分と丁重なこと。
そして吾人に至っては、手持無沙汰を喫するまま日向ぼっこである。
俺は応接椅子にふんぞり返って、七月の日射をただ恣にしていた。
しかるに陽当たり良き窓際が快いのは、扇風機がこちらに顔を向けた時に限定される。彼の目玉が明後日へ逸れるたび、高温多湿をつくづく呪った。
二度寝の捗る土曜の午前を、費やしめらるるのは好かぬ。せっかく非番の一日ならば、積極的に惰眠を貪らんと志していたのであるが。
「千歳さんの処理した土塊の案件……あの日に私があたっていたものと共通点がある気がします。
私の方も場所は神社でした。出てきたのは大量の泥水と、雑多な水妖」
「やっぱし何の前触れもなく?」
「ええ、神主さんの話では境内の池から湧き出したそうです。水の底から、ゴボゴボと」
「ふうん」
「ところで千歳さんのところでは、妖怪が出現しなかったと聞いていますけれども」
「えっ? …………あー、うん。危ない系は何も出なかった、かなあ」
千歳はその目を泳がせた。
こやつは嘘を弄するのが巧みでないから、秘め事をもたちまち顔に出す嫌がある。それは良さでもあるものの、斯かる折には見ていて不安だ。
秘め事とはもちろん、雛鳥の存在そのものであった。
千歳が仰せつかった旨は、現場の怪異を無差別に除去することだったのである。すなわち彼女が雛を連れ帰ったのは、全き指令違反のほか何物でもなし。
支局長にこれが知れては、吾人ともども大目玉を免れ得ぬ。
肝をひやひやさせつつ傍観する我が方へ、千歳はしばしば視線を寄越した。
あんたも何とかしてヨと云いたげな趣であるが、二人揃ってぼろを出さずに喋る保証は致しかねる。蓋し、雉も鳴かずば射たれまい。
かくて俺は、携帯電話に目を逃がした。
するとこれに代って一声、
「首都圏の気場は乱れてるのよね、特に都内。今後は似たような事案が増えそう。本部でもちょくちょく懸念してるわ」
と支局長。「梶原クンも連絡無いし、このさい先に始めてましょ……今日は話すこと多いしね。衛介、飛鳥ちゃん呼んでらっしゃい」
――とうとう痺れが切れたと見える。
漸く以て、本会は開会に至るのであった。
本日の議題を概括するなれば、大雑把に分けて三つになるものと思われる。
まず始めには各自の反省。この一月の働きを振り返って、思うところ諸々を論ってゆくこと。
これに続くは自今に関して。挙がった反省点を以て、後の仕事の糧と為すこと。なお、ここまでは本当に定例である。
しかして今回重きを置くべき最たるは、以下に云う三つ目とみて間違いなかろう。
「さて次。今日の本題、大事だからよく聞いて。……まあ一応、もう知ってる人もいるかとは思うけれど」
支局長は資料の束を一つ捲る。「東北支部の不祥事。あとは本部からの伝達事項、何点か」
知っている人もいる――――あいにく、そんな生易しき話ではない。
さなきだに、この場にては知らぬ者の方が珍しいのである。
挙がると解ってこそいた議題も、上司の口からいざ聞かされると恐ろしかった。
我が肝は俄かに竦んでしまったし、先日のこともあり、飛鳥とて胸の内は平穏でないようである。
「……こないだ凛ちゃんが云ってたやつ」我が耳元に彼女は囁く。
また
「漏洩されてしまったというわけよ。本部と支部間での内緒話が、おさわがせの“某wiki”にね」と、支局長の声色が愉快気ならぬことは云うまでもない。
極めつけには
「こりゃまた突飛な。ほんとなんですかい」などと、我ながら白々しく喋るが吾人。そして千歳はといえば、むっつりと黙っていた。
「ネットのことだからもちろん鵜呑みは禁物だけど、仮に一部でも本当なら大問題。そのくらいのことよ」
「何か、鹿ヶ谷さんも真相はご存じねえってな雰囲気ですが」
「知りません。少なくとも関東には知らされてなかったのだから」
「ははア」
やはり、事が社中ですら内密とされていたのは本当らしい。よって我々の関与も伏せておく方が、まず無難と云えよう。
しかし改めて考えるに、怪しさ極まる情勢ではないか。
PIRO支局はその数において未だ満足とは評せぬものこそあれ、努めて列島各地に警戒の網を張っている。
各局が事件を捜査し、これを打ち祓う。
斯くして解決された話は、本部を通して他支局へ逐一伝わる。まだ見ぬ脅威を知って戒めとするも良し、既知とあわせて考察するも良し。ともかく、今後を期するわけだ。
以上が前提である。
すると黒又山の出来事など紛れもなく前代未聞であるため、せめて鹿ヶ谷支局長くらいには、疾うから伝わっておらねばおかしい。
「信憑性はさておき……誰かしらによって口外が為されたということで、間違い無いのでしょうか?」
桧取沢さんの安からぬ眼の色が光った。資料の紙背に徹せんばかりが、やがて支局長をも射ている。
「さっき私が“不祥事”と云った理由はわかるかしら」
「薄々とですけれども、想像できます」
「ある程度はそうでしょうね。記事にあるとおり、今回情報ソースとされるのはPIROよ。つまり、東北支局というわけ」
「やはり火の無い所に煙は……」
「ええ、実際に支部の捜査員数名が一時謹慎処分になったわ。むしろ多分に、事の真実味が露呈したのよ」
支局長が資料を放ると、その束は無力に机を打つ。彼女の無味な溜め息がこれを追った。
石の物言う世の中である。
清原君をはじめ、東北支局が漏洩をしでかしたとても不思議とは評せぬ。それが故意であるにせよ、はたまた過失であるにせよ。あるいはその渦中に、輪をかけて邪なる陰謀の逆巻くにせよ。
忘るまじきは、一寸先これ闇と。鹿ヶ谷支局長の困心も察するに難くない。
「ってか流石にユーヤくん、遅すぎるくない? 鹿ヶ谷さんもうオコだよって、ライン打っちゃう」
定例会も一段落というところになると、飛鳥は突如そんなことを云った。その掌が机を叩けば、塵埃がふわり舞う。
そこに
「まあ……ばっくれでしょ」と千歳。
「しかも今日の掃除当番ユーヤ君と、あとエースケ君だよ!」
「あは、そうなの。どーりで汚い」
この小憎たらしきは、彼女らが学級にて為す社交態度にほぼ同じと思われる。泣く子地頭と等しく女子高生には勝てぬゆえ、荒い返事をするのは推奨されない。
しかしあまりにけらけら笑い、好き放題に喋るから、俺はしぶしぶ駁しにかかった。
「あたりめえだい。こっからやるんだから」
「さっき始めときゃ良かったんじゃん? あんた、あんだけ暇あったのに」
「いやいや。むしろ道草食ってるあの野郎を、しこたま働かしてやらにゃならん」
「あ、そう。今日あたし先帰るからねー」
「じゃ昼飯、俺のも何か買っといてくれ」
「買わないし。夕べの煮物まだあるってば」
「おおそっか、そっか」
まあ、斯かる塩梅ならば、掃除の任にも精を出さぬではない。
支局長はというとその様は気が参ってしまった風で、「残りは梶原クン来てからにしましょか。はい、小休止」とて、締太鼓のごとく一拍した。
会議の進みはそれぎりである。
俺はやおら席を立ち、簡単なことからと思って掃除に取りかかった。やや億劫なる雑巾がけは、今に来たるべき裕也に委ねれば良かろう。
既にして一階で戸の開く音がした。
それ漸くやって来たかと、桧取沢嬢の小走りを目で追って微笑む吾人。
嬢の降りた先、玄関からは裕也の声。さすがに焦って来たためか、息急き切っている。もしくは一生懸命に、そのごとき態にしている。
そして俺もつられるように階段を下っていった。
「ザワさんマジごめん。何かヤバそうな人に道聞かれて、んで以て案内してて……やっと辿り着いたと思ったらまさかここだった」
「“ヤバそう”って、お客様に失礼です梶原くん。窓口に直接お見えの依頼者も、いらっしゃるんですから」
「客というよりクレーマーっぽい、かな」
「え……? えっと、ご用件のほうは伺ってますか」
「会って話したいヤツがいるとか。……実際よくわかんねー」
流石、どうやら言い訳の備えに抜かりは無いようだ。ただし何はなくとも、寝坊が過ぎるぞ薄鈍め、とモップを押しつけてやらねば。
掃除は易きに流し、早々に帰宅したらば昼餉にありつくべし。あとは逸失余暇を取り戻さんばかり、ただ怠けるのみである。
前向きかつ賢き計らいではないか。
ところが生憎、好事魔多し。
事もあろうに我が思惑は、予想だにせぬ妨げをこうむる羽目となった。
嬢の「お通しして下さい」との言葉。これが耳に入ったのは、俺が玄関に到った瞬間とほとんど重なる。
いつか見たあの精悍な顔立ち。擬神器を振るうべく鍛え上げられた身体。こんな男が目に入ったのは、まさに裕也の遅刻を難ぜんとした刹那にほぼ重なる。
この間約一秒。
「たまげたなこりゃ」と間延びした声を上げし俺を、その男が屹度なって睨んだのだ。
そうして曰く「久すぶりだア……!」と。
豈図らんや、遠路はるばるお越しとは。
噂をすれば影といえども、ここまでくると奇跡の沙汰か。嗚呼、またまた楽しからずや。
二
袖触れあうも多生の縁というもので、この理を以てみるに、行きずりの宿世とは大いにあるべきかなと思う。
人が旅に出ると人に出会う。ただし多くは一期一会かも知れぬ。然らばこそ、その折その折は万事大切にするのが宜しい。
だがもしも、そんな縁が先々へ続くのならば僥倖であろう。俺にとっての清原君は、縁の妙を感ずべき好個の例と銘打てる友である。
「清原辰次っつう者です。……東北支局捜査員のね」
彼は努めて、標準語を操らんとしているらしかった。これに伴いその舌鋒に、十全の活力は無い。
我が知るところの清原君とはもう少し豪放な人物であるから、そこはかとなき違和感が否応なく覚えられた。
もっともそれとて、無理からぬこととも云えよう。
――目下この男の置かれたる、立場をよくよく察してみれば。
然れど飽くまで、ここにて気をまずくせし最たるは吾人なのだ。人一倍の冷汗で衣をしっとりとせしめ、内心うち震えるがごときはこの高砂衛介なのだ。
もはや理由などわざわざ説くまい。
「他でもねえっす。ここの高砂って奴に用が有んですわ」
すわ、ご覧のとおり単刀直入である。
見るからに清原君は、すっかり居直っていた。事端が己の所業であるなど自明のくせに、その剣幕は食い下がる気配に満ち満ちている。
一体何が、彼の顔皮を斯くも厚からしむるというのか。
こちらの情緒を云えば、なお平穏でなかった。
「衛介、お前この人に何したんだよ?」と、知りだにせずに問うのは裕也。
「何をしたでもねえやいっ」
俺は入念に不安をこねあげて、とうとう苛立ちへと変換。
迎え撃ってやらねばならぬと、にわかに眉を吊り上げていた。「…………よう清原君。何かこう、久々だと血の気が多く見えちまいますな」
いざ当会議は、第二部に突入せんとす。これはもはや戦なのである。
「苦しいのが見え見えだ、高砂ォ。俺が何しに来たか解んねわけじゃねえべ」
「さては仕事のお悩みですかい。先日の一件からこっち、お忙しいんでしたっけかね」
「調子こいてんでねッこの……!
てめ、知ってんだろ。あの日黒又山で何が起こったのか教ぇれ!」
「そ…………そいつは」
頭の味噌の泡立たんばかり、ぐるんぐるんと思案を巡らす。
まず考えたのは己を取りまく場に関してだ。支局長が不思議がって我らを見ており、この視線が早晩訝りに変わることも予見に足りた。
先般については極力しらを切りたいところである。
俺の他にことを知るのは千歳と飛鳥のみ。彼女等ならば支局長へ告げ口せず過ごしてくれる、という信頼感は幸いにして有った。
毒を食らわば皿まで。ここで中途半端な良心の呵責に屈すべくはない。
“たまたま我らの旅行中、何者かに怪異が放たれたに過ぎない”――――この建前を譲ることは出来ぬ。
父の良からぬ企てと、因果関係など有りはしないのだ。
如何なることであるにせよ、こたびの情報漏洩にまつわる責任が当方に掛かる由は毫も無い。
以上のごとく我が魂胆は、この剣幕が醸すよりいくばくも保身的であり、かつ卑怯なものであった。
「……そいつは、きっとお宅の仕事ってもんです」
俺は心を鬼にした。鰾膠無く応対することのみぞ、目下行うべき最善である。「だからあらぬ云いがかりは御免こうむりたい」
「いいかげん怒ぐぞ! 知らばくれようッても無駄だア」
「知ってたら難儀しませなんだっ。こちとら温泉旅行中、妙な連中がいきなり宿に踏み入ってきやがったんです。
一体全体何が何やら、わかりますものか」
「とんだ嘘まげだなや!」
息巻く清原君、その形相は虎豹のごとし。対して吾人高砂衛介、あくまで淡々たるを装う。
そして語るに落ちるとなってはならぬ。ここを以て、沈黙は金とも心得たい。
「ンーム……いかが思われます、鹿ヶ谷さん」
その口をして迷惑の程を語らしむれば、支局長より説得力のある者はまず居るまい。これも自局だからこそ叶うことだ。地の利は存分に活かすが、兵法というものである。
彼女は一呼吸をおくと、以下のように話し始めた。
「そもそも清原捜査員、今あなたは謹慎中でしょう? 正式な出張で来たのではないのよね」
しめたり。これにて暫く、俺は口を動かさずに済むであろう。
はてさて次には何をか云わん。更なる空惚けか、気の利いた小嘘か――続く一手も、練るならば今しかない。
「へい、そうですッ。自分ほか四名は現在仕事ストップ中。ンだから皆連れて、東京さ来てますだ」
「正直で結構。それで? 当局の衛介が何したかは知らないけど、情報漏洩の責任はそちらのものじゃないのかしら」
「それが判然としねェからわざわざ来たんでさ。仲間は皆、おらじゃねえッて云ってる」
清原君の口振りに淀みは無かった。「自分は絶対、仲間信じてますンで」
やや予定外の運びとなったが、論旨はいつしか我々の関与云々に無く、漏洩問題の帰責事由を議するものに移っている。
悪くはない。現状を維持すべしとしよう。
「事件の日はちょうど本部の人が視察さ来てました。
んだども、大湯の温泉旅館で蛇の怪異が沢山出たんで、そん人にそっち手伝ってもらて」
「京都から? 鬼灯さん辺りかしら」
俺は一言、
「その視察の方ってのが、臭せえじゃありませんか」と挟んだ。
「まずどうして隠蔽が起こるのか、私にはまだ解らないのだけれどね」今度は支局長が目を細めて云う。「まあ……いいわ。続けて、清原捜査員」
「へい。ンで、すぐ近ぐにも妖気反応があったって連絡受げて、自分はしっちゃ向かったんでさ。
そこさ居たのが、やがましい河童でして」
「河童を退治した報告も隠蔽したの? 初耳だわよ」
「いいえ、そいづは解放しました」
俺はここまで聞いて、急な寒心を覚えた。
その河童の名は早楽、すなわち卜部氏の式神である。清原君が何と述べるかは知れぬが、誤解を招くようではまずい。
早楽の身の潔白は、我が言葉を以て正確に示しておかねば。
「も、もちろんその河童はちっとも悪さしちゃいないんです。何てったって、卜部さん家の早楽ですから」こんな具合で良かろうか。――――俺はやりすごした気になった。
ところが、間も無く悟ることになる。
これはとんでもなき大失敗であったと。
「ちょっと待って……どうして凜ちゃんのところの式神がそこをほっつき歩いていたの?」
「えっ」
「因みにそんとき高砂は女連れで、ドでけえワイラに乗っかってましたッ!」
南無三、雲行きが怪しい。そういった状況証言があっては、どうしても我らを尋常な観光客の枠組から逸脱せしめてしまうではないか。
なるほど。およそ尋常の者は河童など放し飼いにせぬし、大怪獣も駆らぬか。
「衛介っ、どういうことか説明なさい!」
「普通です、普通」
「何が普通よ! 物見遊山に式神を連れていく人がどこにいますか!」
「いやっ。そ、それはですね……えーっとホラ、その、何です」
千歳と飛鳥はもう知らぬという顔で首を振っている。
やんぬるかな。
このきな臭き問答合戦は、窓からじりじり射し入る斜陽が、とうとう橙色に変わるまで繰り広げられたのであった。
※「ワイラ」…妖怪の一種。34話参照。




