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昼過ぎ、俺たちを乗せた馬車が学園の正門へと到着した。

 五時間の疾走を終えたはずの馬たちには、不思議と疲れた様子がない。それどころか、役目を終えるとすぐさま勢いよく次の仕事へと向かっていく。


(…これが、魔法の力か。)


 俺は独りごとを言いその背を見送った。


「リサ、疲れてないか?」

「疲れてないよ。あんなに速い馬車、初めてだったから少し驚いちゃったけど」


 リサと並んで門まで歩く、彼女は平均より身長が一回り低いくことにを気にしていたが、今は足取りは軽く、新しい生活への期待に胸を膨らませているようだった。


 学園の門の近くには、大勢の大人たちが待ち構えていた。その中から、無精髭を蓄えた男が前に出てくる。


「お疲れさん。ここからは俺が寮まで案内する。ついてきな」


 男の案内に従い、門をくぐって寮のある敷地へと足を踏み入れる。そこには、俺の村ならいくつ収まるか分からないほどの広大な土地に、何十棟もの巨大な寮が立ち並んでいた。どうやら学年ごとに住む棟が決まっているらしい。


 リサたち女子とは寮の前で別れた。俺たちはそれぞれ決められていた部屋番号に割り振られた。


 案内された部屋の扉を開けると、そこには質素なベッドと机、そして壁に立てかけられた真新しい制服だけがあった。それ以外には、何もない。


 俺は持ってきた数少ない荷物を床に置くと、制服に手を触れた。


 明日からは、この服を着て「生徒」として過ごすことになる。


 俺は明日の準備を終わらせていった。

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