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初日

 早朝、日課の基礎ストレッチを終え、清潔感のあるポロシャツの上に学生服のジャケットを羽織り、型崩れのないズボンに足を通す。


 鏡の前で身支度を整え出かける準備をしていると、玄関を叩く音が響く。


 扉を開けると、そこにはやはり、リサが立っていた。


 いつもの見慣れたワンピース姿ではなく、ポロシャツに柔らかそうなカーディガン、そして軽やかに揺れるスカートに身を包んだ彼女の姿は、新鮮で、いつもより少しだけ大人びて見えた。


「おはよう、レイ君!その格好、すごく似合ってるね 」


「おはよう、リサ、いつもの服よりずっと学生らしく見えるよ」


 ブラウンの髪を揺らして微笑む彼女と共に、俺たちは寮を後にした。


 学園へと続く道には、俺たちと同じ制服に身を纏った大勢の学生たちが溢れていた。


 教室に足を踏み入れると、すでに8割方の席が埋まっている、貼り出された座席表を確認すると、幸いにも俺とリサの席はそう遠くない位置にあった。


 指定された自分の席へ向かい、荷物を下ろす。始業までまだ時間があることを確認した後。


(一度、場所を確かめておくか…)


 俺は席を立ち、一旦トイレを済ませるために廊下へ出た。


 廊下には、同じくポロシャツに学生服のジャケットを羽織った男子や、カーディガン姿の女子たちが溢れている。


 用を足して教室に戻ると、自分の席に深く腰を下ろし、静かに周りの様子を伺った。


 教室を見渡すと、男女の比率はちょうど半々といったところか。


 その後も生徒たちはポツポツと姿を現し、中には始業の鐘が鳴るギリギリに、滑り込むように入ってくる者もいた。


 やがて、始業のチャイムが鳴り響き、教室の扉が開いた。


 入ってきたのは、見覚えのある不精髭を蓄えた男だ。


(……あの人か)


 初日に、寮まで案内してくれたあの男が、どうやら俺たちの担任らしい。


 男は教卓の前に立つと周りを見渡し、自己紹介を始めた。


「俺の名前はジンだ。今日からお前らの担任を務める。よろしくな。」


 気怠げな様子でやる気のなさそうな声でそう言った。


「じゃあ、左の端から順番に名前と一言、自己紹介していけ。」


 その言葉を合図に、教室の左端からポツポツと生徒たちが立ち上がり始めた。


 俺の席は右の後方なので、順番が回ってくるのは最後の方だ。


 自己紹介の内容を簡単にまとめると、騎士の家系や貴族の末端が数人。それ以外の大半は、俺と同じような村や町の出身の者たちだった。


(……まあ、そうなるか)


 この学園に騎士や貴族が少ないのには理由がある。本当に優秀な血筋や才能を持つものたちは、ここではなく中央にある学園へ行くのが常識だからだ


 自分の番が来て、俺も席を立ち、極めて無難に自己紹介を終えた。


 全員の挨拶が終わると、ジンは黒板を背に、明日からのカリキュラムと学園のルールについて淡々と説明を始めた。


「この学園では二週間後、チームを組んで最初の依頼を受けてもらう。内容は学園内の雑用から、近隣に出没する魔獣の討伐まで幅広くなっている」


 学園の運営費は一部、生徒がこなす「依頼」の報奨金によって賄われている。つまり、生徒は学びながらも、実戦を通じて学園を支える「稼ぎ手」としての側面を持っていた。


 依頼の内容次第では、命の危険もあるだろう。だが、それはこの世界で生きていく以上、避けては通れない道だ。


「説明は以上だ。今日はこれで解散だ、お疲れさん。」


 ジンの言葉で、初日のホームルームは締めくくられた。


 これからの放課後の数日間は、仲間作りが最優先となる。


 一人きりでは簡単な雑用依頼しか受けられず、当然、成績も伸び悩んでしまうからだ。


 ユニークスキルの有用性やステータス、スキル、魔力量が低いと仲間作りが非常に難しいが、リサは当然のように俺と組んでくれると言ってくれている。とはいえ、効率的に依頼をこなしていくためには、あと2、3人はメンバーが欲しいところだ。

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