#60 混沌の革命宣言
10月20日。
我が桜南高校文化祭……通称桜南祭初日である。
定日まで一週間を控えた生徒達はクラスの催し物の準備で放課後にはどこからともなく生徒たちの賑わう声が青春劇を演出していた。
「おお〜!何やええ感じの衣装やん!」
一年三組の出し物は先日のLHRで『何でも相談室』に決まった為、聞き手役に抜擢された太刀川奏也に着せる衣装が最終下校ギリギリの時刻に届けられた。
「ありがとーな古旗!」
「いいっていいって、さ!着てみて着てみて!」
目を輝かせながら衣装作りを担当していた古旗由美は両手を合わせて奏也に詰め寄る。
「お、おう。ほな着てみよかな、トイレで着替えてくるわー」
踊るようにスキップしながら教室を出て行く奏也を見送る一年三組一行。
ある者は中断していた作業を再開し、ある者は休憩がてらに窓へと視線をやる。
「……もうすぐだな、桜南祭。」
教室の後ろの方から聞こえる心二のひとり言に肩をほぐしながら由美が返す。
「そうね〜。ウチはやっと自分の仕事が終わったし、後はのんびり祭りを待つだけ。」
仕事をやり切ったいい表情をする由美を横目に心二は苦笑いを零す。
「オレらのコレ……あと二日で終わるのかな……」
言いながら黙々と作業……もとい看板を作っている椎村火影ら男子生徒数名を見る。
「だったら手伝えっての!心二も看板係だろうが」
ビシッと指差し火影が吠える。
声音が心なしか掠れている。
間も無く下校時間……疲労が溜まってきているのだ。
「うっ……やだなぁ〜」
肩を落としながら作業へと戻る心二の後ろ姿はサラリーマンの仕事終わりの後ろ姿の様。
ガララ、と教室のドアが勢いよく開かれる。
「みんなー今日はここまでだって!先生が戻ってくるまでに片付けしちゃおう!」
優璃の作業終了の声に両手を上げて喜ぶ生徒たち。
「やったーーー!さっさと片付けるぞ!」
心二は優璃の声を聞くや否や地面に広げていた着色道具を華麗な動作で片付ける。
「火影は看板を後ろに、三波は下敷きの新聞紙を畳んでロッカーに突っ込め。」
「「ラ、ラジャー」」
心二の的確な指示で忙しなく働くクラスメイト達。
流石は学級委員長。
高校入学当時と比べると対した統率力である。
「ん?もう終わりか?」
優璃に続いて教室へ入ってきたのは教室をお悩み相談室っぽく魅惑な雰囲気を演出するためのカーテン、オトナな匂いの芳香剤諸々の買い出しから帰ってきた守郎だった。
「ご苦労守郎!きちんとオトナな匂いのヤツ買ってきたか?」
「ったりめーだ。欲情しても知らねーぞ?」
へっへー、と自信満々にレジ袋から取り出したアロマキャンドルには『ラズベリーの匂い』と表記された商品名のロゴ。
「ラズベリー??おーい嘗めてる守郎くーん。オトナの匂いって言ったら……あれ?オトナの匂いってなんだ?」
「体液の匂いとか?」
「それだ!買う必要ないじゃん、桜南祭当日にここで窓締め切ってみんなで室内鬼ごっこでもして汗を捻出しよう!」
「迷走してんじゃねーよ」
途中の優璃の余計な一言で間違った方向へ走り切ってしまう心二をよそに守郎はさらに机に置いたレジ袋から水晶玉らしき少し大きめのガラス玉を両手に持つ。
「こんなんでいいか水晶玉は……って、奏也のやつどこ行ったんだ?」
「奏ちゃん衣装合わせでトイレに着替えに行ったよー」
由美の疲労感丸出しの声に優璃が笑顔を浮かべる。
「由美衣装出来たの!?」
「ばっちぐ!」
ばっ、と互い肩を寄せ合う優璃と由美。
キマシタワー。
「ど、どや!」
開かれた教室のドアから今度は由美の作った占い師の衣装を纏った奏也が飛び出してきた。
「おおおおおおお!」
心二の歓喜に満ちた歓声は期待の裏切らない謎の占い師感を演出していながら、奏也の美形なルックスと相成って可愛らしく仕上がっていた。
これは客を呼べるっ。
「あらあら、太刀川くん可愛らしくなっちゃって」
三組の担任教師である花江幸が解散を促すためにやって来る。
「か……可愛らし……く?」
先生の感想に疑問を抱く少年、奏也。
可愛いも何も彼は男の子。男の娘ではなく男の子。
可愛いより格好いいの一言をご所望のようだ。
「さ!桜南祭まで残り一週間もないわよ?看板係はあとどれくらいかかりそうなのかしら?」
「明日も残れるんなら明日に完成出来るってくらいっす」
数人いる看板係の内、火影が代表して製作見込み時間を返す。
「なら安心ね。看板さえ作れば桜南祭前日にデコレーション係に仕上げてもらうだけだしあなた達、あと明日頑張りましょうね!」
活気つける先生の微笑みに俄然こちらもやる気に満ちてくる。
小物を作っていた撃村託巳なんかは分かりやすいくらいに背中押された様にやる気を出して、立ち上がる。
「先生!何でも相談室が盛り上がったらオレにおっぱいを見せてください!」
ほらもうやる気出しすぎて変なこと言ってるし。
おっぱいバレーかよ。
「あら撃村くん。先生をからかっちゃいけませんよ?」
冷ややかな先生の視線が撃村を射抜く。
もう喋るなとでも言っているような攻撃的な威圧。
「んじゃ、オレら帰る。心二ー、早くこい」
既に帰り支度を済ませ、カバンを背負う守郎と優璃が教室から出て行こうとする。
「おっけおっけ、んじゃ先生さよなら!みんなもバイバーイ」
「さようなら」「ほななー」「ばいちゃー」各々の声を背に彼らは校舎を後にする。
すっかりシン……と静まり返った校舎内は心二達の足音がよく響く。
かつーんかつーんカツドゥーン。
「……カツ丼が食べたいな」
心二の呟きに守郎はどうでも良さそうに返す。
「オレは……親子丼かな。」
「いやーん誰とどの子の親子丼?」
優璃の口を塞ぎたくなる。
もちろん親子丼で「はい、あーん」とかやってあげながら。
くっ、悔しい……けど感じちゃう!
こんな事、女の子に言わせてみたいなー。
そんな心二の欲求は高校入学から書き続けている日記を書き終えざまに生まれた。
「しんくーん!」
コンコンと自室のドアが叩かれる。
飛んでくる声は姉の紅空のものだ。
「どうした姉ちゃん」
心二の返答を合図に紅空が室内へ入ってくる。
ピンクのパジャマは胸元のボタンが開けられており「ボタン開いてるよ?」と閉めてあげたい欲求に駆られてしまう。
「しんくん桜南祭で何やるの?」
何やるの?という問いに少し首を傾げるが、どうやらクラスの出し物について聞いているようだ。
「お……お悩み相談室。奏ちゃんが聞き手でやるんだけど……」
「え!?奏ちゃんって夏休みのプールの時の可愛い子?お姉ちゃん行こっかなぁ」
奏也しか見えていない紅空のメス顔にはもう少し自重してほしい物だ。
「別に行ってもいいけど、あんまり奏ちゃんに迷惑かけるなよ?」
だいじょーぶだいじょーぶと笑みを含めながら紅空は言っているが安心など出来ない。
……というか奏也としては若干紅空にはトラウマのような物を背負っているかもしれない。
何せ水着姿の紅空が急に奏也に抱きつくものだから奏也の内の男の子が反応してしまって公開勃起なんて赤面プレイを披露させたのだ。
悔しい……でも感じちゃう!
まさにこれである。
天条紅空……恐ろしい子っ。
……と、そういえば紅空のクラスは桜南祭でどんな出店を出すのだろうか。
そんな心二は先の疑問を投げる。
「え?私のクラスの出店はないよ?二年生は全員で一つの演劇をするの。」
「あー、そういえばそうだっけか」
先日のLHRでそんな規定を耳にした覚えがある。
……演劇、演劇。
「何の演劇すんの?」
「進撃の巨人」
「マジか!?」
「というのはウーソーでー」
憎たらしい程に悪い顔をしながら心二を嘲笑う。
「いや、いやいやいや別に期待なんかしてなかったからな!」
話の内容はともかく知ってるアニメタイトルが耳に入るとつい反応してしまう。
悔しい……けど感じちゃう!
……いや、二回目だけど感じちゃうんだから仕方が無い。
「……だったら何の劇すんだよぅ」
「芽吹姫。」
即答する紅空の言葉にクエスチョンマーク。
「何それ、聞いたことない」
「そりゃそうよ、紗夜が脚本なんだから」
紗夜……というと確か生徒会副会長の装備魔法先輩だ。
交流会の時には彼女の多種パラメータの付加魔法には助けられたものだ。
「へー、あのお堅い人が」
見た感じの印象で悪いが、彼女が物語の脚本を担当するのは意外であった。
「まぁ乗り気じゃ無かったっぽいけれど、紗夜は真面目だからね。かなり面白い仕上がりよ!」
「あーそっか。もう練習は終わってるのか」
話を聞くと夏休みの頃から集まって視聴覚室や武道館を使って練習していたようだ。
朝起きると大抵紅空の姿が既になかった起きぬけの夏休みの日々を思い出す。
「で?姉ちゃんの役は?」
尋ねるや否や唇に人差し指を当ててドヤ顔を作る紅空。
「私は……主人公芽吹姫のお母さん役!」
「そのお母さんは変態趣味をお持ちで?」
「聖母の様なお母様!」
「キャスティングミスじゃないか……」
夜の帳がすっかり下りた秋の夜空
の下で、今日も今日とて平和な日常を繰り返す。
しかし……忘れてはいけない。
平和の裏に潜む物は……間違いなく混沌である。
平和が観測されれば……
それは混沌の前触れ。
「……桜南祭までもうすぐね。目標数は成績優秀者30人。」
決意を堅め、彼女は腰を下ろしていた公園のベンチから立ち上がる。
ペロリと出された舌は淫靡な印象を含みつつ、ギラリと睨む両の眼は獲物を狩る狩人のそれだった。
「中々厳しいノルマだぁな。オレも雨凪も平凡な低成績者だってのに」
彼女の言葉に素直な感想をこぼす。
当然だ。ただでさえ低成績者と成績優秀者には必殺コードの有無だけでとんでもない実力差があるのだ。
攻撃力、攻撃耐性、行動速度などの基本パラメータなどの差を鑑みれば、勝てる要素など見当たらない。
「何言ってるの?私たちは強いでしょ?必殺コードなんて全部私がぶち壊してあげるんだから」
雨凪の誘うような垂れ目から覗くのは絶対的自信。彼はその目を見て思い出す。
雨凪との出会いを。
そんな自信に満ちた強気な瞳に惹かれて霧亜はここにいる。
霧亜には見えていた。
彼女が起こそうとしている大革命を。
機は熟した。
たった二人が起こす革命は残すところ一週間。
「秀才は所詮人間止まり。天才には程遠くて……小さい存在なのよ」
夜風でなびく雨凪の束ねられた後ろ髪は革命の旗上げを表しているかの様だった。
いまだテスト期間中ですが更新出来ました。
学校は午前中までなんで書く時間は微妙ながらも取れております。
さて、今日では春アニメが次々と最終回を迎えていますね。
やはり悪い予感はしていましたが極黒はダメみたいですね……笑
……いや笑えんな。
スカジ編まででよかったのに……駆け足でヴァルまで行くから……
おっと、気を抜けばどんどん愚痴が出てくる。
それに比べてシドニアは嫌な予感を残すラストシーンを残して二期への期待が高まります。
弱虫ペダルも最高の最終回でした
上記のアニメは二期が決定しているので本当に楽しみです。
ごちうさも最高でした。
最終回やからってしんみりし過ぎですわ
二期きて欲しいです
……とまぁ今期アニメの感想ならいくらでも喋れるところですがこのくらいにして……っと。
最近配信されたエンジェルビーツのソシャゲが楽しいです。
SSRの音無引けたから余計に楽しい。
現在は何故か長期メンテナンスでやりたくても出来ませんが。
早く復旧してほしいっす。
バ革命はいよいよ次話から桜南祭開催。
目標としてはバ革命の序章みたく心二と敵キャラの熱い言葉のぶつけ合いの様な展開のバトルをもう一回実現したいなぁとか思っています。
そして今回から本格的に優璃や守郎の戦闘を描写することになるのでこちらにも注目してほしいところです。
初期メンバーが活躍予定の長編ですので長くはなりそうですがよろしくお願いします。
あと、今回突然出てきた心二の日記を書いている……という設定は少し前に投稿したバ革命の番外編企画の短編小説の設定ですがバ革命の終盤の展開で重要になってきますので本編にも日記を書いている描写を記しておきました。
番外編企画、まだ未読の方はどうかご一読お願いします。
http://ncode.syosetu.com/n0145cb/
あとがきは極黒のブリュンヒルデのカズミ=シュリーレンツァウアーです。
アニメは散々でしたが原作は最高ですのでどうぞ!
また、アニメも序盤は確かに面白かったのでBlu-rayBOXは泣く泣く購入予定です。ネコサンダーの鼻歌とおっぱい目当てです。
ほとんどおっぱい見るために買うような物です
おっぱい代を払うと言っても過言ではないですね
次話もよろしくお願いします




