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プロローグ
雲ひとつない、高く青い空。
私の下に、斜面に沿って広がる白い大地。
私は、自分の少し後方にある小高く白い丘を見上げた。
太陽の光がまぶしくて、私は少し、目を細くした。
そのとき、丘の上から、何かが勢いよく飛び出した。
人だ。
わかる、彼だ。
青い空に、彼の姿だけが映える。
彼が宙で踊る。
空中で回転し、身体を反らせ、舞い降りてくる。
――その背中に、私は、翼を見た気がした。
あぁ、私、きっと。
この人のこと。
好きに、なっちゃったんだ。