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始まり

 十五歳のステータス平均は合計150前後。対して、俺、レイの合計は120に届いたばかりだ。 


この5年間、俺は死ぬ気で自分を追い込み続けてきた。村の連中が遊び歩いている間も、俺は自作のプロテインを喉に流し込み、泥を啜るような訓練を繰り返した。重い石を運び、倒れるまで走り込み、己の肉体を寸前まで追い込む基礎鍛錬をした。


 この世界には『ユニークスキル』というものが存在する。


 誰もが生まれながらに持つ特別な異能だが、俺に与えられたのは「他者へ譲渡することしかできない」という、自分を鍛える上では何の役にも立たない代物だった。他の奴らが自分のスキルで効率よく成長する中、俺のスキルは俺自身を強くしてはくれなかった。


「……よし。最後の一本」


 村の裏山。朝日が昇る前、俺はトレーニングを切り上げた。


 今の俺は力弱い。平均に届かないステータス、村の同年代の奴らは、俺の才能のなさを憐れんでいる。彼らからすれば、ただ努力の方向を間違えた不器用な男でしかない。


 裏山から帰宅し旅立ちの準備をしていると。


「こんにちはー! レイ君、いますかー?」

 

玄関からリサの快活な声が響く。

 

 「ああ、今行く!先に馬車に乗っててくれ」


俺は汗を拭い、使い古した訓練着を脱ぎ捨てて、荷物をまとめた。


 学園に行けば、みんなと同じ授業が始まる。俺もみんなと同じように学び、みんなと同じように成長していくつもりだ。  

これから新たな出会いが待っているのだろう。

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