表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/96

燃え騎士と萌え魔女

ユウとドリューが激しくぶつかり合う中、西織花奈ことニカは絶賛燃え燃え中であった。



(ユウ君・・・大和君に頼まれた!)


そう、想い人に敵撃破おつかいを頼まれたのだ。


『お使い』


つまり・・・



大和「花奈。パンと牛乳を切らしてしまったから、後でちょっと買いに行ってくれないかい?」


花奈「はい、あなた(はーと)」


と同意義である(違う)。


すなわち、数年後たぶん、一緒に暮らした際のシミュレーションに他ならない(違う)。



(あ、でも、一緒に買い物した方が楽しいよね?・・・まあ、練習(妄想)は後にして、先に邪魔者を片付けて褒めてもらおうっと)



乙女心を暴走させつつ、ただ、思考は冷静?を保ち、不純な動機でバーンスを血眼になって探す。


・・・冷静?



幸いな事にドリューはユウとの戦いに意識を向けており、ニカ達敵陣はおろか、味方であるはずのバーンスをも気に留めていない様子である。


前回の戦いでもそうであったように、お互いをカバーし合う素振りを見せていない事から、契約関係であっても、両者とも利用し合う間柄でしかないのかもしれない。



PAOにおいて特別な立場プレイヤーとなる契約者としては、もったいないスタンスであるが、この時ばかりは好都合である。


なんせ制限時間が3分しかないのだ。


制限時間が経てばユウのスキルが解け、再び不利な状態でドリューとバーンスを相手取らなければならない。


その為、ここで彼を討ち取る事は勝利への必須条件であった。



ただ、厄介な事に未だバーンスの姿を捉えられていない。


地上にいるニカやメロアはもちろん、上空から警戒しているベルでさえも発見出来ずにいる。


更には、ボス級のモンスターであるグリフォンリーダーもメロアの周囲を警戒するに留まっており、捕捉できていない事が窺えた。


彼のプレイヤースキルなのか、装備の効果か、それとも毒爵領地スキルが進化したのか。


いずれにせよ、ニカは忙しなく周囲を警戒し、バーンスを探す。



PAOのみならず、世に出回っているVRMMOは自身が操作するキャラクターの目線そのままでゲーム世界に没入できるフルダイブ型が主流となっているが、その実、索敵行動などとは相性が悪い。


画面越しであれば、プレイヤーキャラクターを中心に前後左右、上下まで確認できるがフルダイブ型であれば、キャラクターの視覚内しか確認できないのだ。


もちろん、それはゲーム開発側の狙いでもあり、特に捜索系のゲームにおいて、制限時間を設ける事で、焦りを誘発して視界を更に狭めさせ、目的物を見逃させる手法をよく利用している。



制限時間内でのバーンス捕捉アンド撃破。


偶然にしろ、難易度が上がったのは間違いない。



ユウがスキルを発動させてから1分が経とうとしていた。


ここに至るまで、バーンスからの攻撃はない。


つまり、彼もユウのスキル解除待ちである可能性が高い。



まだ捉えられない。


次第にニカの表情にも焦りがみえーー


ない。



彼女はとても落ち着いていた。


とてもとても。



「メロ先輩・・・オペレーションPM10!」


そして、声高々に作戦名を告げる。



「っ!」



名指しされたメロアは一瞬ビクッとし、何故か涙目になってニカの方を向くが、お使いを必ず遂行せんとする彼女からの超重圧をモロに受け、諦め、そして覚悟を決めた。


その作戦オペレーションは性質上、ユウに対しても秘密裏に、ニカとメロアのみで練っていたものである。



「すねこすり」


メロアは小さくスキル名を呟く。



ー ふわり、ふわり ー


すると彼女の足元でそよ風が発生し、まるでじゃれつくように脚部に纏わりついた。



ー ふわり、ふわり ー


次第にローブのすそが風で波立ち、少しずつ捲り上がりーー



「あ、メロ先輩!パンツ見えるよっ!」


「っ!・・・やんっ」



作戦名を告げてから10秒経過した時、突然ニカは大声でメロアへ指摘した。



戦場の刻が一瞬止まる。



複数の視線を感じたメロアは、顔を赤らめて下を向く。


それは羞恥故か。



否。



悟られないように魔法詠唱する為故に。



そう、これは全て作戦である。



オペレーション『(10秒後に)パンツみえてる



フルダイブ型はモニター越しと違い、キャラクターの視覚内しか周囲を確認できない。


それでも何故フルダイブ型は人気なのか。



それは、モニター越しと違い、キャラクターの視覚内で周囲を確認できるからである。


つまりキャラクター目線、もっといえばキャラクターになった自分自身の目でその世界ゲームでの出来事を見る事ができるのだ。



つまり



メロアのパンチラ(疑惑)も今この瞬間、臨場感めのまえたっぷりで見れるのだ!



ー 大抵の男は馬鹿である ー



何がとは言えないが、本能に抗えず、ついつい見てしまう。


そう、この作戦はそんな男を一網打尽にする狡猾な罠なのだ。



「ーー闇をあばけ!白の極光!」


ー キュォオッ! ー


「ーー!」



詠唱が完了し、魔法が行使され、瞬間的に戦場全体が白い光に包まれた。



アーサーのスキルである『獅子座レイ・レグルスの輝き』とは違って輝きは一瞬であり、光そのものにダメージ効果もないが、直視すれば【失明】の状態異常が付与され、存在が暴かれてしまう。


声なき悲鳴が上がった場所、ユウとドリューの戦闘域から離れた岩場周辺において、マップ上に『バーンス』がマーキング表示されたのと、ニカが全速力で突進したのはほぼ同時であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ