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ムースーロー(豚肉とキクラゲと卵の炒め物)が食べたい

作者: 川崎そう


ムースーロー(豚肉と卵とキクラゲの炒め物)が食べたい。


そう思ったのは四限の数学Bの時間である。

奇数項と偶数項の和の違いを担当教師が説明している時に、先に偶数項偶数項連呼していてた所為か、ムースーローが浮かび上がり、食べたくなった次第である。とどのつまりただの親父ギャグの連想ゲームである。


私は卵が好きだ。

生卵で卵かけご飯。

ゆで卵に塩を掛けてもいいし、目玉焼きにして多種多様な調味料をかけても美味しい。


そして卵を溶いての料理、いわゆる卵焼きとその派生料理には目がない。


卵という甘味と旨味の凝縮した食材は、塩分とも糖分ともバッチリ合う。こと卵焼きの万能感は素晴らしい。


その中でもお気に入りが中華料理のムースーローだ。豚肉、卵焼き、キクラゲをオイスターソースで炒めたこの料理、ご飯が進む中華として一番だと思っている。


先ずは豚肉から頂こう。オイスターソースと豚肉というのは合う。元々のオイスターソースの塩気と、豚肉の脂の甘みの相性がピッタリだからだ。逆に言えば豚肉の脂っぽさをオイスターソースが引き締めてくれるのだ。

しかし次第にオイスターソースの塩気が上回って来る。ココで早速ご飯をひと口。脂身と違う甘みは、口の中を平穏にしてくれる。


次にキクラゲだ。コリコリとした食感が心地良い。しかもその形状がまた、オイスターソースをたくさん掬う形をしている。

傘の内側、沢山詰まったソースと共に歯応えを楽しむ。


ここまでは基本的にオイスターソースの塩気先行だ。

ここからいよいよ卵焼きを頂こう。コレまたソースの絡んだ卵焼きだが、中はフワフワで卵の柔らかさと穏やかさがオイスターソースを覆すのだ。

そう、ムースーローにおいてこと卵焼きだけは塩気の強いソースを付き従える月下の騎士になるのである。


そうなったらご飯を食べる勢いは止まらない。再び豚肉をライスにバウンドさせ一口。ご飯を掻き込んだらキクラゲと卵焼きを一緒に頂こう。コリッフワッとした食感の違いが口の中でセッションを奏でる。再びご飯を二口食べたら一旦落ち着こう。


おっと、右側には口の中の塩分を穏やかにしてくれる鶏ガラスープだ。

表面の微かな油膜が輝きを放ちながら、ネギと白胡麻が入っている。熱々だから気をつけて飲もう。

うむ。鶏ガラのあっさりスープは美味い。和食程のスッキリ感こそ無いにすれ、鶏出汁の旨味による食欲を増進させる効果は非常に高い。塩分が控えめなお陰で、ムースーローの塩気をより欲させる。


さぁラストスパートだ。卵焼き、豚肉を一緒にほおばる。コレも甘フワで美味い。豚肉とキクラゲのしょっぱさもご飯に合う。ライスはどんどん減っていく。


香の物代わりのザーサイも箸休めにもなればおかずにもピッタリだ。


いよいよラストの一口。皿に残った具材とソースを全てご飯茶碗にオン。

ムースーロー丼になったら、摂取塩分量等気にせず、飲み干す様に、一気に平らげるのみだ。


豚肉、キクラゲ、卵焼き、ご飯。多様な食材が、オイスターソースという共通項により纏まり、和が導き出される。


そこには、偶数でも、奇数でも、分ける必要の無い、美味しかったという事実だけが、解としてあるんだーーー。














「すいませんムースーロ(…ココは念のため)…豚肉と卵とキクラゲの炒め下さい」


「この食堂そんなの無いよ」


 学食ラインナップ…証明終了…



終わり

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