#4 革命のその後
突然の奇襲に対応できず、追撃を避けるため直之は剣を構える。
「……ンでだよ。」
弱々しい姿勢、しかし目は戦うことを諦めない。そんな戦人の殺意を直之から感じた。
「なんで無能のバカのくせにオレの邪魔をすんだよ。おかげで成績優秀者のオレの面子が丸潰れだ。」
心二はなにも言わない。形、格好は本物の男。痛手を負いつつも戦いを諦めない姿に少なくとも心二は成績優秀者の肩書きを振りかざし、金を巻き上げることを何とも思わない直之だろうと感銘を受けた。
だが、ふたを開け言葉にしたらそれは回りの……世間の目を気にし「成績優秀者が落ちこぼれに敗北する」という結果を恐れるただの臆病者だった。
「屑は屑らしく、落ちこぼれてろよ。」
「うるせぇよ天狗が。」
ついに心二が口を開いた。改めて聞くとやはりさっきまでの童顔な心二に似合う声音ではなく、凄みの効いた声音に変わっていた。
「先生の前では綺麗な顔作って、自分より下の奴には金巻き上げたりするような人格破綻してる奴に面子なんてモンはねぇよ。」
両者の右手に持つ獲物が標的を切り裂くためだけに絶好のポジションで静止する。
「ありのままの自分で居られねぇなんて、相手に自分を合わせてるなんて、情けないとは、弱いとは思わねぇか?」
「あああァァ?なにキレイ事言ってんだァ?他人に合わせるのが弱虫だってのか?そんなのはただの世間知らずなんだよッ!!大人に媚び売らねェとやってけねェ……そんなストレス溜まりまくる生き方……自分より下のヤツ見下さねェと…………やってけねェェェえェんだよォォォォォォォ!!!」
「自分の生き方を難しくしてんのはお前だろうが!!!大人に媚び売んのが最低だなんて言ってねぇ、下のヤツ見下さねぇと生きていけねぇその弱っちい根性が……情けねぇ、弱ぇんだろうがぁぁぁぁぁ!!!!」
双方の咆哮を皮切りに今、決着が付こうとしていた。詰める距離もない二人はそのまま互いの剣激をぶつけた。
単純な力比べでは成績が上の直之の方が筋力パラメータなどの基本ステータスが断然に上なため、敗北するのは天条心二の方であったはずだ。
その確定運命を確変したのは後方で待機していたはずの守郎だった。
「……クソがッ……!クソがクソがクソがクソがクソがァァァァァァ!!!!」
守郎の真横からの剣激により直之の右腕が切断される。
「お前の薄っぺらい人格……」
呟きながら心二はトドメとばかりに必殺の剣激を食らわせる態勢に構える。
「オレが革命してやるよ!!!!」
派手にぶちまけられた血液を連想させる紅蓮色のポリゴン片。
ついに、直之は完全に力尽きた。
優秀者VS劣等者。かくして勝負は決したのだ。
「おい待て!」
戦科試合を終え控え室から出た心二と守郎を待ち構えていた敵意剥き出しの表情でこちらを睨む直之だった。
「お疲れさん、成績優秀者さま」
ニヤニヤしながら煽る守郎に舌打ち、直之は心二へと向き直る。
「テメェ、ただの低成績者じゃなかったのか?」
「そうだよ、オレは低成績者だ。」
「んじャあの鎌鼬をどうやって躱したんだよ!」
直之は先ほどの戦科試合での心二について問い詰める。何故、無能力では脱出不可能の鎌鼬を帯びた竜巻から脱出して直之の背後を取れたのか。
そんな質問の意図を心二は理解してるようだ。早く上の観客席に戻りたい心二は意味深な言い回しはせずにただ事実を告げることにする。
「オレは躱してなんてないよ。あの攻撃はモロに食らってからお前の背後を取ったんだぜ」
ふっふっふ、と腕を組む心二の胸倉を引っ掴む直之。
「巫山戯んじャねェ……アレをモロに食らっといてHPが残ってるワケねェだろ!」
「……ッ。うん、勿論オレのHPは全部吹っ飛んじゃった。流石成績優秀者さまだなぁ」
ッッアァ?と煽りに次ぐ煽りに短気な直之も頭が弾けそうな程に煮えたぎっていた。
いい加減面倒になって来たのは守郎だった。なるべく分かり易い説明を心懸ける。
「だからよ、それがそいつの『システムスキル』だ。死んでも一回だけ生き返る。」
「……死んでも生き返るだと?」
掴んでいた心二の襟元から手を離す。
五教科400点以上の成績優秀者が所有する必殺コードに対抗する手段こそがシステムスキル。
「成績優秀者さまならシステムスキルくらい分かるだろ?」
「現実の自分が持つ特技をバーチャル体に引き継げるッてやつだろ」
そっそ、と頷く守郎。
例えばある野球部の生徒に強肩で評判のある捕手を元にして構築されるバーチャル体はシステムスキルによって肩が強くなる。
勿論肩が強くなったから何なんだ、と言う話だが。そんな強肩程度のシステムスキルはランク1。
「心二のシステムスキル二重人格はランク3だ」
「ランク3!?最高クラスのシステムスキルじャねェか」
「えっへん!」
鼻が高い心二に少し苛立つ守郎は軽く心二の頭を叩く。
「現実の心二も勿論システムスキル通りもう一つの人格を持ってる。こんな軽く小突いただけじゃ入れ替わんねぇけどな」
「……確かに竜巻に巻き込まれたあの時に一つの人格が死んで、もう一つの人格が入れ替わったのか。」
守郎はコクリ、と頷く。ようやく直之は合点がいったようだった。
あの時、心二は鎌鼬の竜巻によって刻まれて許容の出血量を大幅に超えるダメージを負っていたのだ。本来なら仮想の心二と現実の心二の接続はこの時点で強制切断されているはずだが、心二のシステムスキルは二重人格。さっきまで戦っていた心二とはまた別の心二が出現していた。
「……そうか、オレはやっぱり負けたんだな」
「なぁ橿場。」
唐突に今度は心二が尋ねようと直之に向かう。
「お前、まだカツアゲ紛いのこと続けるつもりなのか。」
途端に守郎も直之に圧を掛けるように凄みを効かせた視線を送る。
二人の鋭い視線に動じることもなく直之は背を向ける。
「……ンなのはオレの勝手だろうが。弱い奴イジめて何が悪い。」
今も滞りなく続いてるであろう戦科試合中の廊下は人通りが無いからか、直之の声はよく響く。
「……今度は潰す。落ちこぼれ共」
直之は振り返り、鋭い敵意を向けてその場を後にした。
「駄目だなありゃ。どーにもなんねー」
リノリウムの床をコツコツと足で小突き、見えなくなった直之に呆れた表情を向ける。
しかし心二は、笑みを浮かべていた。
まるで懐かしむ様な微笑み。
「昔の守郎にそっくりだな」
「……いつの話だよ。」
本日の戦科試合が全て終了した放課後。心二は屋上を訪れていた。
放課後の今の時間帯は部活動に励む部員の声が校内のあちこちから聞こえてくる。
彼らはそれぞれの特技を部活にぶちこんで日々練習に励んでいるのだろう。
今日の戦科試合を通して、心二は考えてしまった。
(このオレより、あっちの心二の方がよっぽど有能じゃないか。)
屋上の鉄柵を握りしめる。
どんよりと落ち込む心二の心に目の前の夕日が眩しいくらいの輝きを放つ。
「こんなとこにいたか。」
ふと、聞き慣れた声が後ろから聞こえた。
そこにはいつものように一緒に帰ろうと、お前の居場所はここだ、と無言で告げるような居心地の良い雰囲気を感じさせる二人の友達が待っていた。
「かーえろ!しぃーんじ!」
晴れやかな声でそう言った彼女に心二はとびきりの笑顔を見せて、彼らのもとへとかけよった。
……一瞬、暗い顔を見せてしまったかもしれないが、その分心二は笑いながら帰路に着こうとしていた。
まだまだ彼らには様々な高校生活が待っている。このデジタル化した社会で、学力がモノを言うこの弱肉強食と化した世界ではあるけど。
直之に絡まれていた男子生徒を見たとき、確かに心二は思った。
自分に正直に生きたい、と。
間違いを正せるような人間になりたいと。
そんな願いが後にどんな結末を迎えるのかはさておき。
ここに、差別化された学歴社会をひっくり返そうと密かに思う少年が一人。
彼の革命は、これからも続いていく。
バ革命1をここまで読んでいただきありがとうございました。キリがいいので後書きを入れたいと思います。
1ストーリー書くのに時間がかかりすぎる…笑
実際にお店で売られている小説とかはこのバ革命の何十倍もあると思うと作家さんはほんとすごいですね!!
それでは、少しお話のことを話させてください
この小説のタイトルは何でバ革命なの?と疑問の方がいるかもですので少しどや顔を作りながら説明させていただきます。
バカの革命で『バ革命』です!(どっっやぁぁぁぁ)
これからの話はそう言ったバカsideである心二、守郎、優璃の革命を起こす話が中心になりますが
基本卑猥なギャグや普通に笑っていただけるギャグもなるべくいれてあわよくば学園ギャグバトルラブコメというジャンルに昇華したいなぁなんて思ってます♪
いまは学園バトルというジャンルですが
さて次巻ですが内容としては少しホラーチックな話になりそうです
それでもうまいこと戦科試合の流れでなにかを革命するというちょっと意味わかんないことになりそうな話展開ですが…ちゃんと皆様の心に残るようなお話にしてみせます!
とりあえずあらすじの内容に納得のいってない方は結構いらっしゃることと思いますが、次巻から癖のあるキャラクターがたくさん出てきます(予定)ので!
次のお話もよろしくお願いいたします!
更新が出来そうになったらTwitterとかで呟いてると思うのでぜひフォローお願いします!レビュー、感想なんかもお待ちしております
@Bakanaisoul
それでは、さようならでございます