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バ革命  作者: 、、
〜七人殺しの七不思議編〜
7/96

#7 天条家にようこそ!

「お母さぁぁぁぁぁん!!しんくんが!女の子連れて帰ってきたーーーーー!!!」


紅空のうるさい声が天条家に響き渡った。

すると間もなくドタドタドタドタと玄関にやって来る心二の母、天条一心(てんじょうひとみ)


「あらあらしんくん。帰りが遅いと思ったらそういうことね。若いからってやんちゃしちゃダメよ?」



「なにがだよ」


何か妙な勘違いをされているのが直感でわかる。実に嫌な勘だ。


「濁さずに言うと………」


横から紅空が入ってくる。



「ちゃんとゴムを着けたのか、と言うことだよ」



「いや濁せよ!!!!!」





玄関をやり過ごし自分の部屋に招きベッドに腰かけるよう勧める。



「………………………。」



顔色は戻りつつあるがまだ気持ちが優れなさそうだ。


「ご飯は食べれそうにないか?」



「ご飯まで、良いのか?」



「気にすんなって。泊まるんだったらのんびりしていってくれ。とりあえず風呂入るか?」



「………あ、ありがとう。」


少し顔に赤みがかかる。

自分で気付いたのか李女は突然立ち上がって顔を隠しながら風呂場へ向かった。



「…………かわいい。」


あれ、李女は風呂場を知っていたかな。


そう思った瞬間李女が恥ずかしそうに風呂場の場所を訪ねに戻ってきた。




コトン、と目の前テーブルに置かれたココアに心二はすかさず手を伸ばす。


「ん〜……うまし。」


李女が風呂に入っている間、天条家では急遽家族会議が食卓にて開かれていた。


「単刀直入に聞くと…」


ココアを飲んでいる心二に構わず父の重々しい口が開かれた。


「本当に……事は起こしていないんだな?」


「大丈夫だよ。何もないって」


何もなかったわけではない。あんな状態の人間を見てしまったのだ。

だからと言って心二と李女が見たモノを包み隠さず伝えたとして、それを信じてくれる可能性は望み薄だ。というより何かを隠すための言い訳として受け取られる可能性が高い。

それこそ本当に李女とエロエロな事をしてたことを隠すための言い訳だと(とら)えられてしまうだろう。


「しんくん。」


すると、 突然立ち上がり紅空はなにも言わず心二の手を引いて廊下まで連れていく。


「な、なんだよ姉ちゃ…?」


紅空に目を向けると今まで以上に真剣な眼差しを向けてきた。


「しんくんさ、隠してることあったらちゃんと言って?」


(………………え?)



何か隠してる事がバレている?


「いや、だから隠してることなんて…」


「まさか、本当にやっちゃった…て訳じゃないでしょう?」


(なんなんだこの物言いは…?オレが嘘をついてる前提で(はな)してきている…)



もし紅空に本当の事を話したとして、信じてもらえるだろうか。


「………………。」


心二はゆっくりと頷く。


「……わかった、話すよ。だけど菜川が風呂から上がってからね。話すならアイツがいた方が信憑性があるだろ?」


すると紅空、今度は悲しそうな目を心二に向けてきた。


「お姉ちゃんは信じてるよ。しんくんのこと。」



「………………………………」





その重い信頼に一瞬でも答えてあげられなかったことに心二は、一言ごめんと告げ食卓に戻る。





李女が風呂から上がり、晩御飯を食べたらいよいよ本題。風呂に入っている紅空の部屋には心二と李女が神妙な面持ちで腰を下ろしていた。


室内に二人しか居ないのにこそこそと李女は声音を潜めて心二に訊ねる。


「本当に言うのか?今日の………事。」


心二自身、出来ることなら別に言いたくはない。正体不明の怪奇に身内を巻き込みたくなんてないからだ。

……でも、そんな身内に心配を掛けてるのは確かだ。そんなのは、もっと御免だ。


「ごめん。オレ、シスコンだからさ」


いつもは下品な姉で恥ずかしい思いをしたことは少なくない。それでもたまに見せる姉らしい一面。紅空の前では死んでも口には出さないつもりだが本当はどうしようもないくらい心二は姉が大好きなのだ。

だから、頼らせてもらおう。


「…………うむ。だから?」


(そうですよね。もう少し言葉を選ぶべきですよね。)



「姉ちゃんなら何か分かるかもしれないだ。…………勝手にごめんな」



とんでもない、と李女は首を振る。


「世話になってるのは私の方だ。天条が決めたのなら問題ない。」



「おっしゅー!気持ちよかったぁ!!」


いきなり開かれたドアからバスタオルを肩に掛けただけのほぼ全裸姿の紅空が入ってきた。




挿絵(By みてみん)




「ちょいちょいちょい!服着ろよ!!!!」


「しょうがないでしょーお風呂場にパジャマ持って行かなかったんだから」


パタパタと手を扇ぎながら李女に近寄り顔を近づける。


「李女ちゃん、だっけ?」


突然近付いてくる全裸の女の子に驚きながらもいつもと変わらないクールな受け応えを心掛けるように返す。


「そ、そうです。心二くんとは仲良くさせていただいて…」


「きゃーー!もうかわいいーーーー!!!!!」


李女が言い終える前に抱きつく紅空。

……タオルがはだけ完全な全裸体で。



「はい!?」


紅空の女体の柔らかい部分は同姓の李女でさえも顔を真っ赤にするほどの破壊力の様だ。よく見れば李女の頭頂部からアホ毛らしきものが李女のテンパり具合とシンクロしているが(ごと)くピョコピョコうねっている………ように見えた。



「姉ちゃん、早く着ろ。風邪引く。」



「心二ーーーーーーーー!!」



背を向けていたドアから聞きなれた自分を呼ぶ女子の声が聞こえた。



「え?この声……」


振り返ると(じき)に姿を現したのは私服であろうラフな格好に身を包む今西優璃(いまにしゆり)垣峰守郎(かきみねしゅろう)だった。


「よっ!」


朝でも昼でも夜でも元気いっぱいな優璃の声が昼間の心二の淫夢(いんむ)を思いださせる。


「あー!心二顔赤い!……ていうか紅空さん!裸で何やってるのーーーーー!?」



紅空に気付いた優璃と守郎に抱き付いていた紅空も気付く。



「あ!ゆりっちにしゅーくんじゃん!」


「おい守郎てめぇ!姉ちゃんの裸ガン見してんじゃねぇ!


「ん?しゅーくん見たいの?」


「って姉ちゃんもう見せてるからーーー!!!いいから服着ろーーーー!!」



怒号と共に心二は思いっきり(そば)に置いてあった女の子らしい寝巻きパジャマをぶん投げた。





一気に人数が増えた紅空の部屋はさっきまでの騒ぎがようやく沈静化した。

紅空が下の階にまで飲み物を取りに行っている間にとりあえず心二はいきなりの来客である優璃と守郎に訊ねる。



「お前ら、なんで来たの?」


心二の問いかけに胸を張りながら応える。


「一心ちゃんがTwitterで心二が女の子連れ帰ってきたって聞いてね!面白そうだから守郎も呼んでお泊まりに来たんだ!!」


(人の母を“ちゃん”付けとは…いつの間にこんな仲になってるんだ。っていうか母さんTwitterやってたのかよ……)


「毎日心二の可愛い寝顔の画像upしてくれるんだーーーー♪おかげで毎朝が楽しみだよ!!」



「アカウント炎上させてやろうかあのバカ母!!!」




「天条の……………寝顔…か。」


斜めで正座している李女がそんなことを呟いた。



(これは早いところ手を打たないと菜川にまでオレの寝顔見られそうだ…。)



「ん?守郎?」


さっきから妙におとなしくしている守郎が気になったか、目を向けると、さっきパジャマを着る際にパンツを引き出しから取り出した時から開けっ放しの引き出しの中身を遠くから凝視していた



「………………守郎さん?」


再び呼びかける心二。

やはり守郎から返事はない。



「守郎!!!」


ビクッと肩を震わせてようやく心二の呼びかけに気づく。


「…………な…なんだぜよ?」


「なんだその語尾は、お前は鬼童丸か!開けっ放しの姉ちゃんの引き出しからパンツ見てただろ!!」


図星なのか顔を真っ赤にして目を泳がせる。

そして一言。



「だって見てぇんだもんよ。」



「この変態野ろっ!?…………………くぅッ」


見たい……その気持ちはわかる。

紅空の裸、紅空のパンツ。紅空の紅空。

だからそれ以上は何も責められなかった心二だった。


(ん?オレ…シスコンじゃなくて…変態じゃね?)


「おーい心二ーーー?固まってるよー?」



挿絵(By みてみん)




そう言えば、と心二は虚ろな存在である過去の記憶を辿る。紅空をお姉ちゃんじゃなく姉ちゃんと見るようになったのは……性的な目で見るようになったのはいつだったか。

幼少の頃。全く記憶に残っていないあの頃は、まだそんな濁った目は持っていなかったのだろうか。



「しんくん!!!」


ふと気づくといつの間にか飲み物を取りに行っていた紅空が帰ってきていた。


いつの間にか話が進んでいたらしい。


周りを見ると優璃も守郎も李女も神妙な面持ちで心二を見ていた。



「え?」



「話してくれるかな?」



何を?とは聞かなくてもわかっていることだった。


一呼吸置いて、心二は口を開く。


「放課後、委員長の仕事でオレと菜川が残ってたんだけど…帰るとき、入り口に頭蓋が半分割られた女が立ってたんだ」


我ながら変なことを言っているなぁとは思う。

しかし紅空……そして守郎も何かを思い出したような顔をした。


「紅空さん…その女って…。」


守郎が確認するかのように紅空に尋ねる。


「しゅーくんも知ってるの?」


「その手の話を信じてるって訳じゃねぇんですがね」


話についていけてない優璃、李女を代表して心二が問いただす。


「お、おい!なんのことだよ!!」


すると間髪入れずに紅空は応えてくれた。


「桜南高校に伝わる七不思議のことだよ。別名、七人殺しの七不思議(セット・ブラッディ)



「……………?せっとぶらっでぃ?七不思議?」



時刻は九時を回り、その手の話をするには頃合いの時間帯になっていた。


後書きはなるべく新シリーズの第一話と最終話にしか書かないと自分で決めていたのですが…。

少しおしゃべりでも。笑


挿し絵は更新済みでもあとあと載せていくかもしれないので前回の話を思い出すような感覚でパラ見でもしてくれたら嬉しいです。ということで前話の #6に一枚挿し絵を追加しました!よろしければもう一度#6を見てみたりしてください!

そして今回#7の挿し絵に関して。

なんかもう段々と紅空さんがダメな方向へ向かっていってますが…というかヒロイン立ち位置の優璃さんよりよっぽど目立ってますよね…笑


このシリーズはやっぱり今回話に出てきた七不思議を知っている守郎や紅空さんが活躍せざるを得ないのでねぇ、優璃さん……。

もう少し出したいですねー。

残りの主要キャラ達も活躍できるように話を回していきたいです!特に深海さん!!!笑

今後ともバ革命をよろしくお願いします!


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