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全てを奪われた男(一部省略版)

寝取られ描写苦手な方は

こちらからお入り下さい。

 異世界との霊道が繋がり

世界が変わりはじめてから早100年。


 異世界の魂魄を持つ転生者と呼ばれる人々が

生まれるようになり

この世界になかった魔法と

スキルという個人特有の特殊能力をもたらした。


 その力は大きく

魔法は科学では及ばない超常現象を呼び起こし

スキルは近代兵器では太刀打ち出来ない驚異となった。


 対抗できるのは核の炎くらいだが

それを使えば世界が終わる。


 その為、パワーバランスは完全に転生者優位となり

転生者は自分たちのことを

偉大な者(アークス)』と呼ぶようになり。

俺達その他一般のことを

下位種(ロウサー)』と蔑むようになった。

 

 一応、ここ日本では表面上

転生者と一般人との公平な関係を謳っていた。


 しかし実際は転生者が優遇されているのは

誰が見ても明らかだった。


 その理由の一つが霊道の繋がりと共に現れた

ダンジョンである。


 近代装備では歯が立たない上に

放置しておくと中からモンスターが溢れ出す。


 結局、対処するには

転生者達に頼るしかないのが実情だった。


 そして今、俺はその生まれ持った差を

目の当たりにしていた。


 勇者の転生者と名乗る

この『タケシ』と云う男によって。


 俺は奴によって全てを狂わされた。


 最初にヤツは金に物を言わせ

 両親が遺してくれた家と妹を取られ。


 次に手下を使って幼馴染を追い込み

 さも自分が助けたように装い自分の女にした。


 そして今日、恋人のエリカを恐怖と暴力で奪っていった。



 もう、俺には、なにも残っていなかった。


 泊まる家もエリカに提供してもらっていた以上

 寝床もなく、絶望のまま夜の街を彷徨う。


「なんで、生きてんだろうな」


 心のつぶやきが表に出て、ふと思う

ああ、死んでしまおうと、生きる気力を無くした俺は

死に場所を探して、このエリアの危険地区で

『樹海』と呼ばれる封印区画に向う。


 封印区画とは最高難易度のダンジョンがあるエリアで

転生者でも攻略が難しく封印するのがやっとと云う

日本で最も危険な場所である。


 そこに行けば、俺みたいな一般人は瞬殺だろう、

せめて苦しまないで死ねるといいなと思いつつ

鬱蒼とした森に足を踏み入れる。


 森に入ると、いつの間にか薄暗い影が

俺に纏わりつき離れなくなっていた。


 最初は気持ち悪く疎ましく感じたそれも

離れようとせす、じゃれつくように纏わりつく姿は

全てを無くした俺には愛らしく見えた。


 その影は俺を何処かに導くように揺蕩いながら

少しずつ移動していく。


 俺は釣られるように後を追う。


 どんどん森の奥へ奥へと誘われて

気が付くとダンジョンの入口まで来ていた。


 本来なら厳重に結界が張られ

認識除外の魔法が掛けられていており

一般人では侵入できないはずの場所。


 そんな場所に俺は揺蕩う影に案内されるまま

何故かたどり着いてしまった。


 影は中に入るように促してる。そう感じた。


 一瞬、恐怖が先立ち躊躇するが

どうせ死ぬために来たんだしと思い直し

導かれるままダンジョンに足を踏み入れた。


 中は光源が無いのにも関わらず

薄暗くだが視界が確保出来た。


 最高難易度ダンジョンのはずだが

何故かモンスターと遭遇しなかった。


 普通なら直ぐにモンスターに囲まれて終わり

俺の望み通り死に場所にはうってつけなはずだった。


 しかし、影に導かれるまま付いていけば

いつの間にか最下層へと到達していた。


 広がる大広間に巨大な扉が目を引いた。

影がフラフラと扉の前まで辿り着くと

巨大な扉がひとりでに開く

扉の先は薄暗いダンジョンとは真逆で

光輝く美しい空間だった。


 そして、その空間を照らす光は

空中に眠ったように横たわり巫女服のような衣装を着た

少女自身の輝きだった。


 影は光の中でも暗く仄めき

少女の身体に吸い込まれる様に入り込むと

合わせて目が見開かれる。


少女が目覚めと同時に

ゆっくり空中から舞い降りると

俺に微笑みかけて言った。



「よく来た、我が伴侶よ」


読んでいただきありがとうございます。

少しでも楽しめましたら。


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画面下の『☆☆☆☆☆』から評価して

読み進めて下さいましたら幸いです。


宜しくお願いします。

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