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第1話『僕は…普通に生きたい』
> 僕は――普通に生きたい。
ただ、それだけなのに。
誰も口には出さないけど、僕は“吸血鬼”だ。
他人の血を貰わなければ、生きていけない。
医者も原因を説明できず、親は気味悪がった。
「どうしてお前だけが、そんな体なんだ」
あの日から、僕は“家の中の異物”になった。
鏡に映る顔は死人みたいに白く、
唇は血の気を失い、
病院の廊下では、看護師が目を逸らした。
歩くだけで吐き気がする。
それでも、僕は生きたかった。
誰かに必要とされたい。
「人でも、悪魔でも、いい。
僕を――必要としてくれるなら」
夜風が頬を撫でた瞬間、
月光の下で、銀色の髪が揺れた。
そこにいたのは、
白い肌に紅い瞳の少女。
まるで夢の中の存在だった。
その瞳を見た瞬間、
胸が強く締めつけられた。
「……綺麗だ」
思わず、息を呑んだ。
それが、僕と“彼女”の出会いだった。




