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第5話『竜の城 ―Nosferatu Castle―』



夜空が裂けた。

紅の魔法陣が、二人の足元で脈動を始める。

世界の境界が揺らぎ、空気が震える。

その中心に立つのは――ソラと姫。


「な、なんだこの光は……!?」

ソラが叫ぶ。

周囲の闇がざわめき始める。黒い影のようなものが地面から溢れ出し、次々と形を成していく。


――異形の者たち。

牙をむき、血の匂いを嗅ぎつけ、飢えた獣のように二人へと群がってきた。


「くそっ! 何だ、こいつらはっ!」

ソラが身構える。

だが、姫の表情は揺るがなかった。

その紅の瞳が、暗闇の中で静かに光る。


「……来たのね。契約を嗅ぎつけて。」


その声と同時に、空が轟いた。

凄まじい音と共に、巨大な影が現れる。

翼の一振りで風が荒れ狂い、地上の異形たちを押し退ける。


「な、なにあれっ!?」

ソラの声が震える。

夜空を覆い尽くすほどの巨大な竜が、紅の光に包まれて姿を現した。

その鱗は黒曜石のように輝き、目は燃えるような紅。


「敵か!? まさか、あれも――」


「違うわ!」

姫が叫ぶ。声が夜に響いた。

「――あれは私の“城”。」


ソラは思わず息を呑む。

竜の背に、荘厳な城がそびえ立っていた。

塔が絡み合い、光と闇が交錯するように立ち上がっている。

まるで竜そのものが“城”を背負って生きているようだった。


「“ノスフェラトゥ・キャッスル”……そしてあの竜は、私の守護竜グラズヘイル。」


その瞬間、竜が咆哮した。

空気が震え、大地が軋む。

次の瞬間、竜の口から放たれたのは――灼熱の炎。


真紅のファイアーブレスが、夜を焼き尽くすように放たれる。

無数の異形たちは、声にならぬ悲鳴を上げ、光の中に溶けて消えた。

炎の渦が吹き荒れ、地平線が紅く染まる。


ソラは目を見開き、ただ呆然と立ち尽くした。

「……すげぇ……これが……」

息を呑む。言葉が出ない。


姫はその横顔を静かに見つめ、微笑んだ。

「怖い?」

「……いや、すげぇだけだ。

 ……これが、あんたの世界なんだな。」


姫の紅い瞳が、ほんの少し柔らかくなる。

「そうよ。そして――あなたの世界にも、なっていくの。」


竜が再び咆哮を上げる。

その翼が広がるたび、風が夜を切り裂く。

紅い魔法陣の光が強まり、二人の身体がふわりと浮かび上がった。


「さぁ、行くわ――我が城へ。」


風が唸り、世界が霞む。

竜の背に築かれた城が近づいてくる。

ソラは思わず呟いた。


> 「……すげぇ……夢みたいだ……」




> 「夢じゃないわ。これは――あなたが選んだ現実。」




紅の光に包まれ、二人は竜の背の城へと吸い込まれていく。

夜空を貫くように、紅き炎が尾を引いた。


こうして、紅ソラと姫の物語は、地上を離れ――

“竜の城”の物語へと踏み出した。



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