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旅立ち

 家を出て、村の中央広場へと向かう。そこには、すでに大きな馬車が三台と、旅立ちを見送る家族や村人たち、そして俺と同じ十五歳が集まっていた。


「レイ君、遅いよ! ほら、早く乗って」


リサが馬車の窓からひょいと顔を出した。


 リサの髪が、さらりと風に揺れる。

 暖かみのあるブラウンの髪を見ていると。


「おっ、レイ。やっと来たか。みんなもう乗ってるぞ」

他の同級生も顔を出す。


 馬車に乗り込む際、入り口にいた同級生の一人が声をかけてきた。俺は「悪い、すぐ乗る」と短く返し、リサの隣に腰を下ろした。


「ここから学園まで、五時間くらいだって。この馬車すごいんだよ、本当は数日かかる距離なのに、魔法で加速しているらしいよ」


 リサが手元のパンフレットを読み上げながら教えてくれる。なんでも、この馬車には特別な魔法がかけられていて、さらに御者が魔法で風を操作して加速させているらしい。


 魔法。俺にとってはまだ、おとぎ話を聞いているような気分だ。加速させるのにどれだけの魔力が必要で、どんな感覚で風を操っているのか、想像すらつかない。


 ガタゴトと、馬車がゆっくりと動き出す。窓の外では、見送る親たちが小さくなっていく。


「五時間、か……」


 俺は座席に深く背を預け、目を閉じた。五時間あれば、山を何往復できるだろうか。そんな考えが真っ先に浮かぶあたり、俺の頭はすっかり基礎鍛錬のことで凝り固まっているらしい。


 馬車は目に見えて速度を上げていく。普通の馬車ではありえないほどの疾走感だが、車内は魔法の加護のせいか、驚くほど揺れが少なかった。

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