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バ革命  作者: 、、
〜結集の絆桜編〜
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#78 開戦のプロローグ

実に爽やかな朝だった。


姉からのモーニングウィスパーも無いし、悪夢にうなされることも無く、普通にiPhoneのアラームによって目を覚ます心二。


「……あ、そっか。姉ちゃんは朝練だっけ」


昨日自室で紅空とグダグダやってた時にポツリと言われたような気がしないではない心二。

勿論朝練というのは本日開かれる桜南祭二日目の演劇『芽吹姫』のリハーサルだ。


心二は時刻を確認する。


いつもと寸分違わぬ起床時間だ。すっかり高校生の生活リズムが身体に染み込んでいるんだろう。


一先ず心二は未だ残る睡魔を払拭すべく、洗面所へ向かった。




挿絵(By みてみん)




家に一人しかいない状況での洗顔は結構怖い。

……というか家で一人ってシチュエーションだけでお札3枚は身につけたいレベル。


天条家の朝は両親共に早くに出かけてしまうので平日の朝は常に心二と紅空のみなのだ。


いつもは能天気楽天家の歩く女性器こと紅空がうるさいから何とも感じなかったが、これほどまでに彼女の存在が心二の平常心を支えていたとは思わなかった。


「……今日は早めに出ようかな」


少々声音を震わせながら、心二はいそいそと寝巻きを脱ぎ始めた。




いつもより早めに出たからか、見知った顔とは遭遇することはなく退屈な通学路を進む。



喋る相手が居ないと、嫌でも思い出してしまうのが昨日由美から明かされた『黒翅ブラック・フロウ強襲』の件だ。


暴露大会が終わった頃くらいに木場音祐からメッセージが届いた。

やはり内容は黒翅ブラフロのことだった。

前回接触した夏休みの時に思い知った。奴らは犯罪紛いの真似を平気でする。

性暴行の危機に晒された優璃たちを思うと今でも当時の殺意が蘇ってくる。

そんな奴らが今回は本気で潰しに来るのだ。

やはり少々の不安は思い抱いている。


それに、あの男。


名を秦野はたの慎巴しんばと陽志から聞かされた彼も一緒に攻めてくるのだろうか。


第一学年の上位成績優秀者トップエリートである李女、深海、直之を一瞬で薙ぎ伏せた驚異の実力を持っていた彼も一緒となると……



「……ん、昨日は息巻いて迎え撃つとか言っちゃったけど大丈夫かなぁ」


今更迷っている。学校側に言うべきか言わないべきか。



「何の話?」



「おわっ!?」


独り言にいきなり反応された心二は声が飛んできた方へ振り返る。


「ちょ……や〜ねぇそんなビックリしないでよ傷付くなぁもう」


眉尻を下げて流星りゅうせい雨凪れいなは微笑む。


「あぁ、えと流星?」


「そ〜よ〜。昨日はどうも」


何やら恨みを含んだような表情をこちらに向けてくる。


あぁそう言えば昨日体育倉庫前に雨凪を放って来ちゃったんだっけ。


心二は口角を引きつらせながら目を逸らす。


「ご、ごめんなさ〜い」


「……ま、いいわ」


いいのかよ。


しかし話はそれだけじゃないらしく、心二の歩調に合わせるように小走りで付いてくる雨凪。


「せっかくなんだし、一緒に行かない?」


わざわざこちらを覗くような上目遣いの視線。この人あざとい。



「別にいいよ。オレも話し相手が欲しかったし」


歩幅を抑え、雨凪の歩調に合わせてやる心二は気になっていた事を尋ねる。


「なぁ、優璃と仲良いの?」


あえて本当にベロチューしたの?なんて聞かず、それだけを尋ねた。


「ん〜、昨日知り合ったばかりだけど……私は友達のつもりよ?ああいう正直な子、私は好きだわ」


「正直……か。」


確かにそんな印象を心二も抱いている。それ故に今みたいな親しい関係があるのかもしれない。良くも悪くも彼女は正直だ。

少し正直過ぎる面もあるが。……ほら、ズバズバ下ネタ言ってくるところとか。


「初対面で『そのデカ乳搾ってやろうかしら!』なんて言われたのよ」


「めっちゃ口悪いな!マジかよ」


「まぁ私がデカパイっ娘ちゃんって煽ったからなんだけど」


「めっちゃ口悪いな!」


えへへ、と可愛らしく舌を出す雨凪。


やっぱあざといわこの人。



「……そんなことより、昨日の成績優秀者狩り(エリートハンター)騒動あったじゃない?あの犯人知ってるかしら?」


急に表情を曇らせて尋ねられる心二は調子を狂わされる。


ふむ、掴み所の分からない人だ。



「友達から聞いただけだけど、一年の男子生徒みたいだよ。すっげーよな、度胸あるよ」


「実は私も成績優秀者狩りなの。」


「そーいや流星も強いスキル持ってたよな……って、え?え??」


突然の告白に心二は言葉を詰まらせる。


「うそ?」


「本当よ。勝手に自分一人の仕業だって生徒会の人に言っちゃって。本当、勝手よね」


「何で?」


ただただ、心二の疑問は一つだった。


「何であんな事したの?」


真っ直ぐで正直な心二の視線を受け止めながら雨凪は言葉を紡ぐ。


「成績優秀者共がムカつく。それだけよ。」


自嘲混じりに打ち明けると心二はプッと吐き捨てた。


「だよな、ムカつく奴はマジで腹立つ。分かるよ分かる!」


拳をギュッと握りながら心二は笑う。

それを見た雨凪は安心したように息を漏らす。


「……やっぱり思った通り。最初に会った時から思ってた。この人私と考えてること似てそう……って。」


「最初?それって体育館の話?」


紅空とのフロンティア一回戦直前の事を思い出す。確かに心二はその時、体育館で雨凪と言葉を交わしている。


「次に当たる人が成績優秀者だって教えてあげたらキミ、全然気落ちしなかったもの。ううん、寧ろ逆。この戦力差をひっくり返してやるって下剋上かましてやるって目をしてた。」


「ま、まぁ。世の中点数だけが全てじゃないじゃんか。」


その言葉を聞いて雨凪ふふっと笑みを浮かべる。


「えぇ。その通り。」


でもな、、、と心二は真剣な表情で雨凪を睨む。


「成績優秀者の連中に腹立つ奴がいるのは分かるけど、周りに迷惑かけちゃダメだろ。

成績優秀者全員が全員、悪い奴ってわけじゃないんだからさ」


雨凪は目を丸くする。

話を合わせるだけじゃなくて、悪いところをしっかり指摘してくれる。まるで、友達みたいに。



「そうよね、ごめんなさい。」


目を伏せて謝る雨凪に頷きよし!と心二は雨凪の前に立つ。


「オレ、天条心二!」


あまりに突拍子も無く名乗られた雨凪はとりあえず名乗り返す。


「り、流星雨凪です。」


バッと勢いよく心二は右手を差し出した。

何処か照れ臭い一面を表情に浮かべながら。


「オ、オレとも友達になってくれない?」


ふひっ、と変な笑いを我慢出来なかった心二は一気に表情を真っ赤にする。


し、締まらないっっ。


自分で恥ずかしがってる心二の姿がいたたまれなくなり雨凪は急いで心二の手を優しく包む。


「よろしくお願いします。」


最上級の笑顔と共に雨凪はその一言を口にした。


むむむ、雨凪からしたら彼も何処か掴み所の分からない人だ。



「……だから流星」


それはまさにボソリと呟くように心二は雨凪に耳打ちする。



「オレが迷惑掛けたら、怒ってくれよ」



「ふふふ、雨凪でいいよ心二。」


心二の言葉は、不思議と重い意味合いを含めた言葉のように雨凪は思えた。




挿絵(By みてみん)







いやーーーーー!!遅刻だ遅刻だぁぁぁ!!


心中そんな叫びを上げるのは歯磨き粉で口中をヒリヒリさせながら風を切る優璃だ。


ひーひー吐息を漏らしては仕切りに腕時計へ目を落とす。

あと3分もすれば始業のチャイムが鳴ってしまう。


昨日と同じ段取りだとするとSHRショートホームルームはいつもならやらない点呼をする筈だ。


遅刻すると遅刻したことを電子生徒手帳に記すため職員室に行かなきゃならない等の面倒が待っている。


「……あっふ、ダメっ、疲れた」


遂に優璃は空を仰ぎながら駆ける足を止める。


デシタル時代と化した今世の若者の体力を嘗めてはいけない。


んん〜っと伸びをしながら空気を目一杯吸い込む優璃の視界に自動販売機が。


「口の中パサパサだったんだ〜いい所に置いてあるじゃ〜ん」


その後今西優璃は30分もの遅刻をやらかすことになる。







「何だ?優璃の奴まだ来てねーのか。」



予鈴が鳴る中、ギリギリで教室へ着いた守郎は嘲笑うように呟く。


「ギリギリな奴が何言ってんだ」


そう言う心二は爽やかに守郎を嘲笑う。


「っておいおいどーしたよ。やけに早いじゃねーか心二のくせに」


「30分くらい前にはもう着いてたよ、意識高いからな」


腹の立つ態度で返される守郎は眉を不機嫌に釣り上げる。


……と、そんな守郎の後頭部をチョップする担任の花江先生。


「こらこら、入り口で止まらないの。ホームルーム始めますよ〜。みんなしゃがんで〜」




挿絵(By みてみん)




教室はお悩み相談仕様で普段使ってるみんなの机や椅子は端に固められて積み上げられている。


教室で地べたに座っての点呼というのも中々珍しい。


間も無く始まる桜南祭二日目。

昨日と変わらない平穏な雰囲気がかえって不気味に感じる心二は拳を握る。


……大丈夫。大丈夫。



「天条くん。……?天条くん!」


「へ!?は、はい!」


そうだ、点呼してたの忘れてた。







早々にホームルームが終わり解散した生徒たちは既に校内へ散り散りになっていた。

出店は昨日と同じく9時半からサービス開始だ。

特に教室から出る理由もない心二達は優璃の登校を待つことにした。



「しかし珍しいな。優璃ちゃんが遅刻とは」


我らが3組学級委員長の李女は心配そうに窓から見える景色へ目を向ける。


「せやなぁ。確かに珍しい」


早くも3組が出展しているお悩み相談の準備をしながら話に入ってくる奏也。

準備と言っても占い師的なローブを纏うだけだ。



「もう来るみたいだな。さっきメッセ送ったら返信来た」



心二は自身のiPhoneの画面をみんなに向ける。

そこには簡単に「ジュース飲んだらすぐイく」とだけ文字が打たれていた。


ご丁寧に行くをわざわざイくと変換するあたり、優璃らしい余裕が見受けられる。



「あれ〜?優璃まだ来てないの?」


ホームルームが終わってすぐにお花を摘みにいっていた由美が不満げに教室を見渡す。


「ただの遅刻みてーだ。今心二にメッセ届いたぞ」


「あ、そうなんだ。」


守郎の言葉を聞いて一安心した由美はこちらへやって来る。


……まぁ心配するのは仕方ないだろう。音祐達の話によれば物騒な連中が攻めてくるのだから。

もうこの付近に来ていてもおかしくはない。


もしそんな奴らに絡まれたりでもすれば……なんて嫌な予感が頭を廻る。


「……早く来いよ……ったく。」






一方その少し前、どの高校でも当たり前ながら出席を取っていた。



「……えーっと、何だ何だ?今日は空席が多いな。誰かこいつらの事聞いてる奴はいないか?」



知りませーん、という生徒の返事に男性教師は溜め息を吐く。


「ったく、困ったクラスだよ3組(うち)は」




電車内には時間帯的に不釣り合いな学生服を着た男女二人が肩を並べて腰を下ろしていた。


とっくに各校では始業の中、確かに電車に乗ってる学生というのは浮いている。



「いや〜ひっさしぶりだな〜!元気にしてるかなぁ」


「ったく、何で私まで……」


「いーじゃん!授業受けるよりマシでしょ!」



「……まぁな」


目的の駅に辿り着くと二人、雌龍代音姫めりゅうよねひめ陽炎筑紫かげろうつくしはよっこいせっと席を立つ。


「んーー!二ヶ月ぶり!」


「……相変わらずちっぽけな所だな」




挿絵(By みてみん)



隣車両から出てくる二人もまた代音姫、筑紫と同じく宮祁みやけ高校の制服だ。



「……んっふっふ。学校サボって遊ぶこの気分。中々良いわね」



「ガキくせーこと言ってんじゃねーよ。恥ずかしい」



目を伏せながら毒を吐く白髪のつり目野郎に向かって茶髪の女の子は二ヘラ〜っと嫌な笑みを浮かべる。


「あらあら、その強面で恥ずかしい??それ鏡見てきながら言ってみなよ、通報レベルよ。」


「……テメェ名誉棄損で訴えられてーか」


「名・誉・棄・損だって名・誉・棄・損!」



お腹を抱えながらケラケラ笑う彼女を背に彼らを乗せた電車は定刻目指して次の駅へと発進する。

電車にも進路が有るように彼らにも進路がある。

将来の行く末……という重い意味合いではなく今回に限っては彼らが学校を休んでまで向かっている目的地の事だ。



それは駅から徒歩数十分の位置にそびえ立つ私立校、桜南高校である。


新シリーズスタートの第1話は久々のキャラを何人か出しました。


キャラデザが変わってるかもですが……w


いやぁ、それにしても雌龍代音姫。

当時の僕は何故にこんな謎なネーミングを彼女にしてしまったのか……。

愛称をヒメってのにしたくて多分適当だったんだよ姫がつけば当時の僕は何でも良かったんだよ……ゴメンね姫。


その代わりに姫を描くときは気合い入れて描くから!


それにツクシもキャラデザが心二と被らないようにするのが大変!


本当彼らが初登場した天魔族編連載時は新キャラのオンパレードでネーミングやらキャラデザ大変だったんだなぁ……


そんな連載時でも朱緋あかるび……なんてネーミングをひねり出したことに関しては自分で自分を褒めてあげたい。


多分一番気に入っている苗字です笑


朱緋紗夜ちゃんは今後もどんどん登場予定なのでよろしくして欲しいです!





遂にカラーイラストに本格的に挑戦してみました。

iPhoneのアプリでここまで出来るのって凄い!



挿絵(By みてみん)






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