夢の中では宮殿で
宮殿は、やっぱりアラビアンナイトのイメージ。
はりつめた弦をゆるめて 竪琴が鳴り止んだ夜に
大きな白旗あげて 地下牢に繋がれて眠りたいのに
どうやら そいつは叶いそうにない
かさぶたのめくれた膝で 這いまわるのをやめないのは
生真面目さ のせいなんかじゃなくて
差し迫る日常を
転げ落ちるための鼓動も忘れた…だけ
夢の中では宮殿で 葡萄酒の揺蕩いにきみを映そう
汚れ物を覆うためのカーテンは充分足りてるよ
夢の中なら宮殿で 美談にだけ花を咲かそうぜ
小粋な輩が朝の訪れを待って
灰色の手触りを与えてくれるけど
しきつめた床に寝そべり つめたさで微熱を冷ました
無闇に奇声をあげて 育んだ狂気には報いたいのに
どうにも そいつは叶いそうにない
過去ならば真水で薄め 樽で寝かせたままの未来
投げやりさ のせいなんかじゃなくて
押し寄せる日常を
薔薇色に染めてく叡智も知らない…だけ
目が覚めたなら泥沼で 濁ってる水面は何も映さず
能天気を装うんだ 泣き言はとっくに飽きてるよ
夢の中なら宮殿で 美談にだけ花を捧げるぜ
無粋な輩が朝の訪れを待たず
耳打ちで早刷りを読み聞かせるけど
タマネギ型の屋根。