紅天の焔【短編】
人生で初めてまともに文章を書きました
恥ずかしいぐらい下手くそですが
自分なりに頑張って書きましたので
応援宜しくお願い致します。
時は明治
幕末の動乱から数年が過ぎ
日本は武士の時代が終わりを告げ
新しい時代が幕を開けようとしていた。
そして帝都東京では街中から
文明開化、文明開化と
声が聞こえてくる。
「ふぁ〜腹減ったなぁ」
佐倉勇気 15歳
東京の下級士族の生まれ少年である
士族と言ってもほとんど農民と変わらない
貧しい家の生まれで
明治維新後、父は武士でありながら
新しい時代の先駆けになろうと率先して
商売を始めたものの
融通が利かない
損得を嫌う
古い武士の考え方が抜けきらず
手を出す商売
見事に全て失敗して家計は火の車
借金を多額に抱えて
妻子を残して
失踪してしまった。
そんな中
母と幼い妹達の生活の為に
佐倉勇気は
商家に丁稚奉公に出たものの
江戸の世に冷遇された
腹いせもあってか
士族出身の勇気へのあたりは大変強く
食事は腐りかけの米
毎日理不尽に殴られるなど
本当にひどい扱いを受けて
堪忍袋の緒が切れた勇気は
家主を殴りつけ
暴れに暴れ
勢いのまま屋敷を飛び出して
それから数日
まともに飯という飯にありつけず
飢え死にしかけていた。
もちろん一文無しである
「あ〜もう何日も飯を食ってないや
おにぎりが、米が食べてぇな……」
ふと足元を見ると
自分の唯一の財産とも言える
脇差がある
「これを売れば、1ヶ月ぐらい腹いっぱい飯を食えるだけのお金になる………」
失踪した父、母、妹の顔が頭を過ぎる…
「いや、いや、何を馬鹿な事言ってるんだ
時代が変わろうが武士の子は武士
武士にとって刀は魂、刀を売ることは魂を売ること
それは死んだも同然だ。絶対売るわけにはいかない」
佐倉家に錦を飾るまで帰らんと大威張りして
家を出てきた手前、家に帰る事も出来ず
夜中に川の水を飲み、空腹を紛らわせて
東京府中を当てもなく彷徨い続けてきたが
ここ最近それも限界が来て
とうとう足取りも重くなってきた
「なんだよ、
これじゃあもう死んだも同然じゃないか」
ふと力尽きて
地面に座り込んだ
その側から甘い焼けた匂いが漂ってくる…
「はぁ、団子か!焼いた団子のいい匂い…
本当にいい匂い……美味そうだな」
「………腹いっぱいに食いたい……」
だがだんだんと意識が遠いのいていく
そして薄れゆく意識の中
かすかに声が聞こえる……
団子の娘が必死に何かを叫んでる
泣いている…
そして視界は途絶えた…
真っ暗な世界になった…
声も出せなかったが
勇気は心の中で呟いた。
「誇りある武士の血を引く俺の
最後が飢え死にだなんて…
俺は佐倉家の一生の恥さらしだ……」
「名誉ある死に方がしたかった…
せめて武士らしく強い敵と戦い、
討たれ死ぬような死に方がしたかった…」
「全て、全てもう叶わぬ夢だ……」
目から止めどなく涙が頬を伝う。
ウゥウゥ…
ウゥウゥウゥ…
涙が止まらない…
止まらない…
らない…
オーイ!!
「ん?」
誰かが呼んでいる
声の質からして団子屋の娘ではない。
オーイ!!
オイ、オイ、オイ、
オイ、コイツ、シンデルノカ?
暗闇の中から絶え間なくうるさい声が聞こえる……
勇気は呟いた
「夢か幻か…」
オイ、オイ、オイーッ
ッタク
ダメダ。
ソウダ、オトコハ、コノ、タマタマガ、
ジャクテンラシイカラ、ケリアゲテミヨウ
「た、玉玉を蹴り上げる?
あの男の一番大事なとこを蹴り上げるのか?
え、嘘だよな、嘘だよな
ありえないよな、ありえない、ありえない」
次の瞬間
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ
何者かが
佐倉勇気の大事な秘宝を
黄金の宝玉を
漢の崇高なる魂を
躊躇もなく
的確に玉を下から上に
全力で蹴り上げた。
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
堪らず勇気は全力で
空高く飛び上がった。
その瞬間一気に視界が開けて
暗闇が消え
眩いばかりの青い空と陽射し
日本や清国にも似て似つかぬ
田舎の農村の風景が一気に目に入った。
「痛っっってぇ誰だァ!!、
この佐倉勇気様に
こんな無礼なことをするやつは
漢の名誉にかけて必ず斬ってやる!!!!」
勇気は痛みのあまり
涙目になりながら叫んだ
「ようやく起きたね…」
目の前に
白い見知らぬ民族衣装のような装いの
青い瞳の少女が佇んでいる。
「ようやく起きたじゃねぇ!!
漢の魂を蹴り上げるとは
なんて無礼な女
俺は決して女とて許さんぞ!!」
少女は口を開く
「あんたがあんまりにも起きないからだよ
このままこんな所で寝てたら魔物に食われちまうよ」
勇気は意味が分からず
混乱していた
「ま、まもの?
マモノとはなんだ??
新手の盗賊か?」
少女が意地悪な微笑みを浮かべた
「あー、さてはあんた
遠い国からやってきた放浪者?
身なりも顔も私達と全然違うし」
「放浪者ってのは、まぁ半分合ってるかもだが…
ってかお前こそ、なんだその身なりは!!
どこの国の人間だ!清国人か?琉球人か?
っていうかここはどこだ?
たしか東京で俺は倒れて、、
それから…………………………」
少女がゆっくりと答えた。
「東京?
そんな街聞いたことないね…
ここは仙海村、海の麓にある
この夜魔都の国の辺境も辺境の小さい村さ」
勇気は理由がわからず
混乱のあまり頭を掻きむしった
「なんじゃ?
仙海村?夜魔都?
わけがわからん!!
俺は気を失ってる間に
いつの間にか売人に捕まって
この異国に奴隷として売られてしまったのか?」
頭を抱えて黙り込む勇気
少女が優しく語りかける
「なんか、色々混乱してるみたいで悪いんだけど、
ここ森の中なのよ
暗くなる前に早く村に帰らないと
凶暴な魔物達がウヨウヨ現れるから
話は後で聞くから
とりあえず早く一緒にここを出ましょうよ」
わけがわからない状態だったが
右も左もわからないので勇気は
とりあえず娘の言う事に従う事にした。
「なんじゃ、本当に
俺は頭がおかしくなってしまったんか…
ここは夢か、それとも清国辺りの異国なのか?」
少女に腕を引っ張られて
鬱蒼とした森の中を掻き分けて歩いていく二人
さっきまで明るかった景色が
だんだんと漆黒に染まってゆく…
森の日没は本当に早い。
ザワザワ…
ザワザワ…
ザワザワザワザワザワ…
20分ほど二人は森の中をひたすら歩き続けた。
あともう少しで森を抜けれそうだ。
少女が呟いた
「ねぇ、あんた、
絶対に後ろを振り向いちゃだめよ!!」
勇気は首を傾げて
「なんでだよ、急に」
「魔物が近くにいるの!!
ずっとこっちを見てる
目が合えば敵だと見なして襲ってくるわ
だから絶対に後ろを振り向かないで!!」
そう言い終える前に
すでに勇気は後ろを振り向いていた…
少女が大声で怒鳴った
「ってこの大馬鹿ー!!馬鹿馬鹿!!
振り向くな!って言ったでしょ!!」
「だって、見るなと言われたら見るのが
人間の性じゃないか!!」
苦笑いを浮かべる勇気。
何十メートルか後ろ
豚にも人にも似た翼を持った
異形の魔物が
鋭い眼光でこちらを睨んでいる。
次の瞬間
口から巨大な牙をむき出して
翼を全力ではためかせて羽ばたいた
そして猛烈な勢いで
二人のもとへ向かってきた。
ギャオオオオオオオオオオオ!!
耳が破裂しそうなほど
凄まじい魔物の咆哮が
空に鳴り響いた。
少女が叫ぶ
「全力で走ってー!!」
勇気が叫ぶ
「全力で走ってるよ!!」
背中からでも感じる
とてつもない魔物の覇気
ギャオオオオオオオオオオオ!!
そして激しく興奮した
魔物の鼻息が勇気の肩にかかった
ブハァッ
魔物はそのまま
牙をむき出し大きく口を開いた
「も、もう駄目だ…
俺はこの異国で
次は本当に死ぬかもしれない」
勇気は恐怖の余り
思わず目を閉じた。
「し、仕方ないわ!!」
少女が深く息を吸うと
次の瞬間
少女の叫び声が夜空に鳴り響いた!!
封
「ん?ん?」
思わず少女を凝視した勇気
魔
合
烈
文字を呼ぶたび、
激しく燃え盛る青いの火の玉が
勇気と少女を包み込む
あまりの炎の強さに
獣は完全に怯んで襲ってこれない。
火
「火」の文字を叫んだ途端
5つの火の玉が猛烈な勢いで回転して
次々と獣に目掛けて飛び掛った。
まるで大蛇が獲物に食らいつくように
ゴオオオオオオオォォ!!
ゴオオオオオオオォォ!!
獣に纏わりついた5つの青い灼熱の炎は
それぞれ逃げ惑う魔物の身体に絡みついて離さない
大蛇がウサギを締め付けるように
締め付けられた
魔物は一切の無力となった
グウオオ
グウオオオオ
グウオオオオオオオオオオオオオオオオ…
魔物は悶え苦しみ暴れ
泣き叫んだ
そして
瞬く間に消滅した……
時間にして数秒だっただろう
蒼き炎は刹那の速さで
骨も残さず
魔物の全てを燃やし尽くした。
まさに地獄の業火だ。
あまりの出来事に言葉を失う勇気であった…
少女はそっと呟いた
「驚かせて悪いね。
私は地獄からやってきた鬼ノ姫 ヨウって言うんだ
本当はこんな力使いたくなかったんだけど
あなたが危なかったから …」
「す、すげぇな…
ヨウ、お前すごく強いんだな
すげぇよ かっこいいよ
お前忍者だったのか
俺にも忍術教えてくれ!!」
勇気は真っ直ぐな瞳でヨウを見つめてた。
その目はキラキラと輝いていた。
そして二人は再び
村へと向かって
駆け足気味に歩き始めた……
怪しげな魔術を使いこなす 鬼ノ姫 ヨウ
謎の国 夜魔都…
「俺は絶対に生きて帰る!!」
不安と希望を胸に
佐倉勇気の冒険は今始まる………
終




