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いよかんびより  作者: 明石竜


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第十二話 芸文祭

《十一月二十七日 金曜日 松山柚風女子中学校・高等学校芸術文化祭前日》

 梨穂のおウチ。

「ねえ詩穂、明日お姉ちゃんの学校の芸文祭見に行かない?」

「連れてってくれるの? 行く、行くーっ。絶対行くーっ!」

 夕食時、梨穂が誘うと詩穂はとても大喜び。


          ☆ ☆ ☀


そして翌早朝、六時頃。

「お姉ちゃん、早く、早くーっ」

「詩穂、そんなに早く行っても学校開いてないって」

 詩穂はすでに朝食をとり終え、お出かけ準備も整えていた。梨穂以上に芸文祭を楽しみにしているようだ。



「しほちゃん、おはよう。元気にしてた?」

「やあ詩穂ちゃん。今日はポニーテールの髪型にしてるやん」

「ほんまじゃ。シホちゃんますます萌えキャラ化してるね」

三人とは、正門前で待ち合わせていた。

「このヘアスタイルがあたし一番のお気に入りなの。おはよう久未お姉ちゃん、棗お姉ちゃん、千陽お姉ちゃん」

 三人からの出迎えに、詩穂は笑顔で挨拶を返した。

「ようこそ芸文祭へ。シホちゃん、今日は思う存分楽しんでいってね」

正門を抜け、校内へ。千陽はさっそく、文芸部の作品が展示されている美術室へと案内した。

「これは、ワタシたちの部で作った同人誌なんよ。読んでみてね」

詩穂は手に取り、じっくり目を通す。

「シホちゃん、ワタシが書いたマンガ、面白い?」

千陽は感想を訊いてみた。

「うーん。悪いんだけど、ちょっと微妙かな。でも絵はすごく上手だね」

「ワタシの絵、美術部の子たちの絵と比べたらだいぶ見劣りするじゃろ? でも褒めてくれてありがとう。嬉しいよ。シホちゃんも絵描くん?」

「ほんのちょっとだけ。どちらかというと小説を書くよ」

「ほうか。ナツメグと同じじゃな」

「詩穂ちゃんも小説執筆をしてはったんか」

 棗は笑みを浮かべる。仲間意識が芽生えたようだ。

「何度かライトノベル系の賞に応募したことがあるよ。全部一次落ちだったけど」

 詩穂は照れくさそうに打ち明けた。

「シホちゃん、ナツメグの創作小説もあるんよ」

 千陽はそれを手に取り、詩穂に手渡す。

「どんなの書いてるんだろ」

 詩穂は興味津々に表紙を眺める。めくろうとしたその時、

「あ、詩穂ちゃん、この場では読まんといてな。恥ずかしいから。おウチ帰って読みぃ」

 棗は頬をちょっぴり赤く染めながら言った。

「分かった。あたしも棗お姉ちゃんの気持ち、よく理解出来るから」

「ありがとう詩穂ちゃん、やっぱ仲間やな。次はうちら生物部の展示作品見せたげるな」

 中庭へと案内した。

「じゃーん! これは部活で育てたジャンボかぼちゃなんよ」

「うわー、ものすごく大きいね」

 詩穂は目を見開き、そのかぼちゃに顔を近づけ、観察し始めた。興味津々な様子だ。

他に、あの痛案山子も展示されていた。

「わっ、何これ? お姉ちゃんたちが作ったの?」

 詩穂はくすくす笑う。

「ほうなんよ。ナツメグとの共同作」

 千陽は嬉しそうに答えた。

「わたしは、部の恥になるから展示はやめようって言ったんだけどね」

 梨穂は呆れ顔でつぶやく。

「ねえ、この萌え案山子さん、もらってもいい?」

 一方、詩穂はとても気に入ったようだ。

「もちろんや! 芸文祭終わったら譲ったげるな」

「シホちゃん、お部屋に飾り」

 制作者の二人は快く了承した。

「やったあ!」

 喜ぶ詩穂をよそに、

「……」

 詩穂は少し複雑な心境であった。

このあと屋内へ戻り、その他の展示室も順次案内していく。

「あたし、あそこ見たーい!」

「しっ、しほちゃん、やめとこうよ。私、絶対入りたくない」

 久未は嫌がる。詩穂が指し示したその展示室は、芸文祭の定番中の定番、お化け屋敷だったのだ。

「ほんじゃ、クーミンは廊下で待っとく?」

「それもちょっと……一人になっちゃうし」

 久未は困り顔になった。

「久未、うちが隣についたげるから安心してーな」

「いやだ、いやだ。別のとこ行こうよ」

 棗の制服の袖をぐいぐい引っ張る。

「クーミン、ここのお化け屋敷は全然怖くないんよ。この学校の生徒のお遊びじゃし、ホラーというよりむしろファンタジックな雰囲気なんよ」

 千陽は口説く。

「久未お姉ちゃん、中の人がいるから大丈夫だよ」

「そっ、そうだけど……」

 久未は一つ年下の詩穂にもなだめられてしまった。

「さあ久未、レッツトライ!」

「いやーん」

 棗は久未の有無を言わさず手を引いて連れていく。

 入口を通り、中へ一歩踏み入った途端、

「きゃあああああああっ! なっ、なっちゃあああああっん。はっ、早く、早く出口まで行ってえええっ」

 久未は、中の人もびっくりするような大声で叫んだ。彼女の目の前に、包帯を全身に巻いた女生徒が現れたのだ。 

「よちよち久未。うちに引っ付いてたら大丈夫やって」

 薄暗いここでは、久未は棗の手をしっかり握っていた。のちに背中にしがみ付いた。先を急ごうと棗の制服を思いっきり引っ張る。

「なっちゃーん、早く出口まで進もうよう」

「あわてなーい、あわてなーい。久未、服伸びちゃうからあんまり引っ張らんといてな」

「クーミンってほんま怖がりなんじゃね」

「久未ちゃんの仕草、とってもかわいいな」

 千陽と梨穂はにこにこしながら楽しそうに眺める。

「わっ、私、お化けとか幽霊とか大の苦手で、今でも学校のおトイレの個室の中は怖いなあって思うの。だって、花子さんが出て来そうなんだもん」

「クーミンは小学校時代によく聞かされる噂話のトラウマ、まだ引きずってるんじゃね。花子さんの代わりにア○ゴさんが出たら面白いよね」

「あたしもあのキャラの声聞くために毎週欠かさずサ○エさん見てるよ」

「それも別の意味で怖い。りっ、りほちゃんは、お化け屋敷は怖くないの?」

久未は今にも泣き出しそうな表情で梨穂に質問する。

「うん。だって、全てニセモノだって分かっているもん」

 梨穂は笑顔でそう言いつつも、入った時からカタカタ震えながら千陽の背中にピッタリ抱きついていた。

「もう、梨穂ったら。そりゃ紛れもない事実やけど雰囲気楽しんであげな、中の生徒さん悲しむって」

 棗は笑いながらお化けに扮した女生徒たちに向かってつぶやく。

「はい、チーズ!」

 千陽はデジカメで撮影までした。暗いのでフラッシュ付きで。

「さあみんな、幽霊さんたちと遊びながらゆっくり先へ進もう!」

 棗は号令をかけた。

それからわずか二分足らずで、四人はお化け屋敷の出口へたどり着いてしまった。

「なんよ。もう終わりなん? 短すぎ。もうちょいワタシを怖がらせて欲しかったね」

「かなり短かったよな。まあ教室一個分やからな。中の人もやる気なさそうやったし。久未が叫び回るからお化け役の人もかわいそうやと思ってくれたんやな」

 棗と千陽はやや不満げな面持ち。

「こんなもんじゃないの。可もなく不可もなくって感じだね。装飾は良かったよ」

 詩穂はこう評価した。

(よかった、あまり怖くなくて)

 梨穂はホッと一息つく。

「やっ、やっと出れた。ものすごーく長かった」

久未は安堵の表情を浮かべた。彼女にとっては体感的に三十分以上にも感じられたようだ。

「クーミン、ご褒美にお昼ご飯はクーミンが喜びそうなとこに連れていってあげるね」

 お化け屋敷の場所から、数十メートル歩き進んだ。

「お菓子の家だってーっ」

 久未は看板を見て、やや興奮気味に叫ぶ。

高等部三年三組の出し物だった。

「あたしもお菓子大好きなんだ」

 詩穂も嬉しそうだった。

 中の壁は、ビスケットや板チョコの形をしていた。五人はドーナッツ型のクッションが敷かれたテーブル席に着き、メニューを選ぶ。

「チョコレートパフェと、バナナマフィンと……このミノムシって何だろう?」

久未は、興味本位でそれも注文してみた。


「お待たせしましたーっ。ミノムシでーす」

 女生徒は爽やかスマイルで告げ、カウンターへ戻っていった。

「……本当に、ミノムシさんだ」

 久未は目を見開く。ミノムシが十匹ほど、松の盆栽の枝葉に糸で吊るされた状態で運ばれて来たのだ。俳句が書かれた紙も、土の上に添えられていた。

「蓑虫の 父よと鳴きて 母もなし」

 久未はそれを手に取り、棒読みで読み上げた。

「高浜虚子の句やな。これは美味そうや」

棗は、驚くべき行動をとった。そのミノムシを枝からプチッとちぎり取り、お口に入れた。そしてくちゃっと噛みしめたのだ。

「きゃっ、きゃああああああっ! なっ、なっちゃん。ミノムシさん食べたらかわいそうだし、それに、おなか壊しちゃうよう。早く吐いて、吐いて」

 久未はあわてて阻止しようとする。

「久未も食べてみい?」

「いらない、いらない」

 久未は首をブンブン振って拒む。

「久未ちゃん、これ、キンピラゴボウで出来たフェークよ」

 梨穂は微笑みながら言った。

「へ!?」

 久未はきょとん、とした。恐る恐る手でもみ、感触を確かめてみる。

「ほっ、本当だ。よく出来てるわね。すっかり騙されちゃったよ。でもこれ、材料からしてお菓子じゃないよね」

「とんかつパフェってのもあるけん、これもありなんじゃない」

 千陽はにっこり笑う。

「あたしは初めから気付いてたよ。昆虫さんにそっくりなお菓子も見慣れてるからね」

詩穂は、梨穂と同じ “どんぐりクッキー”を注文していた。手でつかみ、嬉しそうにお口へ運ぶ。

「とってもおいしいね」

「ほうじゃろ。高等部では、三組は家政科になってるんよ。ほなけんお料理上手な子が他のクラスの子に比べてかなり多いんよ」

「へぇ」

「シホちゃんもお料理得意じゃろ? この学科受けてみる?」

「いやー。自然科学コースがいい」

 詩穂は笑顔で告げた。意思は固いようだ。

お昼ごはんが済んだあと、十三時からの唱歌部による合唱公演を観賞しに体育館へ。

瀧廉太郎の『花』を皮切りに、明治から大正期にかけて作られた名曲が次々と歌われていく。

「現代のアニソンもええけど、たまにはこういうのを聴くんもええな」

「みんな歌上手いね。この中で声優さんになれる子はおるじゃろか」

「こらこら、静かに観賞しなきゃダメ!」

 梨穂は小声でささやき、おしゃべりしていた棗と千陽の頭をパシッパシッと叩いておいた。

久未と詩穂は終始行儀よく観賞していた。あの二人よりも大人な態度だ。

続いて十四時からは、アニメ研究会による自主制作アニメの上映が始まった。

「棗お姉ちゃんや千陽お姉ちゃんは、これには入らなかったの?」

 詩穂は質問した。

「うん。さすがに三つ掛け持ちはきついし、それにそこは作るのが主体みたいやからな。うち絵描けんし、アニメは作るより見るに限るわ」

「あのキャラの声当ててるんはアニ研の生徒なんよ。声優体験が出来るけん、ワタシ入ろうかなと思ってたんじゃけど、萌え系じゃなくて幼稚園児が喜びそうな、教○テレビで放送してそうな感じの作品作ってるようじゃったけん食指が動かんかったんよ」

 二人は苦笑いしながら語る。

「そっか。あのキウイフルーツとじゃこ天といよかんを擬人化したやつ、ゆるキャラとしては使えそうだけどね」

 詩穂は真顔でつぶやいた。

「かわいいーっ。ぬいぐるみにほしい」

「わたしも。キーホルダーにもいいよね」

 久未と梨穂は気に入ったみたいだ。

十四時半からは、野球拳踊り・野球サンバ同好会による公演が始まった。

「わー、なにあのおじちゃん、おもしろーい」

 演舞中、詩穂はくすくす笑い出した。

「一応あれでも物理の先生なんよ」

 千陽は一言告げる。

「え!? 先生? その辺の酔っ払いかと思った」

 詩穂は目を丸くした。

「どうじゃ、おれの華麗なダンス」

 ねじりハチマキ姿の末成先生が、舞台の上に突如現れたのだ。踊りながら舞台中央に近づいていく。その他観客からも笑いが起こる。

「末成先生、邪魔でーす!」

「オーノー。おれ、顧問じゃのにーっ。治りかけだった足、また痛めてしもたぞなもし」

彼は、踊っていた部員たちにすぐさま舞台下へ蹴り落とされた。観客からの笑い声がさらに高まる。

「あっ、あの人、栗の時に助けてくれた人だ。この同好会員だったんだね」

 久未は尊敬の眼差しでその子を見つめる。

「詩穂ちゃん、うちの学校には他にもユニークな先生がいっぱいおるよ」

「本当?」

 棗の発言に、詩穂はぴくっと反応した。

この公演が終わったあと、締めくくりに四人が所属する高等部一年一組の教室へ案内した。展示物は、ビーズアートだった。ル○ージのようなキャラクターの絵が飾られていた。

「私、おひげの端っこの部分担当したよ」

「うちは鼻の一部」

「ワタシは帽子のLの字の一部なんよ」

「わたしも千陽ちゃんと同じ箇所」

 四人は楽しそうに語る。

「マ○オじゃなくて、このキャラをチョイスするとこがなかなかだね」

 詩穂はくすくす笑う。

「多数決で決めたんよ。ワタシのクラスではル○ージの方が人気あるみたいなんよ。ワタシはこの兄弟よりも、ピー○姫が一番のお気に入りじゃけどね」

「こいつを見ていると、就活時代が偲ばれるよん」

 突然、背後から鹿島のため息声が聞こえてきた。

「鹿島先生、どないしはったんですか?」

五人は彼のもとへ歩み寄る。

「おう、妻鳥さんたちではないかあ。おいら昔、任○堂の入社試験も当然のように受けたんだけどさ、おいらの任○堂に対する熱い思いを面接官に伝えたのに、あっさり落としやがったんだよねーん」

「きっと採用担当者の方、鹿島先生のあまりの暴走ぶりに恐ろしくなったんやろな」

「熱心過ぎるのもかえって悪い印象与えてしまうと思うよ。ワタシも声優さんのイベントとかで一番前の席陣取るような熱狂的ファンは怖いなって感じてしまうけんね」

「ま、べつに恨みは全くないよん。むしろ楽しかった思い出だよん。記念受験だったしさ」

 鹿島は淡々と語る。

「しほちゃん、このおじちゃんは数学と情報の先生だよ。鹿島先生って言うの」

「美少女系のアニメやエロゲが大好きなんやって」

 久未と棗は、彼の大まかな特徴を教えてあげた。

「へぇ。見た目どおりだね」

 詩穂は笑みを浮かべる。

「こちらの子は、誰なのかな?」

 鹿島はきょとんとした表情で尋ねた。

「わたしの妹の詩穂なの。今、中学三年生よ」

「なななんと、馬越さんの妹さんだったのか。確かに姉の梨穂さんとよく似ているな」

 鹿島は詩穂に顔を近づけてきた。

「シホちゃん、この先生のことどう思う?」

 千陽は訊いてみた。

「典型的なオタクスタイルだし、とっても面白い先生だね」

「ハッハッハ、照れるなー」

 鹿島はにやにや微笑む。

「詩穂ちゃん、ええもん見せたげる。こっちへおいで。鹿島先生もついでに」

 棗は手招いた。一組教室から少し離れた廊下の壁に、この学校に勤める先生たちの秘密や噂が箇条書きされた大きな紙が張り出されていたのだ。新聞部が製作に携わっている。

「なんかおいらの噂の欄、他の先生に比べてやけに多くないかい?」

「そんだけ先生の存在感があるって証拠や」

「えーと、なになに。『鹿島先生は小学六年生の頃、ドラ○エ3の発売日に学校をサボって買いに行き、補導されたらしい』だと。ハッハッハ、これは噂ではなく事実だよーん。どうしても発売日に手に入れたくて、松山から大阪まで一人で買いに行ったのさ。その一行下に書かれてある『ポ○モン騒動が起きた日、当時大学生だった鹿島先生もアニメに夢中になりすぎて救急車で搬送された被害者の一人らしい』っていうのも事実なんだよーん。おいらが最年長くらいだったかな。どちらも今となってはいい思い出になってるっさ」

 鹿島はとても嬉しそうに語る。

「鹿島先生は、今でも毎日お母さんに送り迎えしてもらっているらしい」

 詩穂は、鹿島先生の噂の欄最下行にひっそり書かれていた文を読み上げた。

「これも本当なの?」

 そして興味津々に尋ねる。

「おいおい、誰だーい? こんな根も葉もない噂を立てたのは」

 鹿島は前かがみになって見つめ、にんまり微笑んだ。

「馬越さんの妹さん、こんなのはもちろん全くの事実無根なんだよーん」

「なあんだ、嘘か。本当だったら先生、もっと面白いキャラになれるのにもったいないな」

(詩穂ちゃん、これ事実なんよ。うちが投稿してん)

 棗はくすくす笑っていた。梨穂以外の三人にもバレてしまっていることを、彼はまだ知らない。

 

夕方、帰り道。

「詩穂ちゃん、芸文祭楽しかった?」

 棗は問いかける。

「うん! あたしも鹿島先生とか末成先生の授業受けてみたい。あたし、ますます自然科学コースに興味が沸いてきちゃったよ」

「この学校には、ワタシやナツメグみたいなオタクな子もいっぱいおるんよ。特に自然科学コースにはね。怖い先生も全然おらせんし。アニメ系マンガ系の部活もあるけん。勉強出来る子にとっては天国みたいな環境なんよ」

 千陽はにこやかな表情で詩穂の意欲をあおった。

「あたし、この高校の自然科学コースに絶対入学する!」

 詩穂は叫ぶ。彼女の目はきらきらと輝いていた。

「詩穂、自然科学コースに入るには、今の成績のままでは無理だってことは分かってる?」

「うん! あたし、明日からは必死に勉強するよ」

「詩穂のその言葉、飽きるくらい聞いたよ。明日からじゃなくて今日からね」

 梨穂は微笑みながら釘をさす。

三人と別れたあと、詩穂は梨穂と仲良く手を繋いで家路を進んでいった。


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