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バ革命  作者: 、、
〜侵襲の決戦恋舞編〜
71/96

#64 裁きの篝火

あーあー、あんこ。


いーいー、いんこ。


うーうー、うんこ!


えーえー、えんこう!


「おーおー、お○んこ!」


心二は呆然と保健室にある豪華なふかふかソファーにもたれながら、虚空を見つめていた。


心二の言葉は誰の耳にも届いていない。


普段は保健室で常に白衣纏いて病人怪我人をさばいていく保健の先生、遥瀬(はるかぜ)先生は何故か保健室にいない。


「あーもー、下ネタは誰か突っ込んでくれないと何か寒いってーー。」


自分の頭をポカポカ叩いて立ち上がる。


「よしっ!先生もいないみたいだし、もういいや〜優璃達んところ行くかなー」


正直言うと、心二はあまり戻りたくない。

守郎の嫌味。優璃の慰めが待ってい……いや、優璃に慰めてもらえるならありか。


急ぎ足で心二は恐らく彼らがたむろっているであろう中庭へと向かう。




天空女神(ディオーネ)

弥富深海が所有するそのコードの能力は、聖天魔法と呼ばれている。



前提として、深海のコードは制限が課せられている。

しかし深海には、自身で制限を外すことができる。

直線方向の単純な黒い光線、女神堕暉(ザ・ホーリー)を相手に被弾させる事だ。


与えるダメージ量は極々微量なものだが、命中してしまえば、それは被弾者の敗北をほぼ決定付けると言ってもいい。


被弾した相手に対してのみ、全力の聖天魔法を放つことができる。

当たれば一瞬で相手のHPを削り尽くす故、そんな攻撃を無制限に放つことを許す女神堕暉は深海を相手取る場合には絶対に回避しなければならない技だ。


そんな女神堕暉をシステム的に無効にする手段が一つある。


特殊攻撃無効化能力を有するコード能力、あるいはシステムスキルだ。




「おー怖い怖い。オレは見ての通り低成績者(ノンエリート)だぜ?そんな成績一位の弥富深海さんがコード展開するまでもないじゃないっすかー」



雪女みたいな白装束を羽織る深海に煽るような視線を蒔枷(まきかせ)霧亜(きりあ)向ける。


コツン、、、コツン、、コツン、


ゆっくりと足音を刻みながら深海は右手を胸に添える。

自分の鼓動を感じる様に……。


「……あら、成績二位の陽志を倒しておいて何を言ってるの?」


彼女の瞳はまさに雪女の如く冷め切っていて、しかしそんな彼女の能力は至って冷気纏わぬ魔法的な光線だ。


右掌(みぎてのひら)を霧亜に向けた瞬間、掌から(まばゆ)い光と共に直線軸を射貫く光線、女神堕暉を放つ。


霧亜は顔色一つ変えず、それを消し去る。

霧亜のシステムスキル、刻溶かしの能力だ。この能力の実態は未だわかってはいないが、攻撃を消滅させることが出来る刻溶かしは深海にとっては最悪の相性を持つ能力だろう。


しかし、そんな最大の弱点をカバーするもう一つの能力を深海は有している。


交流会の時にも発揮した、堕神(だしん)と呼ばれるコード展開の第二形態(セカンドコード)だ。

極少数が使うことのできる第二形態は元のコード能力とは全く異なる能力を使うことができる。


深海の場合は、解析だ。


相手の能力を解析し、模倣することが出来る。


「……え?何なのこれ……」


深海の動揺に霧亜は歯を剥いて凶悪な笑みを浮かべる。

それもそのはず、霧亜には解析されるようなコードなど所有していない。



「だーからオレは低成績者だってんだよ。コードの能力を解析してコピーするあんたの堕神の能力じゃどうにもなんねぇ。何なら生徒手帳でオレの点数確認してみろよ。」


そう言う霧亜は深海の第二形態(セカンドコード)の能力も既に把握済みの様だ。


「攻撃を消滅出来るオレに、あんたは勝てない。」


霧亜の消滅能力はコード能力ではなくあくまでシステムスキル。

解析ができないとなると模倣も不可能。

深海に勝ち目はない。



「……どうやらその様ね。陽志が勝てないのも無理ない。」


言ってしまえばコード能力に頼り切っている成績優秀者では霧亜には勝てない。

成績優秀者が絶対の自信を持つコード能力を打ち消すのが霧亜の能力。


しかし、深海の目からは勝機など失ってはいない。


「……なら、どうにかして女神堕暉(ザ・ホーリー)を当てるまで。」


女神堕暉さえ被弾させれば、天空女神(ディオーネ)のコードを持つ深海の真骨頂を発揮出来る。


「当たんねーよ。」


「やってみる!」


深海は動き辛そうな装束姿にも関わらず。ゆったりとした着心地のため胸元が丸見えなのにも関わらず。


深海はとりあえず接近戦を試みる。

低成績者と成績優秀者では基本パラメータから大きな差が生まれている。

いくら現実では男と女……という決定的な体格差が出ていたとしても、点数に200もの差が出ていれば、女の子の深海の蹴りは……割とエゲツない威力。



ブゥゥン!と金属バットが振りかぶったかの様な勢いの深海の右足を余裕を持って態勢を低くして回避する霧亜。


そんな彼の眼前には、ピンクの紐パン。


「見えてんぞ紐パン。」


「!?……み、見ないで」


すかさず股を抑えながらしっかりと帯を結ぶ。

いいや、帯をいくらキツくしても紐パンを覆っているのはヒラヒラとした着物だ。足を上げれば見えてしまう。


「…………避ける時は目を閉じてほしい。」


「いやだ。」


反撃とばかりに今度は霧亜が距離を詰めて深海に接近する。

軽く足を払ってやるとあっけなく重心を崩される。

よろめく深海の胸元はゆったりとした白装束がフワリと浮かんでぼいんとした巨乳を包む下着が見える。

色はもちろん……ピンクだ。


「…………。」


霧亜はせっかく重心を崩しガラ空きの女体に叩き込むはずだった足蹴を思わず引っ込めた。



どさっと廊下に崩れ落ちる深海は少々涙目だ。


「……何で蹴らなかったの?」


「いや、下着が見えてつい……」


「……何色だった?」


「ピンク。」


それだけ聞くと深海は上目遣いで見ていた霧亜から視線を外す。

そして俯く。


「……もう嫌だ。戦いたくない。」


鼻を(すす)りながら戦意消失する深海。


何で、と問わなくても霧亜は察する。

蹴る度にパンツが見え、少し動けばブラまで見える。


「いや、もう十分見たし。今更って気もするが。」


「……嫌だ。」


「だーいじょうぶだって。な?オレ巨乳より貧乳派だし。お前なんか別に意識してないし。」


少し間が空いたのは気のせいだろうか。


「…………本当?」


顔をうつ伏せながら聞いてくる深海に少々驚きつつも霧亜は「あぁ。」と返す。


「……ならいい。」


ずずずず……と最後に思い切り鼻を啜り深海は立ち上がる。


え、いいの?見られていいの?


流石に霧亜は彼女変だ、と認識せざるを得なかった。


「……でも、早く終わらせたい。全力で行く。」


流していた涙も最後の一雫が頬を伝うと先ほどの戦士の眼力を取り戻したみたいだ。





挿絵(By みてみん)






「……オレも、何かあんたとは戦いずれぇ。五分で終わらせてやる。」


互いが互いを睨み合う。


それも一瞬で、硬直状態はやはり深海の右掌から放たれる女神堕暉によって崩される。


そして同時に深海は低姿勢で霧亜へと接近する。


霧亜は両眼を黒く宿し、女神堕暉を打ち消す。滅した女神堕暉の残光から深海が胸を揺らしながら迫ってくる。


(意識しないとは言ったが……やっぱり見ちゃうな。)


胸中の(よこしま)を振り払う様に、霧亜は接近してくる深海の顔面目掛けて右足を横一線に薙ぐ。


それを強引に左肘で受け止め、霧亜の懐へ潜り込む。既に深海の右掌には女神堕暉が装填されている。


「これでどうかしら」


ほとんど零距離(ぜろきょり)の攻撃。


そして先ほどの消滅の能力を使って五秒も経っていない。


これほどの強力な能力だ。数秒に二発撃てない可能性もあれば、零距離では消滅不可能……なんて可能性もある。


これを弾かれてしまえば、消滅能力にインターバルはなく、どれだけ近くで撃とうとも何なく打ち消せることになる。


そうなれば、この男に女神堕暉を被弾させるのは、非常に困難である。


「…………!?」


容赦無く放った筈の女神堕暉は一瞬にしてかき消された。


自信満々の深海の零距離攻撃が不発に終わったが、代償としては充分な情報を手に入れた。


「あなた、その目……。」


黒く灯された霧亜の両眼に目を向けながら深海は尋ねる。


「流石に勘付いたか。そうだ、消失能力の正体はこの眼だ。」


やけにあっさり能力のタネを曝け出した霧亜に疑いの眼を向けていたからこそ、深海は嫌な予感にいち早く対処できた。

どんな態勢でも構わない。

ただ背後からの謎の攻撃を回避するために深海は右方向へと飛んだ。



深海の立っていた場所を射抜く光線……それは紛れもなく、女神堕暉だ。


「……まさか、あなたの能力……」


擦りむいた膝小僧を手で押さえながら深海は考える。



「まだ何かあるのね……」


標的を射抜き損ねた女神堕暉は同じY軸線上に立っていた霧亜へ迫る。

呆気なく(かわ)す所を見ると、やはり一捻り施した撃ち方をしなければ女神堕暉をあのチート消失能力を有する霧亜に当てることができない。


「ったく、仕留め損ねたか。めんどくせーな」


「……さっきのは間違いなく私の女神堕暉。」




……妙だ。


その一言が深海の頭の中をクールにしていた。

さっきの霧亜の何気ない行動が意味しているものはある弱点の証明であり、深海の勝路を切り開くものだ。


一旦深海はこれまでのことを整理する。


目の前の彼は蒔枷霧亜。

どう言うわけか狭山陽志を襲撃し、深海にも挑戦的な態度をとる。


暇つぶしで電子生徒手帳のテーブル機能に更新されていた成績優秀者狩り(エリートハンター)に関係があるのだろう。

テーブル機能に書かれていた成績優秀者狩りという(やから)はその名の通りどうやら成績優秀者にひたすら勝負を挑んでいるらしい。

てっきり同じ成績優秀者の仕業だと思っていたが、深海と相手している低成績者(ノンエリート)の霧亜を見ると、そんなことでもないようだ。


今回の騒動の根底にあるのは、恐らく低成績者の下克上。


システムスキルを武器にする低成績者達が決起したのだろうか。


対する成績優秀者狩りの一人、霧亜の強さは本物だ。

確定している能力は特殊攻撃の吸収、そして恐らくは吸収した攻撃を再び放出できる類のものだ。

先ほどの背後からの女神堕暉を見る限り、期待出来る推測だろう。


……そんな能力を持つ霧亜が、一瞬見せた不可解な行動。


何故特殊攻撃を吸収できる能力を持ちながら、深海の避けた女神堕暉を普通に避けたのか。

吸収すれば再放出が出来れば、それを使えば不利になることなどない。

もし吸収しない……ではなく、吸収出来なかったとしたら。


例えば再放出した攻撃は、再び吸収出来ない……なんて縛りがあったとしたら。


深海はうっすら口元に笑みを浮かべる。脳に宿すは希望の光。


深海は再び霧亜に吸収した女神堕暉を誘発させるために霧亜の元へ駆ける。

吸収した女神堕暉の残数はあと一つあるはず。

その一発を誘発させるために余裕の出来るくらいに女神堕暉を吸収させてやるため、がむしゃらに女神堕暉を乱射する。



「……どういうことだ、そんなに撃ってるとオレの武器が増えちまうぜ?」


霧亜は瞳を闇に灯し、刻溶かしを発動させる。

発射された計四発の女神堕暉を吸収した。

これで女神堕暉の弾数に余裕がなかった霧亜には五発の女神堕暉を与えた。


恐らく隙を見せればいつでも撃ってくれるだろう。


深海はそのまま霧亜に打撃を食らわせる勢いで接近する。


パシッといとも簡単に目を引っ叩きに持って行った右手を掴まれる深海。



「捕まえた。」


ニヤリと不気味な笑みを浮かべながら指を鳴らす。

先ほどと同じく、突如深海の背後で謎の光が現れる。

間違いなく吸収し再放出される女神堕暉だ。


「次は当てるぜ。」


がっしりと深海の華奢な右手を掴みながら霧亜は確かに勝利を確信していた。


すると深海は自由の身である左手に光を灯す。

言わずもがな、女神堕暉の光だ。



「……私も当てる。」


反射的に深海の手を離し後ろへ下がる。


馬鹿なやつだ。これ見よがしに射出予告をしては逃げるのも当然。

嘲りながら深海と距離を取る霧亜に不敵の笑みをかます深海に霧亜はゾクリと肩を震わせる。


「……ここで勝負をかける。」


左手に灯していた女神堕暉の光をグッと握る。

再度握りこぶしを解くと、信じられない程の光が辺り一面を照らした。

霧亜の目には眩しいばかりの光だけだ。

深海も……再放出したはずの女神堕暉も……見えない。


「……!?そういうことか」


深海は霧亜から正常な視界を奪い自分で再放出した女神堕暉で自爆させるつもりなのだ。


しかし甘い。


たった一発の直線型光線を避けることなど、再放出した予測位置から少し左右にずれてやるだけで回避は容易い。


……もし、一発じゃなければ。




ショットガン並の段数の女神堕暉が霧亜の身体を蜂の巣に射抜く。


この廊下を照らす光に乗じて、深海は放てる限りの女神堕暉を霧亜の居そうな場所目掛けて乱射したのだ。


「……!?全然HPが減らねぇ?」


物凄い弾数を食らったにも関わらず、全然減少していないHPを確認して霧亜は首を捻る。


「制限の強い最強無敵の聖天魔法を放つためには、たった一発の女神堕暉を被弾させる必要があるいわば繋ぎの魔法。

女神堕暉自体にHPを損傷するだけの威力は無い。」


霧亜は目を見開く。

そう、いくら霧亜が女神堕暉を深海に放とうと、聖天魔法を使えない霧亜からしたら、ただの威嚇射撃なのだ。

まんまと泳がされた霧亜は、冷や汗を垂らす。

そんな最強魔法の制限を解く為の女神堕暉を自分は食らってしまった。

……つまりはここからが第一学年(ファースト)上位成績優秀者(トップエリート)、弥富深海の本領発揮と言うことだ。


「……聖天魔法滅獄の篝火(ボアー・ロウ)。」


深海の周囲に灯される九つの発光の(ほのお)

(てのひら)に収まりそうな小さい焔が一つ静かに消えると同時に霧亜の右半身を業火の白炎が唸りを上げながら焼き尽くす。



「……なっ!?」


どういう原理で燃えたのか、回避する手段はあったのか、そんな事を考える余裕を与えないくらいの焦燥が霧亜を苛む。


逃げる、逃避、逃走。


相手に背を向ける事しか思い付かない。


霧亜は右半身を焼かれながらも深海を背に走る。


「……逃がさない、あなたが何者か話を聞かせてもら……」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」





そんな深海の言葉を遮ったのはお化け屋敷の出店を開いてる筈の自分のクラス、一年四組から上がったクラスメイトの(さざなみ)華恋(かれん)の悲鳴だった。



嫌な予感が深海の全身の毛を逆撫でする。

気が付けば深海の足は逃げた霧亜を追いかけることなく、異変の起きている一年四組の教室へ向かっていた。

らしくもなく乱暴に開けられた扉から見えた光景は一瞬暗がりで深海の想像する事態のようには見えなかった。


「みんな!」


……が、身内である深海の血相変えた声音に返してくる言葉がない自体、すでに異変なのだ。


止む無く教室の電気を点けるタッチボードを手探りで点ける。


明かりに照らされた幽霊屋敷はもはやただの迷路の様で、あちらこちらに丸わかりの仕掛けが確認できる。



そしてようやく、クラスメイト数人が安らかな寝息を立てている姿を発見した。



「弥富さん!」


前方から飛んできた声に顔を上げる。

目の前にいたのは瞼を擦りながらトロンと眠りこけてしまいそうな強烈な眠気と必死に格闘しながら漣華恋は立っていた。


「漣さん!何があったの」


眠気を催している、と言うことはバーチャルシステムを使った戦闘が繰り広げられたと言うことだろう。

その戦闘で血を流せばバーチャルシステムで言う所のHPが削られることを意味する。

血が減れば意識が遠くなり、貧血に近い症状を起こしてしまうのは分かっていることだ。


「……さっきのバカップルの前に来た長髪の男……あいつの仕業よっ。出口前で待ち伏せて弥富さんが教室を出て行ったのを見計らった様に襲撃してきたの……」



華恋の話を聞いて確信した。

霧亜といい長髪の男といい、この連携が取れた行動。

やはり成績優秀者狩りの仕業だ。


「……漣さん。後は任せて、今は休んで」


優しく華恋を抱きしめると、一瞬で彼女は意識を夢の中へ落としてしまう。


一息つくとそっと華恋を寝かせて立ち上がる。

気合いを入れるように装束を脱ぎ、裏方に隠してあった学生服を掴む。




「……私たちの桜南祭を台無しにした罪は重い。」


静かに闘志を宿す彼女とは裏腹に、霧亜は舌打ち混じりに吐き捨てた苛立ちを壁にぶつける。

ぶつけた拳がヒリヒリするのも構わず腰を下ろす。


既にバーチャルシステムは解除されたため、先ほどまで自身の右半身を焼き尽くしていた白炎はとっくに鎮火している。


いや、それよりも。


「……助かった、が……一体何が起こったんだ?あんな都合良く悲鳴が上がるとは……」



同志で成績優秀者を襲撃している筈の流星(りゅうせい)雨凪(れいな)は屋外で標的を探している。

彼女以外となると、もはや検討が付かない。


「……いや、四組(あそこ)はお化け屋敷だし悲鳴が上がるのもおかしくは……って、そんなのは弥富自身もわかってる筈か。」


上がった悲鳴は恐らくお化け屋敷を主催している深海と同じく四組のクラスメイト。

でなければ深海が標的にしていた霧亜をわざわざ見逃して四組の様子を見に行った理由が見つからない。

やはり何かが起こった証拠だろう。



「……嫌な展開だな。」


自分たちが掌握していた筈の襲撃騒動にいつの間にか未知の存在が紛れている。


その未知が既知の事実となる頃には、この祭りも収束に向かっている頃だろう。





「ふふふ、いやいや。祭りはこうでないとな」


廊下を闊歩する綾瀬(あやせ)堅志(けんし)は四組で騒動を起こした後、自分のクラスである三組に寄ることもなく、ひと気の無い屋上へと赴いていた。


「んむんむ。成績優秀者狩りだって?楽しいことを考える連中だ。おかげで不登校ながらもこの薄い馴れ合いの場でも退屈しないで済みそうだ」



怪しく凶笑で歪められた口元。


彼は一体何を感じているのか。


そして、これから何が起こるのか。


神のみぞ知る……いいや、堅志自身はもちろん知っている。



挿絵(By みてみん)









体育倉庫裏へ赴く一つの人影。


呑気に鼻歌交じりで歩く彼女の目的はズバリフロンティアから帰ってくる心二と共にみんなでお喋り出来るプライベートスペースとなり得る人気(ひとけ)のない場所を探すこと。


一緒に探す!と言ってくれた由美には悪いが守郎も一緒に居るんだし、彼に想いを寄せているなら少しでも一緒にお喋りしていてほしい、という優璃の気持ちを汲んでくれたのか挙げていた手を下げてくれた。


こうして一人、人気のない体育倉庫裏の細い道を歩いている優璃だが、どうも様子がおかしい。

彼女が……ではなくこの場付近のこの感覚。

間違いなくバーチャルシステムが何者かによって展開されている。


やがて聞こえてくる女の罵声。




「このっ……外道が!!」


防戦一方。いいや、防げてさえいない一方的な虐戦だ。

そんな戦闘を強いられていたのは、優璃にとって意外な人物であり、そのような状況に陥ること自体に疑問を抱くような、そんな強さを持っている筈の男……橿場直之だった。



「ちょっと、何してるの?」





挿絵(By みてみん)








少々語気を荒げる優璃の横槍にジロリと()める視線を向ける。


「君は誰かな?デカパイッ子ちゃん」


「ほうほう、何そのあだ名喧嘩売ってるのかな、それにあたしは美乳ですぅ〜」



新たな戦いの火種が撒かれる。


……既に撒かれている感が否めないが。



「ふふーん、とか言って乳輪がデカそうなお胸だこと。」


「誰の乳輪がブサイクだって?そのデカ乳搾ってやろうかしら!」



……恐らくは、品の無い戦いが繰り広げられるだろう。

人気がなくて良かった……と、胸を撫で下ろすのは、意外にも既にズタボロの直之だった。


順調に一話で戦闘を終わらせている今シリーズですが、思いつくだけであと五つはあります。想像はしていましたが大変長いシリーズとなりました。

次回の第7シリーズはすぐに終わりそうな話で締めたい所です。

#100以内でこの作品の第一部を終わらせる予定なので遊びを含めた長編も多くは出来なくなってきました。

第二部はシリアス全開の内容なので今のうちにキャラ達で遊ばせてやりたいです。

そんな思惑もあってか、戦闘の途中途中で垣間見えるギャグタッチなバトル描写はやはり平和だからこそです。


……と、呑気にストーリーを進行していますが就活までにはこの作品を終わらさなければいけないのですが、間に合うだろうか……。

残り一年間ちょっと。

……頑張ります。




さて、次回は今回のラストの引き通り優璃vs.雨凪の戦いの……あわよくば顛末までを描きたいです。

雨凪と直之の因縁も補足しないといけないので結構微妙です。尺的に。

まとめようと思えばまとめれるのですが、更新ペースを遅くする可能性が大なので……。


ともあれ、次回もよろしくお願いします。



あとがきイラストはツイッターの本アカウントでもアップしていますが前回と同じタイトル、ストライク・ザ・ブラッドの姫柊雪菜ちゃんです。


「……いやらしい。」

「いいえ先輩、私たちの聖戦です!」

がお馴染みのセリフです。



彼女の抱き枕が実にいやらしい。

あ、紗矢華ちゃんも魅力的で大変好みです。

価格は21000円の模様。



挿絵(By みてみん)







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