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バ革命  作者: 、、
〜七人殺しの七不思議編〜
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#10 菜川李女の消失

七不思議の真偽を確かめるため、夜の学校へ忍び込んだ心二たち。

最初に巡る七不思議の舞台は保健室。


『黒目の教師』の怪談。


保健室をサボり場にしていた生徒を当時の保健の女教師が叱ったところ、 逆上した生徒は吸っていたタバコで脅そうとして近付けたのだが、運悪くそのまま目に当たってしまい眼球を焼きそのままショック死。

気が動転したその生徒は死亡した女教師に性的暴行を働き、偶然保健室を訪ねた教師に取り押さえられ逮捕される。


今でも保健室で悪さをする生徒を自分と同じように眼球だけを傷付け殺害する女教師の霊は殺人鬼として七不思議で語り継がれている。


そんな保健室へ紅空はさっきの昇降口突破の要領で難なく保健室の電子キーを無力化する。

保健室へ入る心二たち。

最後尾の李女が室内に入りきるとすぐにスライド式の電子キードアは音もなく閉じた。

扉が閉じたお陰で室内は真っ暗で薬品などの臭いが鼻腔をくすぐる。


「とりあえず電気つける?」


「そんなんじゃ出てくるモノも出てこないよぉ」


優璃の提案に紅空が返す。

しかしこのままでは暗くて見えない。


すると微妙に守郎がキョロキョロしてるのが確認できる。


「紅空さん、なんかおかしいぞ。」


そう危険を曖昧に諭す守郎。


「守郎?何がおかしいんだ?」


一瞬の溜めもなく守郎は速答する。


「扉の電子キーは一時的に紅空さんがフリーズさせてるんだろ?なのに、なんでオレ達全員が入りきった途端に扉が閉じたんだ?」


それは言うまでもなく、何者かの意思が働いた結果。


扉に一番近いであろう李女に注意を促す。


「菜川!そこから離れろ!!」


心二の叫びも虚しく、李女の返事はなかった。


「菜川…?」


ろくに周りが見えないのが災いして、菜川の無事の確認どころか、みんなの姿も確認できない。

すると後ろから心二の肩を撫でる手。


「ひっ!?」


「しんくん?私よ。Great Sister 紅空だよ。」


「ったくどこのGTOだよ。……いや、GSKか………ってんな場合じゃねぇ!」


「しんくん!李女ちゃんの返事がない。これはまずいかもしれないよ」


いつも能天気な紅空の真面目な声音に危機的状況を感じ取る。


「………どうすりゃいいんだ!?」


紅空はとりあえず他のみんなの無事を確認するため優璃と守郎の名を呼ぶ。


「紅空さん!あたしも守郎も大丈夫だよー!一緒に固まってる!」



「くっ…!守郎!あんまり優璃にくっつくなよ!」


「いやん!ちょっと守郎胸さわらないで!」


「守郎!!!!!殺す!!!!!」


「優璃テメェこの状況でとんでもねぇ嘘ついてんじゃねぇ!!どんな心臓してやがんだ」


「よし、ゆりっちとしゅーくんはそのまま手探りで扉に向かって!私たちも行くからそこで合流しよう」


心二と紅空はおぼつかない様子で数歩程歩いく。

ひんやり冷たい壁にぶつかると手探りで確認。


「これだよな?扉。」


すぐに守郎と優璃もやってくる。


「やっぱり……菜川がいない。」


心二の中にドス黒い不安が渦巻く。


(どうしよう…菜川はもともと乗り気じゃなかったのに…側に居てやれば…!)


後悔だけが心二の心を蝕んでいた。


「電気だ!電気をつけるぞ!」


守郎の提案を即座に飲み、心二は手探りで壁に手をかざす仕草をする。

ピッ、と指をセンサーで感知すると電子音が鳴り、室内に明かりが点く。


やはり、李女の姿はない。


「なんでだ……菜川は、どこに消えたんだ!?」


訳が分からない様子で心二が絶望する。


「外は?外にはいないの!?」


優璃が望み薄の可能性を提示する。


李女が確かに保健室へ入ったのは心二はもちろん守郎も紅空も優璃も確認している。


「やってみよう!」


紅空はコードを唱え扉を開閉させる。




まずみんなの目に写ったのは、身体中に水を纏った十の尾。

漆黒と水色の装束を着た少女だった。


その少女の十の尾の先からラグビーボールをわずかに越えるほどの水の球がうかんでいる。


少女の視線の先には、水浸しの眼球を失った女教師らしき人影。

その体は青白く発光していてまるで幽霊のようだ。

そして再び視線を少女に戻し、気付く。


「…………菜川?菜川か!?」


心二の声にその少女が狐みたいな耳をピクッと震わせ振り向く。


「天条!みんな!無事だったか…よかった…!」


心から皆の無事を喜ぶ李女だったが、すぐに幽霊と対峙していた凛々しい表情に戻った。


「紅空さん、この幽霊らしき人、強いです。私だけでは勝てるかどうか…」


そんな不安を口にする李女


「…おいおい、上位成績優秀者(トップエリート)の菜川が苦戦するほどの相手なのか!?」


守郎が嫌な汗をかいてる中、紅空が前へ出る。


「どうやらそうみたいだね。」


そう言いながら、紅空もコード展開を試みる。


己の武器を召喚し、コードを唱える。


「コード展開!麗艶妖精ヒュアフェアリー!!」



辺りの空気が震えているのがわかる。

さっきの昇降口や保健室のセキュリティを解除するときのコード展開とはもはや次元が違っていた。

次第に紅空の着ていた服が光に包まれ消失する。


「おおおっほぉ!!」


光を纏っているため痴部は見えないが紅空の美しい体のシルエットだけで心二と守郎は目を輝かせた。


光が徐々に消えていく中、紅空の背中からは四枚の羽らしきシルエットが出現する。

光が完全に消え姿を見せたコード展開の完全体。

その姿はまるで…妖精のようだった。



挿絵(By みてみん)



麗艶妖精ヒュアフェアリー水神雌狐ルナールウィトリクエ

上位成績優秀者である二人がタッグを組むことの恐ろしさと圧倒的強さを心二、守郎、優璃は知ることとなる。












一方その頃、ファストフード店でも一波乱起きていた。



「…………おいおい、なんだってまたこんな…。」



狭山陽志(さやまようし)がトイレへほんの数分間席を外していた間、事は起きていた。



原因は美しすぎる容姿を持つ弥富深海(やとみあくあ)が一人で居たことによる。

そんな美少女が一人でファストフード店に居るのを見逃すわけがなく。

陽志が席に戻ってみると案の定、自分と同年代か年上のチャラチャラした奴らに深海は絡まれていた。


「ねぇー、話聞いてる?俺たちと遊ぼーよー!楽しいぜぇ?」


完全に無視を決め込む深海。

それでも諦めない彼らに(あき)れ半分、感心半分で深海を拾いに行く。



「あー悪いな少年たち、こいつぁオレの連れだ。さ、行くぞくーちゃん。」


さっさと深海の真っ白い手を取り席を離れる。




「おい待てよコラ。今は俺たちと話してんだろーがよぉ。勝手に連れてってんじゃねぇ」


そう言いながら連中の中心的存在の茶髪青年が連れ出す陽志を制止する。

すると連れの四、五人が陽志と深海を囲みだす。

頭を抱えるのは陽志だった。


「はぁ、めんどくせぇ。まぁ慣れたことだが…」


いつも一緒に深海と行動している陽志が今だからこそわかること。

可愛い女の子を連れてると、どうも面倒に巻き込まれる、ということだ。

深海と知り合った一ヶ月前の入学式はその美貌と容姿に魅せられた陽志だったが……。


「そりゃ、贅沢な面倒ってもんだよな。」


「なにごちゃごちゃ言ってんだゴラ!!」


構わず陽志の腹に膝蹴りを放つ取り巻きの一人。


ドグッ、と盛大に膝蹴りがクリーンヒットした。


だが項垂(うなだ)れることもなく、平然とした表情で周りの連中を睨み付けた。


……すると茶髪の青年が吠える。


「おいお前ら!ソイツ転がせや!!」


ファストフード店内は騒然。他の客が怯えていたり興味本意で野次りに来たりしていて店側の迷惑を考えれば申し訳ないと思った。


「仕方ねぇ、恨むなら場所を(わきま)えないお前ら自身を恨めよ。」


陽志は拳を握り襲いにかかってくる奴らを片っ端から腹部に蹴りを深々と一発入れる。


そしてうずくまる彼らを店内に追い出すように引きずっていく。


「本当すんませんね。出ていきますんで通報は勘弁してくださいね」


一言謝辞を述べ陽志し深海は店内を後にする。







すっかり暗くなった夜道を陽志と深海、二人で歩いていた。

特に会話はない。というより基本二人の間での会話は少ない。


「あー、くーちゃん。」


いつものことながら、さっきの騒動から一言も喋っていないことが変な空気を作っているのか、とにかく気まずい空気を払拭(ふっしょく)すべく陽志は話題を提示する。


「そういえば、今日の心二たち何か変だったよなぁ?どうも心ここに在らず…って感じでさ」


「そういえばそうね。」


深海は夜空を見上げる。


会話は一時途絶えたが、意外な一言を深海は口にした。


「………もっと、みんなと遊びたい。放課後とか、みんなで寄り道。」


それは、一ヶ月ほとんどの時間を一緒に行動していた陽志を驚かせるほどに意外な一言だった。

彼女は基本人とは関わりたがらない。

初めて会ったときも、話すまでにだいぶ苦労した。

そんな彼女が他のクラスの心二たちのグループと関わるようになったのはたまたま陽志と心二が中学からの顔見知りだっただけで、特にその心二グループの優璃や由美とは仲が良いらしい。


他のクラスでなければ、陽志なんかより優璃たちと楽しく放課後にショッピングとか、カラオケなんかに行ったりしていただろう。


「なら、明日の帰りにでも誘ってみるか?」


「…………!」


分かりやすいくらいに嬉しそうな表情を浮かべ顔がにやける。


(な、なんだこいつ。こんな顔初めて見た…)



挿絵(By みてみん)



そんな彼女を見て陽志も笑みを浮かべる。


「だったら、今からでも誘ってみるか?」


そんな陽志の提案にとびきりの笑顔を見せた深海だった。





そして舞台は夜の学校。


七不思議一つ目の保健室前で物語は再開される。


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